希少難治性角膜疾患の疫学調査

文献情報

文献番号
201415107A
報告書区分
総括
研究課題名
希少難治性角膜疾患の疫学調査
課題番号
H26-難治等(難)-一般-072
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
西田 幸二(国立大学法人大阪大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 山上 聡(国立大学法人東京大学 医学部附属病院)
  • 木下 茂(京都府立医科大学)
  • 大橋 裕一(国立大学法人愛媛大学 大学院医学系研究科)
  • 坪田 一男(慶應義塾大学 医学部)
  • 村上 晶(順天堂大学 大学院医学研究科)
  • 島崎 潤(東京歯科大学)
  • 宮田 和典(医療法人明和会 宮田眼科病院)
  • 山田 昌和(杏林大学医学部)
  • 前田 直之(国立大学法人大阪大学 大学院医学系研究科 )
  • 新谷 歩(国立大学法人大阪大学 大学院医学系研究科 )
  • 川崎 諭(国立大学法人大阪大学 大学院医学系研究科 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 難治性疾患等克服研究(難治性疾患克服研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
23,231,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
人間は外界情報の80%以上を目から得ていると言われており、視力低下はたとえ軽度であっても患者の生活の質や労働力の低下を来し、同時に医療費や社会福祉費の増大を招く。角膜は眼球の最前部に位置し、眼球光学系で最大の屈折力を持つため、わずかな混濁や変形であっても著しい視力低下を来す。本研究で対象とする角膜疾患はいずれも希少疾患で、原因ないし病態が明らかでなく、効果的な治療方法がいまだ確立しておらず、著しい視力低下を来すため早急な対策が必要な疾患である。これまでこれらの難治性角膜疾患に対しては難治性克服疾患研究事業のもと個別に研究が行われてきた。しかし希少疾患であるがゆえ、患者情報の収集は容易ではなく、またその成果のフィードバックについても現時点で一般眼科医まで浸透しているとは言えない状況である。そのため、調査から診断基準や重症度分類、診療ガイドラインの作成・改定、そしてそれらの普及・啓蒙までの一連のプロセスを学会主導で行う必要性があると考えられる。
本研究では、角膜の希少難治性疾患として6つの疾患領域について、日本眼科学会との連携のもと、角膜学会および角膜移植学会の主導で難治性角膜疾患の臨床研究を全国規模で行い、より質の高い診断基準や重症度分類、治療ガイドラインの作成を行うこととする。さらにそれらを学会主導で全国に普及させ難治性疾患の診断および治療の均てん化を図ることで難治性疾患の医療水準の向上、予後改善に貢献することを目指している。
今年度には疫学調査の枠組みの構築とともにデータ入力を開始し、研究班内での厳密な議論のもとに、診断基準、重症度分類、治療ガイドラインの暫定版の作成を行うこととする。
研究方法
今年度の初めに班会議を開催し、6の疾患領域について研究担当者を決定した。さらに問題点の洗い出しや今後の研究の進め方について議論し、各疾患領域については、グループ毎にメールなどを介して独自に研究を進めることとした。
疫学調査の枠組みとしては、REDCapデータベースを用いてインターネット経由で匿名化した患者情報を多施設で入力するシステムを構築した。REDCapデータベースは米国Vanderbilt大学で開発され、世界中で広く利用されている。診断基準、重症度分類、治療ガイドラインについては疫学調査の結果により今後修正を加える予定であるが、現時点のデータや知識をもとに、各疾患領域で暫定版を作成した。
結果と考察
今年度、疫学調査の枠組みの構築とともにデータ入力を開始し、研究班内での厳密な議論のもとに、診断基準、重症度分類、治療ガイドラインの暫定版の作成を行うことを目標に上記の6疾患領域についておのおの研究グループを構築して、グループ毎に独自に研究を進めることで、小回りの利く研究班とすることを目指した。結果として、すべてのグループで診断基準の作成を行うことができ、また疫学調査についても角膜ジストロフィのグループではデータベースの構築およびデータ入力まで進めることができた。また遺伝性角膜ジストロフィの研究グループでは診断基準の作成に遺伝子検査が必要と判断し、ゲノム審査の承認とともに遺伝子解析を知識がなくとも行えるソフトを独自に開発した。
来年度上半期には疫学調査を終え、その結果を踏まえて診断基準、重症度分類、診療ガイドラインの改良を行う予定である。
結論
6つの疾患領域において各々で研究を進めることで、小回りの利く研究グループが構築でき、結果として今年度の進捗としては、概ね当初の予定を達成できたものと考える。

公開日・更新日

公開日
2015-06-26
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2017-03-31
更新日
-

収支報告書

文献番号
201415107Z