先天性骨髄不全症の登録システムの構築と診断ガイドラインの作成に関する研究

文献情報

文献番号
201415064A
報告書区分
総括
研究課題名
先天性骨髄不全症の登録システムの構築と診断ガイドラインの作成に関する研究
課題番号
H26-難治等(難)-一般-029
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
伊藤 悦朗(弘前大学 大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 張替 秀郎(東北大学 大学院医学系研究科)
  • 矢部 普正(東海大学 医学部)
  • 真部 淳(聖路加国際病院)
  • 小島 勢二(名古屋大学 大学院医学系研究科)
  • 菅野 仁(東京女子医科大学 大学院先端生命医科学系専攻)
  • 高田 穣(京都大学 放射線生物研究センター)
  • 浜口 功(国立感染症研究所)
  • 大賀 正一(山口大学 大学院医学系研究科)
  • 小原 明(東邦大学 医療センター大森病院)
  • 照井 君典(弘前大学 医学部附属病院)
  • 古山 和道(岩手医科大学)
  • 多賀 崇(滋賀医科大学)
  • 小林 正夫(広島大学 大学院医歯薬保健学研究院)
  • 渡邉 健一郎(静岡県立こども病院)
  • 金兼 弘和(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
  • 國島 伸治(国立病院機構名古屋医療センター)
  • 山口 博樹(日本医科大学)
  • 剣持 直哉(宮崎大学 フロンティア科学実験総合センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 難治性疾患等克服研究(難治性疾患克服研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
20,231,000円
研究者交替、所属機関変更
所属機関異動 研究分担者 金兼弘和 富山大学(平成26年4月1日~平成26年9月30日)→東京医科歯科大学(平成26年10月1日以降)

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国における実態が不明であった先天性骨髄不全症においても、平成21年度以降、8疾患(先天性赤芽球癆(DBA)、Fanconi貧血(FA)、遺伝性鉄芽球性貧血(SA)、 Congenital dyserythropoietic anemia(CDA)、先天性角化不全症(DKC)、Shwachman Diamond syndrome(SDS)、先天性好中球減少症(SCN)、先天性血小板減少症(CTP))が、厚労省難治性疾患克服研究事業に採択され、全国疫学調査、臨床データの収集、遺伝子解析が行われ、実態が明らかにされつつある。本研究申請では、共通点の多いこれらの8疾患の医療水準の向上を効果的に進めるために、一つの研究班に統合して研究を推進する。これまでの研究を通じて確立した解析基盤を共有し、日本小児血液・がん学会の中央診断事業と疾患登録事業とも連携し、正確な診断に基づいた新規症例の把握と検体収集を行う。平成26年度は、遺伝子診断の結果も含めて、国際共同研究を視野に入れた共通のデータベースを基にした先天性造血不全のWEB登録システムの構築を行う。平成27年度は、データ収集と観察研究を継続し、より正確な先天性造血不全の実態の把握を行い、エビデンスに基づいた診断基準の改定、重症度分類の確立、診断・治療ガイドラインを策定する。
研究方法
本研究申請では、発症数が少なく共通点の多い先天性造血不全症の医療水準の向上を効果的に進めるために、一つの研究班に統合して研究を推進する。本研究班は、8つの疾患別研究拠点から構成され、各研究拠点(DBA(伊藤)、SA(張替)、FA(矢部・高田)、CDA(小島・真部)、DKC (小島、山口)、SDS (渡邉)、SCN(小林)、CTP(國島))は、疫学調査、臨床データおよび検体の収集、遺伝子診断のための既知の原因遺伝子解析とバイオマーカーなどの特殊検査を担当する。研究代表者(伊藤)が、DBAの研究を担当するとともに研究全体を統括する。平成26年度は、遺伝子診断の結果も含めて、先天性造血不全の登録システムの構築を行う。平成27年度は、データ収集と観察研究を継続し、より正確な先天性造血不全の実態の把握を行い、エビデンスに基づいた診断基準の改定、重症度分類の確立、診断・治療ガイドラインを策定する。
結果と考察
本研究は、小児血液・がん学会の中央診断事業と疾患登録事業とも連携し、新規症例の把握、検体収集と既知の原因遺伝子の解析を進め、本年度は以下の研究成果が得られた。1) 先天性骨髄不全のWEB登録システムの構築を行った。2)赤血球還元グルタチオン濃度が優れたDBAの新たなバイオマーカーとなり、赤血球アデノシンデアミナーゼ活性値を組み合わせることで、診断確度が格段に高まることを明らかにした。4) アルデヒド代謝酵素であるALDH2の多型が、FAの臨床像との強い関連がみられることを見出した。これは、FA患者の骨髄における病態の本質に強い示唆を与え、また、将来の治療法開発への道を開くものと言える。5) これまで診断基準が未策定であった3疾患(SDS、SCN、CTP)の診断基準の作成および重症度分類が無かった5疾患(DBA、CDA、SDS、SCN、CTP)の重症度分類を作成した。これらの研究成果は、新たな診断・治療ガイドラインを策定のための重要な資料となる。
結論
先天性骨髄不全は、稀少疾患であるため、症例を効率的に集積できなければ研究の進展は困難である。このため、海外との共同研究を視野に入れた先天性骨髄不全のWEB登録システムの構築を行った。先天性骨髄不全の中で最も症例が多いDBAは、約半数が原因遺伝子不明であるため、遺伝子診断が不可である。このため、新規のバイオマーカーが求められていた。我々は、赤血球還元グルタチオン濃度が優れたDBAの新たなバイオマーカーとなり、赤血球アデノシンデアミナーゼ活性値を組み合わせることで、診断確度が格段に高まることを明らかにした。アルデヒド代謝酵素であるALDH2の多型が、FAの臨床像との強い関連がみられることを見出した。特に、ALDH2酵素活性の欠損をもたらす多型が骨髄不全の進行を強く促進した。稀少疾患である先天性造血不全症は、診断から治療まで一貫した登録システムの確立、長期フォローアップ体制と最良の治療法の提供までのガイドライン作成が重要である。本年度は、これまで診断基準が未策定であった3疾患(SDS、SCN、CTP)の診断基準の作成および重症度分類が無かった5疾患(DBA、CDA、SDS、SCN、CTP)の重症度分類を作成した。

公開日・更新日

公開日
2015-06-26
更新日
-

研究報告書(PDF)

総括研究報告書
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研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2017-03-31
更新日
-

収支報告書

文献番号
201415064Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
26,300,000円
(2)補助金確定額
26,300,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 15,856,510円
人件費・謝金 781,546円
旅費 1,050,180円
その他 2,542,764円
間接経費 6,069,000円
合計 26,300,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2018-06-07
更新日
-