高齢脳卒中患者をモデルとした栄養管理と摂食機能訓練に関するアルゴリズムの開発、および経口摂取状態の改善効果の検証

文献情報

文献番号
201417009A
報告書区分
総括
研究課題名
高齢脳卒中患者をモデルとした栄養管理と摂食機能訓練に関するアルゴリズムの開発、および経口摂取状態の改善効果の検証
課題番号
H25-長寿-一般-002
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
小川 彰(岩手医科大学)
研究分担者(所属機関)
  • 小笠原 邦昭(岩手医科大学 医学部 脳神経外科)
  • 對馬 栄輝(弘前大学 医学部 保健学研究科)
  • 椿原 彰夫(川崎医科大学 医学部 リハビリテーション医学)
  • 東口 高志(藤田保健衛生大学七栗サナトリウム 代謝栄養緩和医療外科)
  • 水間 正澄(昭和大学藤が丘リハビリテーション病院)
  • 石川 誠(回復期リハビリテーション病棟協会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
9,231,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本事業では、脳卒中患者に対する適切な栄養・リハビリテーション管理のアルゴリズムを立案・検証することにより、脳卒中患者の経口摂取移行率を向上させることを最終目的とする。初年度は、アルゴリズム立案に資するデータを得るため、Research Question(RQ)として①急性期に於いて、いつ、どのような患者に、どのような判断で経口摂取のアプローチ(間接訓練・直接訓練)を開始すべきか、②回復期に於いて、栄養状態とADLの改善に資する栄養モニタリングはどのようにあるべきか、③経管栄養を要する患者に於いて、安全かつ患者満足度の高い栄養投与経路・栄養剤の形状はどのようにあるべきか、を明確にするための研究を立案し、事業2年目にかけて実施した。一方、実臨床においては上記のRQ以外にも、経口摂取状態の改善には口腔衛生管理や栄養管理上の種々のトラブルへの対処法なども影響するため、脳卒中急性期から回復期に至るまでの栄養管理および摂食機能訓練の包括的なアルゴリズムの構築には、質的研究手法によるFormal Consensus Developmentが求められる。そこで、急性期・回復期のそれぞれの領域において、多職種からなるNominal Group Discussion(NGD)を実施し、脳卒中患者に対する栄養管理および摂食嚥下機能訓練のコンセンサスガイドラインを創案した。
研究方法
上記RQに対する各研究方法は、本事業の初年度報告書に収載のとおりである。脳卒中患者に対する栄養管理と摂食機能訓練のアルゴリズムの創案には、質的研究手法として多職種によるNGDを採用し、検討委員として、急性期・回復期のそれぞれの領域において脳卒中患者の治療およびリハビリテーションに従事している各5名を選出した。NGD会議に先立ち、急性期・回復期の各委員に対して、脳卒中患者に対する栄養管理および摂食機能訓練に関する事項についてのアンケートを送付した。急性期・回復期ごとに開催したNGD会議ではアンケート集計結果の開示、意見交換、質問内容の精査および修正を行い、会議後にNGD結果を纏めて各委員にFeed Backし、再度意見を収集・固定した。
結果と考察
RQに対する研究として、研究1.「脳卒中急性期患者を対象とした発症後早期からの摂食機能訓練介入効果の検討」では、2014年12月に登録を終了し、急性期病院8施設において40例の登録を得た。研究2.「回復期リハ病棟における脳卒中患者の栄養モニタリングの頻度の違いが栄養状態および身体機能の回復に与える影響の検討」では、2014年10月に登録を終了し、回復期リハ病院5施設において30例の登録を得た。研究3.「経管栄養を要する脳卒中患者を対象とした栄養投与経路および投与栄養剤の形状の違いによる影響の検討」は、2014年12月に登録を終了し、回復期リハ病院5施設において、8例の登録を得た。NGDによる脳卒中患者に対する栄養管理と摂食機能訓練のアルゴリズムの創案は、大項目7項から成る「脳卒中急性期患者を対象とした栄養管理および摂食嚥下機能訓練のコンセンサスガイドライン」、 および大項目10項から成る「回復期リハ病棟における脳卒中患者を対象とした栄養管理および摂食嚥下機能訓練のコンセンサスガイドライン」として纏められた。
研究1~3については、データを解析中であり、現在考察すべき結果はない。NGDにより創案された各々のガイドラインに於いては、口腔ケア、間接訓練、直接訓練、嚥下機能スクリーニング検査の項目についてはその必要性、頻度ともに統一された見解を得た。一方で、本事業の初年度に解析した急性期病院における脳卒中患者の栄養管理と摂食機能訓練に係る実態調査の結果では、嚥下機能訓練や嚥下機能評価が適切に実施されていない現状も示唆されており、今回纏められたコンセンサスガイドラインを臨床現場に展開するにあたっては、患者毎の適応性を踏まえて実用性を確認することが必要と示唆された。栄養管理に於いては、栄養状態のスクリーニング・モニタリングおよび栄養投与経路の選択に関する指針のほか、経管栄養時の嘔吐や下痢への対処、食思低下や摂食拒否等への対応について、具体的な例示を以て纏めている。こうした項目に対しては、実臨床への試用を経て、バリアンス事例の収集やトラブルに対する新たな対処方法を反映させる必要があると考えられる。
結論
RQに対する各研究の結果解析と併せ、「脳卒中急性期患者を対象とした栄養管理および摂食嚥下機能訓練のコンセンサスガイドライン」および「回復期リハ病棟における脳卒中患者を対象とした栄養管理および摂食嚥下機能訓練のコンセンサスガイドライン」について、事業3年目において実臨床への適用を行い、その有用性と実用性を評価する必要があると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2017-10-03
更新日
-

収支報告書

文献番号
201417009Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
12,000,000円
(2)補助金確定額
12,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,186,181円
人件費・謝金 119,722円
旅費 712,550円
その他 6,212,547円
間接経費 2,769,000円
合計 12,000,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2017-10-03
更新日
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