皮膚の遺伝関連性希少難治性疾患群の網羅的研究

文献情報

文献番号
201415112A
報告書区分
総括
研究課題名
皮膚の遺伝関連性希少難治性疾患群の網羅的研究
課題番号
H26-難治等(難)-一般-077
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
橋本 隆(久留米大学皮膚細胞生物学研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 古川 福実(和歌山県立医科大学医学部皮膚科)
  • 森脇 真一(大阪医科大学皮膚科)
  • 米田 耕造(香川大学医学部附属病院皮膚科)
  • 古村 南夫(久留米大学医学部皮膚科学講座)
  • 大畑 千佳(久留米大学医学部皮膚科学講座)
  • 照井 正(日本大学医学部皮膚科学系皮膚科学分野)
  • 鶴田 大輔(大阪市立大学大学院医学研究科皮膚病態学)
  • 川上 民裕(聖マリアンナ医科大学皮膚科学)
  • 下村 裕(新潟大学大学院医歯学総合研究科)
  • 相場 節也(東北大学大学院医学系研究科皮膚科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 難治性疾患等克服研究(難治性疾患克服研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
20,167,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、(1)自己炎症性皮膚疾患(特に中條-西村症候群を担当するが、内科・小児科が担当する他の自己炎症性皮膚疾患の研究も連携して行う)、(2)早老症(特にコケイン症候群)、(3)多種の掌蹠角化症、(4)ヘイリーヘイリー病(将来はダリエー病の研究も視野に入れている)、(5)表皮下自己免疫性水疱症(特にジューリング疱疹状皮膚炎を担当)、(6)化膿性汗腺炎、(7)皮膚家族性腫瘍症候群(特に母斑性基底細胞癌症候群、Cowden病)、(8)難治性血管腫(特にスタージ・ウェーバー症候群を検討するが、他科の研究班とも連携して研究を進める)、(9)多種の遺伝性毛髪疾患、(10)鼻瘤(重症型酒さ)の10種の皮膚の遺伝関連性稀少難治性疾患について臨床的研究を進めることである。この10疾患はいずれもQOLの著明な低下を示し、一部は生命予後も悪化することから重要な皮膚疾患である。また、病因が不明、治療法が未確立、長期療養を要し、患者数が少なく、難病としての要件を満たしている。最終的に、これらの稀少難治性疾患の治療法とQOLの向上を目指す。それぞれの疾患を担当する10名の班員は、いずれも各疾患において我が国の皮膚科のリーダーとして活躍している。
研究方法
上記の10種の皮膚の遺伝関連性稀少難治性疾患について、他の皮膚科および皮膚科以外の調査研究班と連携しつつ、診断基準・重症度分類作成、疫学調査・アンケート、診療ガイドライン作成などの臨床研究を行う。それぞれの疾患は性質が異なっているため、最終的に、研究代表者が10名の班員の異なった研究の総括を行う。研究代表者の施設である久留米大学皮膚細胞生物学研究所と関連している久留米大学皮膚科では、表皮下自己免疫性水疱症(特にジューリング疱疹状皮膚炎)とヘイリーヘイリー病の研究を行う。その他の疾患のうち、自己炎症性皮膚疾患(中條-西村症候群など)は和歌山医科大学皮膚科、早老症(特にコケイン症候群)は大阪医科大学皮膚科、掌蹠角化症は香川大学皮膚科、化膿性汗腺炎は日本大学皮膚科、皮膚家族性腫瘍症候群(特に母斑性基底細胞癌症候群、Cowden病)は大阪市立大学皮膚科、難治性血管腫(特にスタージ・ウェーバー症候群)は聖マリアンナ医科大学皮膚科、遺伝性毛髪疾患は新潟大学皮膚科、鼻瘤(重症型酒さ)は東北大学皮膚科で、研究分担者がその施設の研究協力者と研究を進める。その経過を研究代表者とe-mailや電話で密に連絡を取りながら進め、年に1回ないし2回の班会議で総会を行い、その検討をもとに最終的な目的を達成する。
結果と考察
結果:本年度は、新規に特定疾患に認定するための資料の作成という厚生労働省からの依頼があったため、上記の10種の皮膚の遺伝関連性稀少難治性疾患について、主として、診断基準・重症度分類を作成した。研究代表者の総括のもと、各疾患について、各研究分担者が診断基準・重症度分類を作成した。頻回のe-mailや電話でのやりとりにより、それぞれの疾患の診断基準・重症度分類をブラッシュアップし、最終的に、総会において、研究代表者と全研究分担者が討論して、最終版を作成した。また、同時に、一部の疾患においては、疫学調査・遺伝診断、アンケートの全国の皮膚科施設への依頼などを行った。
考察:最終的に、医療費助成の対象となる難病(特定疾患)として、厚生労働省の指定難病検討委員会により、指定難病の、第2次指定分として、本研究班が担当する10疾患のうち、コケイン症候群とヘイリーヘイリー病が特定疾患に選定された。また、慶応義塾大学皮膚科の天谷雅行教授の研究班と共同で、表皮下自己免疫性水疱症のうち、類天疱瘡(後天性表皮水疱症も含む)も特定疾患に選定された。現在、第一次指定分110疾患と第二次指定分196疾患の合計、306疾患が難病に指定され、多くの疾患において、特に、重症患者の医療費の助成が行われることになった。
結論
今後、厚生労働省の指定難病検討委員会が再開され、指定難病の第2次指定分が選定される予定であり、本研究班でも、残りの8疾患群について、さらに診断基準・重症度分類をブラッシュアップして、特定疾患の指定を目指す。特に、本研究班が担当する疾患のうち、自己炎症性皮膚疾患、早老症、難治性血管腫は、皮膚科以外の科の研究代表者が担当する疾患と重複しており、それらの研究班と連携して、診断基準・重症度分類の作成を進める。同時に、10疾患の疫学調査・アンケート、遺伝子診断などの調査研究を進め、それぞれの疾患の概念の確立と統計をまとめ、最終年度に予定する診療ガイドライン作成を目指す。

公開日・更新日

公開日
2017-03-31
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2016-05-13
更新日
-

収支報告書

文献番号
201415112Z