希少難治性筋疾患に関する調査研究

文献情報

文献番号
201415114A
報告書区分
総括
研究課題名
希少難治性筋疾患に関する調査研究
課題番号
H26-難治等(難)-一般-079
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
青木 正志(国立大学法人東北大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 西野 一三(国立精神・神経医療研究センター)
  • 林 由起子(東京医科大学)
  • 小牧 宏文(国立精神・神経医療研究センター病院)
  • 高橋 正紀(大阪大学 大学院医学系研究科)
  • 平澤 恵理(順天堂大学 大学院医学系研究科)
  • 大野 欽司(名古屋大学 大学院医学系研究科)
  • 杉江 和馬(奈良県立医科大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 難治性疾患等克服研究(難治性疾患克服研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
22,385,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究班では希少難治性筋疾患として(1)周期性四肢麻痺、非ジストロフィー性ミオトニー症候群といった筋チャネル病、(2)Schwartz -Jampel症候群、(3)Danon病や過剰自己貪食を伴うX連鎖性ミオパチーなどの「自己貪食空胞性ミオパチー」、(4)封入体筋炎、(5)先天性ミオパチー、さらに平成25年度より、(6)縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチー(DMRVまたはGNEミオパチー)、(7)眼・咽頭遠位型ミオパチー、(8)三好型ミオパチー、(9)マリネスコシェーグレン症候群、(10)べスレムミオパチーを対象として扱い、診断基準、患者登録、重症度分類等について整備することを目的とする。
研究方法
封入体筋炎については新たな診断基準に基づき患者登録、患者検体の集積およびそれを利用した解析研究を行う。青木が研究を分担する「難病・がん等の疾患分野の医療の実用化研究事業(難病関係研究分野)拠点(代表 松原洋一)」および林が研究を分担する「同・一般研究班(代表 西野一三)」と共同して次世代シークエンサーによる解析を行う。三好型ミオパチー、眼咽頭遠位型ミオパチーについても診断基準を確定する。ベスレムミオパチーについては当施設凍結生検筋レポジトリーにおいて、べスレムミオパチーと考えられる例を抽出し、西野班で報告した例も加えて臨床情報を解析する。縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチーについては患者血液または骨格筋よりゲノムDNAを抽出し、サンガー法により全エクソンおよびエクソン・イントロン境界領域のシークエンス決定を行った。(独)国立精神・神経医療研究センター(NCNP)骨格筋レポジトリー約13.000検体のデータを分析し、先天性ミオパチーの各病型頻度を推計する。疾患概要として、先天性ミオパチーに必要かつ十分な診断条件とは何か、について検討し診断基準作成を行った。先行研究で見いだしたマリネスコシェーグレン症候群36名の臨床情報をもとに、その具体的な臨床経過、症状、合併症などを分析し、また、文献的知見も加味し、マリネスコシェーグレン症候群の臨床的特徴を明らかにすることによって、診断基準および重症度分類の作成をめざす。先天性筋無力症候群に関しては、平成25年度までに作成した診断基準の検証・改定を行い、先天性筋無力症候群の指定難病への登録に向けて、臨床調査個人票案(新規・継続)を作成するとともに、難病指定医向けテキストを作成し、難病情報センターウェブページの原稿を作成した。本邦の先天性筋無力症候群を発掘するためにエキソームシークエンス・全ゲノムシークエンス・サンガーシークエンス解析を行い、平成26年度に新たに3症例の診断を行った。Schwartz -Jampel症候群に関しては臨床診断・遺伝子診断方法を確立し、本邦における発症者を掌握し、その臨床的特徴、経過などを調査した。全国から提供された筋チャネル病(周期性四肢麻痺、非ジストロフィー性ミオトニー症候群など)疑いの症例について、既知の原因遺伝子についてサンガ―法によるシークエンス解析を施行した。骨格筋チャネル病の重症度分類の策定および診断確定のための適切な指針が重要である。なかでも周期性四肢麻痺は発作性疾患のため症度分類が困難であるが、本年度我々は3段階(軽・中等・重症)の分類を提案しその有用性を示した。国立精神・神経医療研究センターで管理する、海外例を含む自己貪食空胞性ミオパチー患者の臨床病理学的特徴をもとに診断基準を作成した。全国2,617の関連施設(神経内科、循環器科、小児科)に実態調査を行い、臨床的特徴や合併症、治療法を明らかにした。また、新規を含めた自己貪食空胞性ミオパチー患者の生検筋の筋病理学的解析を行った。
結果と考察
対象疾患について診断基準・ガイドラインの作製を行ってきている。また、難病情報センターホームページに上記2, 3, 4, 6-8, 10の疾患に関して一般向けの病気の解説、医療従事者向けの診断・治療指針を掲載した。また、平成27年1月からウルリッヒ病、自己貪食空胞性ミオパチー、シュワルツ・ヤンペル症候群は小児慢性特定疾患治療研究事業の対象疾患に、さらに遠位型ミオパチー、先天性筋無力症候群、封入体筋炎、べスレムミオパチーは指定難病とされることになり、個人調査票の作製に貢献した。診断基準の作成については封入体筋炎をはじめとした各対象領域で作成することができた。診断ガイドラインに関しては全国調査等を通じてその妥当性について検討を続ける。
結論
今後も継続して前向き調査での病態解明や患者数把握が必要である。同時に診断基準の精度についても検証していく。さらに患者血清・筋サンプルを用いた病態解明を行っていく。公費負担を含めた社会的支援も必要と考えられ、指定難病の申請案件についても協力していく。

公開日・更新日

公開日
2015-06-26
更新日
-

研究報告書(PDF)

総括研究報告書
研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2017-03-31
更新日
-

収支報告書

文献番号
201415114Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
29,100,000円
(2)補助金確定額
29,100,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 12,188,190円
人件費・謝金 3,890,538円
旅費 2,067,462円
その他 4,241,316円
間接経費 6,715,000円
合計 29,102,506円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2018-06-07
更新日
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