診断基準・診療指針の改良と普及をめざした大動脈疾患など遺伝性血管難病に関する調査研究

文献情報

文献番号
201415081A
報告書区分
総括
研究課題名
診断基準・診療指針の改良と普及をめざした大動脈疾患など遺伝性血管難病に関する調査研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H26-難治等(難)-一般-046
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
森崎 隆幸(独立行政法人国立循環器病研究センター 分子生物学部)
研究分担者(所属機関)
  • 湊谷 謙司(独立行政法人国立循環器病研究センター  血管外科)
  • 森崎 裕子(独立行政法人国立循環器病研究センター  分子生物学部)
  • 白石 公(独立行政法人国立循環器病研究センター 小児循環器科 )
  • 藤田 大司(東京大学大学院 医学系研究科)
  • 重松 邦広(東京大学大学院 医学系研究科)
  • 武田 憲文(東京大学大学院 医学系研究科)
  • 古庄 知己(信州大学 医学部)
  • 今井 靖(自治医科大学 医学部)
  • 圷 宏一(日本医科大学 医学部)
  • 荻野 均(東京医科大学 医学部)
  • 籏持 淳(獨協医科大学 医学部)
  • 小室 一成(東京大学大学院 医学系研究科)
  • 鈴木 亨(東京大学大学院 医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 難治性疾患等克服研究(難治性疾患克服研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
11,231,000円
研究者交替、所属機関変更
分担研究者の海外転出により研究者交替 分担研究者 鈴木 亨(2014年4月1日-9月30日)>藤田大司(2014年10月1日以降)

研究報告書(概要版)

研究目的
循環器系の希少難病の一つである若年発症の大動脈疾患は、病態病因の異なる疾患についての治療効果の情報は不十分で、現在の診療は不完全なガイドラインによらざるを得ない。そこで、本研究は、本邦での適切な診断、適切な診療ガイドラインが改良を行って今後の新しい治療法開発につなげることを目的とする。すなわち、大動脈疾患の稀少難病として「マルファン症候群」、「ロイス・ディーツ症候群」、「血管型エーラス・ダンロス症候群」、「家族性胸部大動脈瘤・解離」を取り上げ、組織的・体系的な疾患情報の収集体制を構築し、診断基準と診療ガイドラインの改良を行い、今後の新規病因・病態修飾因子の探索につなげることをめざす。
研究方法
本研究では、大動脈疾患の稀少難病である「マルファン症候群」、「ロイス・ディーツ症候群」、「血管型エーラス・ダンロス症候群」、「家族性胸部大動脈瘤・解離」について、国内の当該大動脈難治性疾患について集学的診療体制を有する2大拠点(国立循環器病研究センター・東京大学病院)を中心に、疾患管理数の多い機関により、疾患レジストリシステムを構築して、病因遺伝子情報を含めた疾患情報の収集蓄積をおこなう。その情報をもとに診断基準と診療ガイドラインの改良を行う。さらに、今後の新規病因・病態修飾因子の探索につなげ、新規治療法開発へと発展させる。すなわち、疾患レジストリシステムを本研究分担研究者がハブとなり、関連学会との連携、患者団体との協力関係の上で、全国レベルで疾患症例情報の収集と蓄積を展開する。さらに、本研究は新たな治療戦略や治療薬の開発研究などの研究とも連携して発展させる。
結果と考察
1)血管難病各疾患の診療状況の把握
 基幹医療機関での「マルファン症候群」、「ロイス・ディーツ症候群」、「血管型エーラス・ダンロス症候群」、「家族性胸部大動脈瘤・解離」の診療状況の把握を行い、2015年2月時点で総計828例が診療管理されていることが明らかとなった。これらの診療経験をもとに、各疾患について疾患概要の改訂を行い、さらに管理上必要な重症度分類案を作成した。
2)血管難病疾患レジストリシステムの構築
基幹医療機関の各専門医、遺伝医療専門家の合議により、血管難病疾患レジストリシステムの構築を行った。まず、基幹となる疾患共通に収集蓄積すべき基本項目を選定し、さらに、初診前・初診後の所見、イベント情報、治療経過などについても追記できるよう、ファイルメーカーProプログラムを用いてファイルシステムを構築した。
3)疾患診療情報の血管難病疾患レジストリシステムへの登録
まず、2大拠点(国立循環器病研究センター・東京大学病院)での各血管難病症例の血管難病疾患レジストリシステムへの登録を開始し、平成15年2月現在、総計332例の登録を行った。登録は、基幹医療機関で順次行っており、登録数は増加し、継続診療に対応して、個別の登録内容の拡充が図られた。さらに、学会との連携によりレジストリの全国展開を図るところである。
以上より、大動脈疾患の稀少難病である「マルファン症候群」、「ロイス・ディーツ症候群」、「血管型エーラス・ダンロス症候群」、「家族性胸部大動脈瘤・解離」は、必ずしも同一の診療科で診断管理診療がなされているとは限らず、国内での疾患情報は必ずしも正確ではなかったが、本研究により、国内の当該疾患について集学的診療体制を有する2大拠点(国立循環器病研究センター・東京大学病院)を中心に基幹医療機関での診療状況が把握され、レジストリシステム作成により、疾病発症の初期から時系列を追うことのできるシステムが構築された。
また、遺伝子解析情報に裏打ちされた血管難病のレジストリが構築され、学会、患者団体などの協力を得て、疾患の正確な実態把握が行える体制が整った。今回得られた情報を元に疾患概要の改訂を行い、重症度分類案の作成を行うことができた。
結論
大動脈疾患の稀少難病である「マルファン症候群」、「ロイス・ディーツ症候群」、「血管型エーラス・ダンロス症候群」、「家族性胸部大動脈瘤・解離」について、疾患レジストリシステムを構築し、基幹医療機関を軸に全国展開を図っている。拠点医療機関での症例情報を元に、疾患概要の改訂と重症度分類案の作成を行い、国内での血管難病の実情の把握が進んだ。

公開日・更新日

公開日
2015-06-26
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201415081C

成果

専門的・学術的観点からの成果
若年発症の大動脈疾患の稀少難病である「マルファン症候群」、「ロイス・ディーツ症候群」、「血管型エーラス・ダンロス症候群」、「家族性胸部大動脈瘤・解離」について組織的・体系的な疾患情報の収集体制を構築することができ、適切な診断基準と診療ガイドラインの策定・改良、今後の新規病因・病態修飾因子の探索につながる体制が構築された。
臨床的観点からの成果
若年発症の大動脈疾患の稀少難病である「マルファン症候群」、「ロイス・ディーツ症候群」、「血管型エーラス・ダンロス症候群」、「家族性胸部大動脈瘤・解離」については、時に適切な診断が行われていないこともあり、今回、疾患情報の収集体制の構築と情報集積を行う事ができ、今後の診療ガイドラインの改良などの推進につなげることが可能になった。
ガイドライン等の開発
現時点では、大動脈疾患全般のガイドラインが作成されているが、若年発症の大動脈疾患の稀少難病に特化したガイドラインはまだない。今回の研究成果と今後の研究活動により、当該疾患に特化したガイドライン開発につなげたい。
その他行政的観点からの成果
2015年より、本研究を含む関連研究の成果をうけて、マルファン症候群及び類縁疾患、血管型エーラス・ダンロス症候群については、難病の指定となり、患者負担の軽減につなげることができた。
2016年度より、マルファン症候群、血管型エーラス・ダンロス症候群、ロイス・ディーツ症候群、家族性大動脈瘤・解離のそれぞれについて遺伝学的検査が診療報酬収載され、検査実施が容易になった。
さらに、今後、診断基準、重症度分類の改善について研究成果を行かして行く予定である。
その他のインパクト
本研究は国内の基幹医療機関が中心に行われたが、成果は関連学会でのシンポジウムや教育講演として医療水準の向上に役立つ活動を行ったほか、患者会と共催して患者むけの説明会を定期的に実施した。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
53件
その他論文(和文)
22件
その他論文(英文等)
1件
学会発表(国内学会)
7件
学会発表(国際学会等)
6件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
2件
その他成果(普及・啓発活動)
1件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2016-05-26
更新日
2019-06-03

収支報告書

文献番号
201415081Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
14,600,000円
(2)補助金確定額
14,600,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 5,238,560円
人件費・謝金 3,262,242円
旅費 2,438,882円
その他 291,810円
間接経費 3,369,000円
合計 14,600,494円

備考

備考
自己資金充当

公開日・更新日

公開日
2018-06-07
更新日
-