間脳下垂体機能障害における診療ガイドライン作成に関する研究

文献情報

文献番号
201415069A
報告書区分
総括
研究課題名
間脳下垂体機能障害における診療ガイドライン作成に関する研究
課題番号
H26-難治等(難)-一般-034
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
島津 章(独立行政法人国立病院機構京都医療センター 臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 肥塚 直美(東京女子医科大学 医学部第二内科)
  • 石川 三衛(自治医科大学附属さいたま医療センター 内分泌代謝)
  • 片上 秀喜(帝京大学ちば総合医療センター 内科・臨床研究部)
  • 横谷 進(国立成育医療研究センター 生体防御系内科部)
  • 峯岸 敬(群馬大学大学院医学系研究科 器官代謝制御学講座)
  • 山田 正三(虎の門病院 間脳下垂体外科)
  • 柳瀬 敏彦(福岡大学医学部 内分泌・糖尿病内科)
  • 沖 隆(浜松医科大学 第二内科)
  • 中里 雅光(宮崎大学医学部 神経呼吸内分泌代謝学・呼吸器学)
  • 有田 和徳(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 脳神経外科学)
  • 岩崎 泰正(高知大学教育研究部 医療学系臨床医学部門)
  • 高野 幸路(北里大学医学部 内分泌代謝内科学)
  • 山田 正信(群馬大学大学院医学研究科 病態制御内科学)
  • 清水 力(北海道大学病院 検査・輸血部)
  • 菅原 明(東北大学大学院医学系研究科 分子内分泌学分野)
  • 有馬 寛(名古屋大学大学院医学系研究科 糖尿病・内分泌内科)
  • 椙村 益久(名古屋大学大学院医学系研究科 糖尿病・内分泌内科)
  • 高橋 裕(神戸大学大学院医学研究科 糖尿病内分泌内科学)
  • 田原 重志(日本医科大学大学院医学研究科 神経病態解析学分野)
  • 大月 道夫(大阪大学大学院医学研究科 内分泌・代謝内科)
  • 井野元 智恵(東海大学医学部 基盤診療学系病理診断学)
  • 蔭山 和則(弘前大学医学部附属病院 内分泌内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 難治性疾患等克服研究(難治性疾患克服研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
11,520,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
難治性疾患克服研究事業の間脳下垂体機能障害に関する調査研究班は、平成25年度まで間脳下垂体機能障害を呈する17疾患について、診断基準と治療方針の概要をまとめた診断と治療の手引きを公表しており、広く診療の現場に用いられている。今回、エビデンスに基づいた診療ガイドラインを策定するため、これまでの診断基準を見直し、科学的根拠を集積・分析してその改訂作業を行うこととした。間脳下垂体疾患を取り扱う日本内分泌学会の役員・学会員を中心に、日本間脳下垂体腫瘍学会、日本産婦人科学会、日本小児内分泌学会の役員も参加して、関連学会専門委員会との密接な連携により、診療ガイドラインを策定することが目的である。
研究方法
間脳下垂体疾患は適切な治療がなされないと合併症の悪化、QOLの低下を示し生命予後が悪化する疾患である。手術や薬物、放射線療法などが選択されるが、より早期の発見と確実な診断を可能とする診断基準への改訂が重要である。我が国における疾患分布は国外と異なることが知られており、疾患の独自性にも着目する必要がある。一部では国際的な診断基準との整合性について解決しなければならない事項が存在する。代表的疾患についての総括的な診療ガイドライン作成を目指した。指定難病制度において、各対象疾患における重症度分類が必要となったため、その分類案の検討も行った。
結果と考察
間脳下垂体機能障害を呈する疾患について、これまで間脳下垂体機能障害に関する調査研究班により策定されてきた診断と治療の手引きを基盤として、疾患概念の変遷や新たに見いだされた病態、より精緻な検査法の導入等を考慮し、専門医の意見を統合する形で、日常診療に資する診断基準について平成26年度改訂を行った。その結果、1) 先端巨大症および下垂体性巨人症の診断の手引き(平成26年度改訂)、2) クッシング病/サブクリニカルクッシング病の診断の手引き(平成26年度改訂)、3) プロラクチン分泌過剰症の診断の手引き(平成26年度改訂)、4)バゾプレシン分泌低下症(中枢性尿崩症)の診断の手引き(平成26年度改訂)、5) バゾプレシン分泌過剰症(SIADH)の診断手引き(平成26年度改訂)、6) 下垂体ゴナドトロピン産生腫瘍の診断の手引き(平成26年度改訂)、7) 中枢性思春期早発症の診断の手引き(平成26年度改訂)、8) 下垂体TSH産生腫瘍の診断の手引き(平成26年度改訂)、9) 下垂体前葉機能低下症(GH分泌不全性低身長症、成人GH分泌不全症、ACTH分泌低下症、PRL分泌低下症、ゴナドトロピン分泌低下症、TSH分泌低下症)の診断の手引き(平成26年度改訂)、10) 偶発的下垂体腫瘍(インシデンタローマ)の診断の手引き(平成26年度改訂)、11) 自己免疫性視床下部下垂体炎の診断の手引き(平成26年度改訂)が策定された。今回の改訂は主に専門医の意見・コンセンサスをまとめる形で行われた。間脳下垂体機能障害は希少疾患によるものが多く、診療ガイドライン設定に必要なエビデンスの集積が十分でない。そのため、継続した各疾患の診療実態調査・疾患レジストリ―を用いた科学的根拠の構築が求められる。
 指定難病制度において、各対象疾患における重症度分類が必要となり、重症度分類の検討を行った。その結果、1) 先端巨大症および下垂体性巨人症、2) クッシング病/サブクリニカルクッシング病、3) プロラクチン分泌過剰症、4)バゾプレシン分泌低下症(中枢性尿崩症)、5) バゾプレシン分泌過剰症(SIADH)、6) 下垂体TSH産生腫瘍、7) 下垂体前葉機能低下症(GH分泌不全性低身長症、成人GH分泌不全症、ACTH分泌低下症、PRL分泌低下症、ゴナドトロピン分泌低下症、TSH分泌低下症)に関して、重症度分類案が策定された。重症度分類の場合、客観性のある適切な臨床指標が求められる。しかし、患者視点からの生活上の困難さをどう反映させるかは困難な課題と考えられ、今後も継続した議論が必要である。
結論
先端巨大症および下垂体性巨人症、クッシング病、PRL分泌過剰症、バゾプレシン分泌低下症(中枢性尿崩症)、バゾプレシン分泌過剰症(SIADH)、下垂体ゴナドトロピン産生腫瘍、中枢性思春期早発症、下垂体TSH産生腫瘍、下垂体前葉機能低下症(GH分泌不全性低身長症、成人GH分泌不全症、ACTH分泌低下症、PRL分泌低下症、ゴナドトロピン分泌低下症、TSH分泌低下症)、偶発的下垂体腫瘍(インシデンタローマ)、自己免疫性視床下部下垂体炎に関して平成26年度に診断基準を改訂した。一部の疾患においては重症度分類案を提案した。今後、間脳下垂体機能障害の診断と治療を包括した診療ガイドラインの策定により、効率よい疾患スクリーニングと集学的治療や個別化した治療への方向が明らかにされよう。

公開日・更新日

公開日
2018-06-07
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2018-04-27
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201415069C

収支報告書

文献番号
201415069Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
14,400,000円
(2)補助金確定額
14,400,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 9,372,375円
人件費・謝金 0円
旅費 1,576,160円
その他 571,683円
間接経費 2,880,000円
合計 14,400,218円

備考

備考
補助金交付額14400000円に利息83円 自己資金135円を加えて総事業費は14400218円である。

公開日・更新日

公開日
2018-06-07
更新日
-