血液凝固異常症等に関する研究

文献情報

文献番号
201415098A
報告書区分
総括
研究課題名
血液凝固異常症等に関する研究
課題番号
H26-難治等(難)-一般-063
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
村田 満(慶應義塾大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 冨山 佳昭(大阪大学医学部付属病院)
  • 藤村 吉博(奈良県立医科大学付属病院)
  • 小嶋 哲人(名古屋大学 医学部)
  • 桑名 正隆(日本医科大学)
  • 羽藤 高明(愛媛大学医学部附属病院)
  • 和田 英夫(三重大学 医学部)
  • 小亀 浩市(国立循環器病研究センター)
  • 宮川 義隆(埼玉医科大学 医学部)
  • 宮田 敏行(国立循環器病研究センター)
  • 小林 隆夫(浜松医療センター)
  • 森下 英理子(金沢大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 難治性疾患等克服研究(難治性疾患克服研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
22,385,000円
研究者交替、所属機関変更
研究分担者 桑名正隆 慶應義塾大学(平成26年4月1日~6月30日)→日本医科大学(平成26年7月1日以降)

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は難治性疾患政策研究事業として、エビデンスに基づいた全国共通の診断基準・重症度分類の作成や改正、診療ガイドライン等の確立や改正及び普及などを目的としている。領域別基盤研究分野「血液系分野」の中で、特に止血•血栓領域を対象とし、平成26年度は特発性血小板減少性紫斑病、血栓性血小板減少性紫斑病、特発性血栓症(先天性血栓性素因)を取り上げる。
研究方法
<ITP>疫学研究は、毎年行われるITP臨床個人調査表を基に新規発症症例数、更新症例数、発症年齢、性、分布、罹病期間、治療内容、合併症、現在のQOL、等を解析した。ITP臨床個人調査表の改訂作業を行った。治療の標準化に関しては、妊娠合併ITPの診療について従来のガイドラインの改訂をめざし、産婦人科、小児科などの専門家も参画した作成委員会を組織した。ITP診断法の標準化と病態解析を基盤とした新規診断法を検討した。
<TTP>診断基準と重症度分類の作成、日本国内の症例の集積、ADAMTS13検査の保険適用取得への取り組み、難治性、再発性TTPに対するリツキシマブの医師主導治験、Upshaw-Schulman症候群(USS)の遺伝子解析とgenotype-phenotype解析を行う。
<特発性血栓症>特発性血栓症(静脈血栓塞栓症)の誘因となる先天性血栓性素因についての政策研究を行う。具体的には、先天性血栓性素因の診断基準作成とともに、診療ガイドの策定の策定に向けての調査研究を行った。さらに各個研究については、それぞれ特発性血栓症の発症実態の把握、発症予防のための適切な診療に向けての診断法の開発やその有効性についての調査研究を行った。
結果と考察
<ITP>臨床個人調査表:平成24年度分をまとめた。ITP医療受給者証所持患者は24,100人であり、このうち解析可能であった臨床調査個人票は18,115人分(75%)であった。妊娠合併ITP管理の参照ガイド:妊娠合併ITPに関しては、妊婦という特殊事情もあり治療のエビデンスは皆無であり、今後も臨床試験を行うことは不可能に近い。産婦人科、小児科、麻酔科のITPのエキスパートに参画頂き、専門家のコンセンサスの形で診療の参照ガイドを作成し、学会誌に掲載した(臨床血液55:934-947, 2014、オープンアクセス)。ITPの病態解析、診断:引き続き検査の標準化を検討した。
<TTP> TTPの診断基準と重症度分類の作成:平成27年1月から新しい医療費助成制度が始まることより、疾患の診断基準、および助成対処を決定する重症度分類を作成した。診断基準は、世界的なコンセンサスとなったADAMTS13活性10%未満のみをTTPとするに変更した。重症度分類として、後天性TTPでは8項目で点数化した。日本国内のTTP症例の集積: 1998年7月からの集積で、2014年12月末で1323例となり、この1年間で72例増加した。ADAMTS13検査の保険適用取得への取り組み:TTPの診断基準にADAMTS13活性とインヒビターが含まれているが、日本国内ではADAMTS13検査は保険適用となっていないため、保険収載されるように厚生労働省へ要望するとともに、ADAMTS13活性測定キットの体外診断用医薬品承認を目指した。難治性、再発性TTPに対するリツキシマブの医師主導治験(TTPへの適応拡大):2014年に実施、目標の症例数は6例で、7例の登録があったが、評価対象は目標通り6例となった。
<特発性血栓症>先天性血栓性素因の診断基準を作成した。「特発性血栓症リスク・AT resistance (ATR)検出検査」の調査研究では、原因不明とされていた2家系の日本人静脈血栓塞栓症患者でプロトロンビンBelgrade変異を検出した。「広島豪雨土砂災害の深部静脈血栓症」の発生状況の調査では、災害の種類によらずDVT陽性率が一般住民に比べて増加し、避難所環境と関連することが示唆された。「日本人静脈血栓塞栓症の遺伝的リスクであるプロテインS K196E 変異のELISA法を用いた検出法の確立に関する研究」では、PS K196E変異特異的モノクローナル抗体を用いて血中に存在する異常PS分子を検出した。その他「先天性プロテインS欠損症患者の妊娠管理および女性ホルモン剤使用に関する診療ガイドラインの策定」「先天性アンチトロンビン、プロテインC、プロテインS欠損症の臨床症状・検査所見、ならびに新規経口抗凝固薬が活性測定におよぼす影響」の研究が進行した。
結論
各研究グループにおいて、診断基準、重症度分類、診療ガイドの作成、調査票による疾患の実態調査や基礎研究の発展を認め、それら結果に基づいた診断・治療法の確立を目指す研究を遂行した。

公開日・更新日

公開日
2015-06-26
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2017-03-31
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2016-05-13
更新日
-

収支報告書

文献番号
201415098Z