プリオン病のサーベイランスと感染予防に関する調査研究

文献情報

文献番号
201415126A
報告書区分
総括
研究課題名
プリオン病のサーベイランスと感染予防に関する調査研究
課題番号
H26-難治等(難)-指定-002
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
水澤 英洋(独立行政法人国立精神・神経医療研究センター 病院)
研究分担者(所属機関)
  • 山田 正仁(金沢大学大学院医学研究科)
  • 田中 章景(横浜市立大学医学部神経内科)
  • 北本 哲之(東北大学大学院医学系研究科)
  • 中村 好一(自治医科大学公衆衛生学)
  • 金谷 泰宏(国立保健医療科学院)
  • 村山 繁雄(東京都健康長寿医療センター研究所)
  • 佐藤 克也(長崎大学医歯薬学総合研究科)
  • 原田 雅史(徳島大学ヘルスバイオサイエンス研究部)
  • 齊藤 延人(東京大学大学院脳神経外科)
  • 太組 一朗(日本医科大学武蔵小杉病院脳神経外科)
  • 森若 文雄(医療法人北祐会神経内科病院)
  • 青木 正志(東北大学大学院医学系研究科)
  • 西澤 正豊(新潟大学脳研究所)
  • 犬塚 貴(岐阜大学医学部)
  • 武田 雅俊(大阪大学医学部)
  • 阿部 康二(岡山大学医学部)
  • 村井 弘之(九州大学大学院医学系研究科)
  • 田村 智英子(東京胎児クリニック)
  • 古賀 雄一(大阪大学大学院工学研究科)
  • 黒岩 義之(財務省診療所)
  • 桑田 一夫(岐阜大学大学院創薬医療情報研究科)
  • 三條 伸夫(東京医科歯科大学)
  • 塚本 忠(国立精神・神経医療研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 難治性疾患等克服研究(難治性疾患克服研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
55,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本邦でのプリオン病発生、新たな医原性プリオン病の出現を監視し、早期診断方法の開発や患者・家族への心理カウンセリング等による支援、感染予防対策を研究・周知し、患者の外科手術を安全に施行できる指針を提示し、手術後にプリオン病であることが判明した事例を調査して二次感染対策を講じるとともにリスク保有可能性者のフォローアップを行い、治療薬・予防薬の全国規模の治験体制を支援する。全例サーベイランスを通じて疾患の実態把握に努め、遺伝子・髄液検査技術、画像読影の改良、新規診断技術の開発を推進し、各病型の自然歴を解明する。特に牛海綿状脳症からの感染である変異型クロイツフェルト・ヤコブ病、本邦で多発した医原性硬膜移植後CJDを念頭に、班内にサーベイランス委員会を組織し全国のプリオン病担当専門医と協力してサーベイランスを遂行する。二次感染予防対策として、インシデント委員会を組織し、脳外科術後にプリオン病が判明した事例では、迅速に調査、感染拡大予防策を講じる。消毒・滅菌法の効果的改良や新規開発を行い、感染予防策の発展に努める。
研究方法
全国を10ブロックに分けてサーベイランス委員を配置し、脳神経外科、遺伝子検索、髄液・画像・電気生理・病理検査の担当専門委員を加えてサーベイランス委員会を組織し、各地域のプリオン病担当専門医と協力して全例調査を目指している。プリオン蛋白遺伝子検索と病理検索、MRI画像読影解析、髄液中14-3-3蛋白・タウ蛋白の測定、RT-QUIC法による異常プリオン蛋白の検出法、病理検索などの診断支援を提供し、感度・特異度の解析も行った。インシデント委員会を組織し、各事例の評価を行い、対策とリスク保有可能性者のフォローを行った。
結果と考察
1999年4月より2015年2月までに4936件を調査し、2499人をプリオン病と認定した。中村は、60歳以上での罹患率の増加を明らかにし、金谷は、精神症状と小脳症状が無動無言の発生と関連することを指摘、森若は着衣失行を呈した症例を報告、青木は東北地方のサーベイランス状況を報告、武田は近畿地方の解析結果を発表、安部は中国四国地方でのV180I変異の高頻度を明らかにした。水澤研究代表者はサーベイランス調査書の回収率が地域で異なることを報告し、治験にむけたプリオン病コンソーシアム(JACOP)への患者登録の進捗を報告した。犬塚は医療連携の問題点と解決方法について報告した。齊藤はインシデント新規事例1件を報告した。佐藤は、MM2皮質型ではRT-QUIC法の検出感度が最も高いことを報告した。原田は3T-MRI DWIの診断精度が1.5Tと同等であることを報告し、太組はデジタル脳波データ解析結果の蓄積の重要性を報告した。北本は、プラークが出現する硬膜移植後CJDは、VV2のCJDに汚染された硬膜により生じた可能性が高いことを報告した。田村は遺伝子研究の倫理的問題について報告、三條は、P105L変異によるGSS症候群の臨床像について報告した。村井は、102変異の地理的・臨床的特徴を報告し、田中は、E200K変異129MV多型を持つ症例を報告し、塚本は、M232R変異129MV多型を持つ症例について報告した。山田は、書字障害で発症した症例をSPECTで解析し、村山は、血管障害性認知症患者にCJDの続発が疑われた症例を発表した。西澤は、当初、前頭側頭型認知症を疑われたCJD症例を報告した。古賀は、耐熱性プロテアーゼによるプリオン蛋白の分解に、高熱と界面活性剤の併用が有用であることを発見した。桑田は、プリオン蛋白の酸性下でのモルテングロビュール状態への形態変化を明らかにした。
結論
プリオン病のサーベイランスとインシデント対策を主目的とするが、診断能力向上、遺伝子検索、バイオマーカー検査の精度向上、画像読影技術や滅菌消毒技術の改善、感染予防対策の面で成果が得られた。サーベイランス体制では、迅速性、精度、悉皆性、診断精度が向上した。新規インシデント事案は1件であり、二次感染発症者の出現はない。プリオン病及び遅発性ウイルス感染症に関する調査研究班にはサーベイランス委員長とインシデント委員長が研究分担者として参加すると共に、合同班会議やプリオン病関連班連絡会議を共同で開催し連携を進めた。
 研究班が得た情報は、プリオン病のサーベイランスと感染対策に関する全国担当者会議、ホームページを通じて周知され、適切な診断法、治療・介護法、感染予防対策の普及に大きく貢献した。
 国際的にも、論文による学術情報の発信に加えて、Prion2014やアジア・大洋州・プリオン・シンポジウムへの参加の推進、アジア大洋州プリオン研究会の後援など、広く情報発信と研究協力を行った。
 JACOPに協力し、全国規模での自然歴調査体制へ患者登録と施設登録を推進した。

公開日・更新日

公開日
2015-06-26
更新日
-

研究報告書(PDF)

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研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2017-03-31
更新日
-

収支報告書

文献番号
201415126Z