希少難治性てんかんのレジストリ構築による総合的研究

文献情報

文献番号
201415086A
報告書区分
総括
研究課題名
希少難治性てんかんのレジストリ構築による総合的研究
課題番号
H26-難治等(難)-一般-051
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
井上 有史(独立行政法人国立病院機構静岡・てんかん神経医療センター 臨床研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 大槻泰介(国立精神・神経医療研究センター 脳外科)
  • 須貝研司(国立精神・神経医療研究センター 小児神経科)
  • 小国弘量(東京女子医大医学部 小児科)
  • 廣瀬伸一(福岡大学医学部 小児科学)
  • 柿田明美(新潟大学脳研究所 神経病理学)
  • 白石秀明(北海道大学医学部 小児科)
  • 中里信和(東北大医学部大学院 てんかん学分野)
  • 山本 仁(聖マリアンナ医科大学医学部 小児科学)
  • 白水洋史(独立行政法人国立病院機構西新潟中央病院 脳神経外科)
  • 高橋幸利(独立行政法人国立病院機構静岡・てんかん神経医療センター 臨床研究部)
  • 永井利三郎(大阪大学医学部大学院 小児神経学)
  • 小林勝弘(岡山大学医学部付属病院 小児神経科)
  • 馬場啓至(独立行政法人国立病院機構長崎医療センター 脳外科)
  • 池田昭夫(京都大学大学院医学研究科 てんかん・運動異常生理)
  • 渡辺英寿(自治医科大学大学院医学研究科 脳外科)
  • 奥村彰久(愛知医大医学部 小児科)
  • 浜野晋一郎(埼玉県立小児医療センター 神経科)
  • 加藤光広(山形大学医学部 小児科)
  • 菅野秀宣(順天堂大学医学部 脳神経外科)
  • 川合謙介(東京医療保健大 医療保健学部)
  • 林 雅晴(東京都医学総合研究所 神経病理学)
  • 松石豊次郎(久留米大学医学部 小児科)
  • 今井克美(独立行政法人国立病院機構静岡・てんかん神経医療センター 臨床研究部)
  • 酒井規夫(大阪大学大学院医学研究科 小児科)
  • 岡本伸彦(大阪府立母子保健総合医療センター 遺伝診療科)
  • 齋藤明子(独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター臨床研究センター臨床疫学研究室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 難治性疾患等克服研究(難治性疾患克服研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
21,077,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
希少難治性てんかんの多くは乳幼児・小児期にてんかん性脳症を来たし発達を重度に障害するため、適切な診療体制の普及と有効な治療法の開発および予防が喫緊の課題である。このため、希少難治性てんかん症候群およびその原因疾患につきレジストリを構築し、全国規模で症例を集積し、さらに追跡調査を行って、我が国における病態、発達・併存障害、治療反応、社会生活状態に関する疫学的な根拠を得ることを目的とした。初年度はレジストリを構築し、各施設の倫理委員会の承認を得て登録を開始し、可能なかぎり登録数を増やすことを目標とした。さらにこれらの疾患の疾患概要および重症度分類案を作成し、厚生労働省の指定難病制度に貢献する。
研究方法
研究対象:研究対象の疾患を「稀少難治てんかん診療マニュアル」をもとに検討した。その際、希少性、難治性、併存症、日常・社会生活への影響を考慮した。なお、多くの症候群は種々の病因を含み、また希少で重篤であるにもかかわらず症候群として認知されていないてんかんもあるため、原因別にも登録することを考慮した。
レジストリの設計・運用:実績のある研究機関と協議し、患者登録レジストリ/データベースの既知の問題点を考慮しながら、研究に必要なデータおよび解析結果を得るための最適の方法を検討した。さらに、円滑に登録をすすめるための方法を検討した。
倫理面への配慮:世界医師会ヘルシンキ宣言および人を対象とする医学系研究に関する倫理指針を遵守し、各実施医療機関の倫理審査委員会での承認後実施する。
難病政策:新たな段階に移行しつつあり、厚生労働施策への協力方法を模索する。
結果と考察
研究対象の疾患として、21+αの希少難治性てんかん症候群および24の原因疾患を採用した。データベース構築につき臨床疫学専門家、生物統計家、データマネージャー、システムエンジニア等と検討会議を11回開催し、これまでの他疾患でのデータマネジメントとデータ解析における労力と品質確保についての経験を考察し、プロトコルとともに予想図表を資料として議論した。その結果、疾患レジストリ、横断研究、前向き観察研究の3つに分離し、電子的データ収集(EDC)システムを採用することとした。被験者は実施医療機関で匿名化され、データセンターでは登録番号で管理される。疾患登録は2017年3月まで、横断研究は2015年11月まで、縦断研究では2015年11月までに登録された新規症例/診断移行症例を登録後2年間追跡する。疾患登録の解析は2015年11月、2016年11月までの登録例を用いて実施し、登録実態の把握、登録推進啓発のための資料入手、およびその時点での患者情報を分析して成果を公開する。死亡の解析は2016年11月までの登録例を用いて行う。横断研究は2015年度末に実施する。縦断研究は2016年度末に1年後のデータを用いて中間集計を行い、最終解析は2年後の観察を終了しデータ固定を行った後に実施する。また必要に応じて二次調査を行い、データの精度を高める。なお、症例登録の進捗状況を監視し、著しく登録数が少ないと判断された地域では、各ブロックに配するコーディネータにより登録推進の啓発を重点的に行う。また、各学会担当者、既存のネットワークや患者団体等との連携を活用して登録を推進することとした。
研究代表施設の倫理委員会の承認を得て研究計画書を確定し(平成26年9月16日)、当該研究の一般向けホームページを作成(http://www.res-r.com)(9月18日)、10月中に入力試行、ユーザー登録等をすませ、11月1日より、倫理委員会の承認を得た分担研究施設より順次登録を開始した。登録開始5ヶ月後の2015年3月31日時点で615例の登録がなされた。症例登録、横断的疫学研究、縦断的観察研究が一度の入力で行えることの利点は大きく、比較的簡便な負担の少ない入力で、予想を上回るペースで症例が蓄積されている。
次に、難病政策が新たな段階に移行しつつある現状を踏まえ、各希少難治てんかん症候群の疾患概要、重症度分類案を作成した。後者については、精神保健福祉手帳診断書における障害等級判定区分および障害者総合支援法の障害支援区分における「精神症状・能力障害二軸評価」を組み合わせて用いることを提案した。現在、当研究班の申請した18希少難治てんかん症候群/疾患について指定難病としての検討が行われているところである。
結論
希少難治性てんかんのレジストリ/データベースを構築した。EDCシステムのWEB方式で、平成26年11月1日より登録を開始した。入力は順調に行われており、現在までの登録症例は600例を越えている。今後さらに登録をすすめ、成果と課題を得て、本研究の目標を達成し、さらに次の研究へとつなげたい。

公開日・更新日

公開日
2015-06-26
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2017-03-31
更新日
-

収支報告書

文献番号
201415086Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
27,400,000円
(2)補助金確定額
27,400,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 8,973,116円
人件費・謝金 214,274円
旅費 2,378,934円
その他 9,519,211円
間接経費 6,323,000円
合計 27,408,535円

備考

備考
利息が1200円、自己資金が7335円です。自己資金は、外国旅費における予算超過による自己負担です。

公開日・更新日

公開日
2018-06-07
更新日
-