ベーチェット病に関する調査研究

文献情報

文献番号
201415089A
報告書区分
総括
研究課題名
ベーチェット病に関する調査研究
課題番号
H26-難治等(難)-一般-054
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
水木 信久(横浜市立大学 医学研究科 視覚器病態学)
研究分担者(所属機関)
  • 石ヶ坪 良明(横浜市立大学 医学研究科病態免疫制御内科学)
  • 岩渕 和也(北里大学 医学部 免疫学)
  • 鈴木 登(聖マリアンナ医科大学 免疫・病害動物学)
  • 桑名 正隆(日本医科大学 アレルギー膠原病内科)
  • 広畑 俊成(北里大学 医学部 膠原病・感染内科学)
  • 黒沢 美智子(順天堂大学 医学部 衛生学教室)
  • 蕪城 俊克(東京大学大学院 医学系研究科 外科学専攻眼科学)
  • 後藤 浩(東京医科大学 眼科学)
  • 中村 晃一郎(埼玉医科大学 皮膚科)
  • 齋藤 和義(産業医科大学 医学部 第一内科学講座)
  • 南場 研一(北海道大学大学院 医学研究科眼科学分野)
  • 菊地 弘敏(帝京大学 医学部 内科学講座)
  • 山根 敬浩(横浜市立大学附属病院 眼科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 難治性疾患等克服研究(難治性疾患克服研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
8,924,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究ではBehcet病(BD)の国内診療レベルの向上に寄与する診療ガイドラインを確立することを目標とする。そのためまず現在作成中の特殊型(腸管、血管、神経)BDのガイドラインを改訂、完成させることを重要な目的としている。さらに臨床の現場での意見や新規知見を取り入れ、より実用性の高いガイドラインに改訂するため、Mindsが推奨するClinical Question(CQ)形式のBD診療ガイドライン作成を目的にワーキンググループを立ち上げ作成を開始する。最終的に、海外の臨床研究者と連携を取り、国際的にも協調性のあるガイドラインを完成させる。

研究方法
1.新規患者調査票を用いた疫学データ解析の確立
2.病型別に重症度分類、活動性分類を作成
3.眼病変に対するIFX適応基準、離脱基準および薬理動態に基づく治療計画を含めた適正治療指針の整備
4.特殊型ベーチェット診療ガイドラインの作成 、改定
5.BD眼病変診療ガイドラインの作成
6.CQ形式のBD診療ガイドライン作成
7.診療医、患者への情報公開、ホームページ改定
結果と考察
1.当研究班では臨床調査個人票データベースを用いて、平成17年度と平成20~22年度に臨床疫学像の把握を行い、平成18年度、平成23~25年に予後の分析を行っている。現在、難治性疾患政策研究事業で新しい患者登録システムが稼働したばかりであるため、新システム移行後は新しいデータベースを用いてこれまでと同様に新規患者の悪化要因の解析を行っていく。
2.重症度分類および活動性分類のワーキンググループを開催した。眼症状と内科系の症状それぞれで重症度分類を作成し、最終的にすり合わせてより重症な方を採用するような重症度分類を作成していく。
3.IFX治療中あるいは治療歴のあるベーチェット病患者161例(治療対象主臓器は眼病変136例、腸管18例、神経7例)を対象とした解析で、有効血中濃度は0.93 μg/mlと算出された。眼病変IFX治療患者131例の解析の結果、臨床的に著効・有効と判定される群は86%にのぼった。
ATI陽性者、投与時反応が効果不十分・無効群に関連する因子として上げられ、多変量解析では投与時反応に集約された。ATI出現に関しては特殊病型も含めて解析したが、投与時反応、投与間隔短縮がリスク因子で、治療中止にも関与していた。
これらの結果はIFX効果が濃度依存性であり、IFX血中濃度の低下にATIが関わること、投与短縮による血中濃度の維持が有効な対応策であることを示している。
4.腸管ベーチェット病に関しては難治性炎症性腸管障害に関する調査研究班との腸管ベーチェットに関する共同研究体制を確立した。神経ベーチェット病ガイドラインが日本リウマチ学会によって承認された。血管ベーチェット病ガイドラインについては血管ベーチェット病の診療にあたる可能性のある大学付属病院および機関病院のリウマチ膠原病、血管外科の診療医にアンケート調査を行い、その外部評価を得た。
5.IFX治療導入前後のぶどう膜炎の活動性には有意な相関がみられた。IFX導入前のぶどう膜炎の活動性から導入後の活動性を推測できる可能性がある。眼発作スコア(BOS24:BD ocular attack score 24)でBOS24-1Yが40点以上、および20点未満は、ベーチェット病ぶどう膜炎の高活動性、低活動性の指標となりうる可能性がある。今後眼活動性スコアBOS24を完成させ、全国の患者を対象としてその客観性・妥当性を検証する。
6.実用性の高いCQ形式のBD診療ガイドライン作成を目的としたワーキンググループを立ち上げ、ガイドラインの作成を開始した。
7.研究班ホームページを改良した。班会議の情報や国内外の学会レポート、患者講演会など患者に有用な情報を随時発信した。
結論
1.新システム移行後も新しいデータベースを用いてこれまでと同様に解析を行っていく。
2.眼症状と内科系の症状それぞれで重症度分類を作成し、最終的にすり合わせてより重症な方を採用するような重症度分類を作成していく。
3.眼病変に対するIFX適応基準、離脱基準および薬理動態に基づく治療計画を含めた適正治療指針の完成を目指して研究をすすめていく。
4.特殊型ベーチェット診療ガイドラインの完成を目指す。
5.眼活動性スコアBOS24を完成させ、眼疾患BD診療ガイドラインに反映する。
6.実用性の高いCQ形式の内科系および眼疾患BD診療ガイドライン作成する。

公開日・更新日

公開日
2017-03-31
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201415089Z