Kenny-Caffey症候群類縁疾患の実態調査と診断指針作成のための研究

文献情報

文献番号
201415053A
報告書区分
総括
研究課題名
Kenny-Caffey症候群類縁疾患の実態調査と診断指針作成のための研究
課題番号
H26-難治等(難)-一般-018
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
北中 幸子(東京大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 難治性疾患等克服研究(難治性疾患克服研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
1,077,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
Kenny-Caffey(ケニー・キャフェイ)症候群(KCS)は、著明な低身長、低カルシウム血症、長管骨の骨膜肥厚、目の異常を伴う症候群である。本症候群は、遺伝型式により1型、2型に分類される。類似症状を呈する疾患として、HRD症候群(hypoparathyroidism -retardation-dysmorphism;副甲状腺機能低下・発達遅滞・奇形症候群)や、重症の表現型を呈し、生命予後が不良であるosteocraniostenosis(骨頭蓋骨狭窄症, OCS)という疾患がある。Kenny-Caffey症候群1型は、TBCE (tubulin chaperone E)遺伝子が原因であることがわかり、HRD症候群と診断されていた疾患は、Kenny-Caffey症候群1型と同一遺伝子を原因とすることがわかった。2014年、Kenny-Caffey症候群2型の原因遺伝子が、FAM111A遺伝子であることを、我々と海外グループが同定した。さらに、FAM111A遺伝子変異は、osteocraniostenosis の原因でもあることも判明した。このように、Kenny-Caffey症候群類縁疾患の原因は明らかとなってきたが、疾患の希少性から、その患者数、疾患概念、診断指針はまだ確立していない。この研究の目的は、Kenny-Caffey症候群類縁疾患の実態調査を行い、病型分類や診断指針を作成することにより、疾患概念を確立することである。
研究方法
研究機関の倫理審査の承認を得た後、関連する学会に調査協力を依頼し、日本小児内分泌学会および日本未熟児新生児学会との評議員を対象にアンケート調査を実施した。一次調査は、Kenny-Caffey症候群類縁疾患(KCS1型、KCS2型、HRD症候群、OCS、低カルシウム血症を伴う低身長症)の患者の有無、症例数を調査した。各疾患の臨床所見について、写真をつけた説明文を付した。一次調査にて診療ありと回答した施設の医師に対して、二次調査票を送付した。
結果と考察
本年度行った全国患者調査は、当研究機関の倫理審査の承認を得た後、関連する学会の調査協力の承認のもと行った。一次調査にて、105名からの回答があり、その中の6施設においてKCS類縁疾患の診療経験があった。この6施設に二次調査を行ったところ、4例について回答があり、内訳は、KCS 1例、KCS疑い1例、OCS 1例、低カルシウム血症を伴う低身長症1例であった。同意の得られた1例と二次調査依頼中の1例について、KCSの原因として報告されているTBCE遺伝子およびFAM111A遺伝子の解析を行った。また、これまでの研究報告および当施設の研究実績をもとに、遺伝子診断システムの構築を検討した。
結論
本調査によりKCS類縁疾患は、非常に稀であることが判明した。診断の契機としては、低カルシウム血症、発育遅延、特異顔貌であった。一方で、医師の知識不足により、この調査に含まれなかった例も少なからずあると考えられ、今後、指針の作成を検討すると共に、一般人を含めて、ホームページ等で広く情報提供が必要であると思われた。

公開日・更新日

公開日
2017-03-31
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201415053Z