アミロイドーシスに関する調査研究

文献情報

文献番号
201415092A
報告書区分
総括
研究課題名
アミロイドーシスに関する調査研究
課題番号
H26-難治等(難)-一般-057
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
安東 由喜雄(熊本大学 大学院生命科学研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 山田 正仁(金沢大学医薬保健研究域医学系 脳老化・神経病態学)
  • 池田 修一(信州大学医学部脳神経内科、リウマチ・膠原病内科)
  • 樋口 京一(信州大学学術研究院医学系、加齢生物学)
  • 玉岡 晃(筑波大学大学院人間総合科学研究科疾患制御医学専攻神経病態医学分野)
  • 東海林 幹夫(弘前大学大学院医学研究科脳神経内科学)
  • 高市 憲明(虎の門病院腎センター)
  • 山田 俊幸(自治医科大学臨床検査医学)
  • 内木 宏延(福井大学医学部医学科病因病態医学講座分子病理学領域)
  • 本宮 善恢(医療法人翠悠会(社団))
  • 奥田 恭章(道後温泉病院リウマチセンター 内科)
  • 西 慎一(神戸大学大学院医学研究科腎臓内科 免疫内科分野 )
  • 畑 裕之(熊本大学大学院生命科学研究部生体情報解析学)
  • 小池 春樹(名古屋大学医学部附属病院神経内科)
  • 島崎 千尋(独立行政法人地域医療機能推進機構 京都鞍馬口医療センター 血液内科)
  • 飯田 真介(名古屋市立大学大学院医学研究科 生体総合医療学講座・腫瘍・免疫内科学分野)
  • 植田 光晴(熊本大学医学部附属病院神経内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 難治性疾患等克服研究(難治性疾患克服研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
アミロイドーシスの診療・研究の中心的役割を担ってきた各臓器の専門家による班員の総力を結集し、横断的に、診療ガイドライン作成、患者全国実態調査、患者登録制度の確立、患者・家族の啓発、臨床医師・研究者ネットワークの整備を行おうとするプロジェクトである。本年度は、アミロイドーシスの全国疫学調査(一次調査)、アミロイドーシス診療体制構築事業による診療支援体制の構築、臨床個人調査票のデータ解析、剖検症例の解析、診断基準と重症度分類の作成を実施した。
研究方法
1. アミロイドーシス全国疫学調査
「難治性疾患の継続的な疫学データの収集・解析に関する研究班(研究代表者 中村好一 自治医科大学地域医療学センター 公衆衛生学部門)」と協力し、全国疫学調査を実施する。対象診療科は、神経内科、消化器科、循環器科、脳神経外科、泌尿器科、リウマチ科、血液内科、腎臓内科とした。
2. アミロイドーシス診療体制構築事業
2014年(1月~12月)に熊本大学アミロイドーシス診療体制構築事業に解析依頼のあった症例を解析した。
3. 臨床個人調査票の解析
2011年~2013年の臨床個人調査票のデータを解析した。
4. 剖検症例の解析
剖検輯報第55輯(2014年刊行で2012年度剖検症例をまとめたもの)のデータからアミロイドーシス症例を抽出し、詳細を解析した。
5. アミロイドーシス診断基準の改訂
 アミロイドーシスの診断基準を改定した。
6. 重症度分類の策定
 重症度分類を新規に作成した。
結果と考察
1.アミロイドーシス全国疫学調査
現在、「難治性疾患の継続的な疫学データの収集・解析に関する研究班(研究代表者 中村好一 自治医科大学地域医療学センター 公衆衛生学部門)」と協力し、全国疫学調査(一次調査を)の実施中である。対象診療科は、神経内科、消化器科、循環器科、脳神経外科、泌尿器科、リウマチ科、血液内科、腎臓内科で、対象施設数は15,723、抽出施設数は4,497となった。一次調査は本年度中に完了し、来年度から二次調査を実施する予定である。
2. アミロイドーシス診療体制構築事業
2014年(1月~12月)に熊本大学アミロイドーシス診療体制構築事業に解析依頼のあった症例は、227例であり153例が各アミロイドーシス病型診断に至った。その他の症例には、アミロイドーシスが否定された例、発症前遺伝子診断を受けた症例などが含まれる。153例のアミロイドーシス症例の病型別内訳は、AL(λ型)が50例、AL(κ型)が20例、家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)が26例、老人性全身性アミロイドーシス(SSA)が30例、AAが9例、透析関連アミロイドーシスが1例、その他のアミロイドーシスが17例であった。
3. 臨床個人調査票の解析
2011年~2013年の臨床個人調査票のデータを解析した。新規登録例は年間に約700例前後と予測される。病型別には、ALが70~75%程度、FAPが5~10%程度、SSAが5~10%程度、AGelは0.05%未満であった。前述のアミロイドーシス診療体制構築事業に依頼のあった症例と比較するとAL症例の割合が極めて多いことが分かる。これは大部分のAL症例はアミロイドーシス診療体制構築事業等のアミロイドーシス診療センターに、病腱診断依頼をしていないことを意味する。FAPとSSAの割合は同等であり、アミロイドーシス診療体制構築事業のデータと同様である。また、12~17%の症例は病型不明であり、対象外であるAA症例が1~2%ほど混在していることが判明した。
4. 剖検症例の解析
剖検輯報第55輯(2014年刊行で2012年度剖検症例をまとめたもの)のデータからアミロイドーシス症例を抽出した。1年間で297例のアミロイドーシス症例の剖検があった。このうち全身性アミロイドーシスが249例(84%)、限局性アミロイドーシスが48例(16%)であった。全身性のうち、ALは94例(32%)、AAは42例(14%)、SSAは13例(4%)、FAPは2例(0.7%)、DRAは9例(3%)であった。また病型未同定と考えられる症例が89例(30%)あった。病型未同定の症例には特に80歳以上の高齢者が多く含まれていた。
5. アミロイドーシス診断基準の改訂および重症度分類の策定を行った。
結論
本症の適切な診断が行われていない例が多く存在する。実態を解明するには、現在進行中である詳細な疫学調査が重要である。

公開日・更新日

公開日
2017-03-31
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201415092Z