文献情報
文献番号
201415091A
報告書区分
総括
研究課題名
原発性高脂血症に関する調査研究
課題番号
H26-難治等(難)-一般-056
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
石橋 俊(自治医科大学 医学部内科学講座内分泌代謝学部門)
研究分担者(所属機関)
- 寺本 民生(帝京大学 臨床研究センター)
- 山下 静也(大阪大学大学院 医学系研究科 )
- 太田 孝男(琉球大学大学院 医学研究科育成医学講座)
- 武城 英明(東邦大学 医学部附属佐倉病院)
- 荒井 秀典(独立行政法人 長寿医療センター病院)
- 林 登志雄(名古屋大学 医学部附属病院)
- 島野 仁(筑波大学大学院 医学医療系)
- 後藤田 貴也(杏林大学 生化学)
- 斯波 真理子(国立循環器病研究センター 病態代謝部)
- 宮本 恵宏(国立循環器病研究センター 予防健診部)
- 石垣 泰(岩手医科大学 糖尿病・代謝内科)
- 岡崎 啓明(東京大学 医学部附属病院)
- 野原 淳(金沢大学大学院 医薬保健学総合研究脂質研究講座)
- 稲垣 恭子(日本医科大学 内分泌・糖尿病代謝科)
- 倉科 智行(自治医科大学 内科学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 難治性疾患等克服研究(難治性疾患克服研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
8,154,000円
研究者交替、所属機関変更
[所属機関変更]
分担研究者 荒井秀典
京都大学大学院 医学研究科 老年病学 (平成26年4月1日~平成27年1月1日)
→ 独立行政法人 長寿医療センター病院 副院長 (平成27年1月1日以降)
研究報告書(概要版)
研究目的
原発性高脂血症の新しい原因遺伝子が同定され、血清脂質値を規定するSNPsに関する知見も大きく進歩しているが、わが国における実態は不明な点が多い。また、それら遺伝子診断を勘案した予後調査も不十分である。また、診断や予後予測に用いる検査指標の適正化が必ずしも十分でない。これらの知見がなければ、有効な薬物療法の種類や開始時期についての診療ガイドラインの作成は困難である。また、希少な遺伝性脂質代謝異常症については、本邦における頻度や治療実態が不明瞭である。これらの問題点を解決するため本研究事業では、3年間の研究年度の間に、家族性高コレステロール血症(FH)とその類縁疾患、高カイロミクロン血症、III型高脂血症、希少な遺伝性脂質代謝異常症の実態調査と予後調査を行い、それらの知見に基づいて診療ガイドラインの改良を主要な研究課題として行っていく。
研究方法
初年度および次年度には、FHとその類縁疾患、高カイロミクロン血症、III型高脂血症について今年度本研究班で新規設定するコホートへの症例集積を行う。この研究は前向き観察研究であり、登録時のベースラインデータと1年に1度の予後調査(虚血性心疾患、脳卒中、大動脈疾患、末梢動脈疾患および急性膵炎の発症の有無)を行うものである。EDCシステムを利用し共同研究者が直接入力する形式をとっている。希少な遺伝性脂質代謝異常症もコホートを設定し、長期予後を観察する調査を実施する。また、診断基準の検証も行う。最終年度には、診療ガイドラインを改訂し、コホートを継続するためのデータベースの設置を目指す。研究にあたっては疫学研究の指針に沿って行う。
結果と考察
「家族性高コレステロール血症、家族性III型高脂血症、高カイロミクロン血症に関する予後実態調査」は平成26年12月に主管である自治医科大学にて倫理審査委員会の承認を得て、共同研究施設での倫理審査委員会での審議を行っており、患者の登録は平成27年度より開始していくこととなっている。データベースは共同研究者の国立循環器病センターに設置し、日本動脈硬化学会主導の「脂質異常症実態調査」と同一の基盤を用いる。データの解析は毎年1度集計していく予定である。
本研究を通じて原発性高脂血症の各疾患に対する正確な診断法や適切な治療法の提案につながり、心血管イベント頻度の低下、生命予後の改善が期待でき、本研究で得られる情報は厚生行政の施策への直接貢献および政策形成の際のデータ提供に活用できる。また得られた知見の一般医家への情報提供による診療の質の向上や、今後の新薬開発につながり、将来的には我が国の原発性高脂血症診療の標準化、心血管イベント抑制による疾患予後の飛躍的改善、医療費削減が期待できる。
本研究を通じて原発性高脂血症の各疾患に対する正確な診断法や適切な治療法の提案につながり、心血管イベント頻度の低下、生命予後の改善が期待でき、本研究で得られる情報は厚生行政の施策への直接貢献および政策形成の際のデータ提供に活用できる。また得られた知見の一般医家への情報提供による診療の質の向上や、今後の新薬開発につながり、将来的には我が国の原発性高脂血症診療の標準化、心血管イベント抑制による疾患予後の飛躍的改善、医療費削減が期待できる。
結論
本申請研究(平成27~29年度)終了時に期待される成果として、原発性高脂血症症例のレジストリコホートの確立、各疾患の診断基準・診療ガイドラインの策定・改訂、重症度分類の作成・見直し、一般医への診断・治療方法の周知、国民への啓発が挙げられる。従来の研究成績を発展させたこれらの研究課題に関わる研究成果は、わが国における原発性高脂血症の診療に多大な貢献をすると考えられる。
公開日・更新日
公開日
2015-06-26
更新日
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