先天性中枢性低換気症候群(CCHS)の診断・治療・管理法の確立

文献情報

文献番号
201415042A
報告書区分
総括
研究課題名
先天性中枢性低換気症候群(CCHS)の診断・治療・管理法の確立
課題番号
H26-難治等(難)-一般-007
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
長谷川 久弥(東京女子医科大学 東医療センター新生児科)
研究分担者(所属機関)
  • 早坂 清(山形大学小児科)
  • 佐々木 綾子(山形大学小児科)
  • 鈴木 康之(国立成育医療研究センター手術集中治療部)
  • 山田 洋輔(東京女子医科大学 東医療センター新生児科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 難治性疾患等克服研究(難治性疾患克服研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
1,154,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
先天性中枢性低換気症候群(congenital central hypoventilation syndrome: CCHS)は,
呼吸中枢の先天的な異常により主に睡眠時に,重症型では覚醒時にも低換気をきたす疾患であ
る.有病率は,5~20 万人に1 人と推定されている.典型例では新生児期より発症するが,乳
児から成人期に発症する非典型例も存在する.CCHSは、国内では診断・治療指針が策定されて
おらず、統一された治療・管理が行われていない。的確な診断・治療・管理が欠如すると、低
酸素脳症を惹起し、神経系に不可逆的なダメージを与え、脳性マヒや発達遅延の原因となる。
本研究ではCCHSの診断基準、重症度分類、診療ガイドラインを作成し、統一された治
療・管理を行うことにより、低酸素脳症の減少、患者の予後改善を目指す。

研究方法
本研究では全国からCCHS症例を紹介される主要施設を中心に、遺伝子変異型と臨床的特徴を明らかにし(早坂、佐々木担当)、炭酸ガス換気応答の遺伝子変異型別特徴、年齢的な変化を検討する。同時にCCHSの診断・治療指針のさらなる検討を行う。(長谷川、山田担当)。また、呼吸管理法の実態調査を行い、安全な呼吸管理法を周知し、顔面の変形などの合併症についても検討を行う(鈴木担当)。
結果と考察
1.診断について
(1)PHOX2B 遺伝子診断法(早坂清、佐々木綾子担当)
CCHSを疑われた国内の殆ど症例に対して、遺伝子診断は山形大学医学部で検索されており、データが集積されている。臨床的にCCHSと診断、あるいはCCHSを疑われた症例201例に対し、遺伝子診断を施行し、102例に遺伝子異常を認めた。
(2)炭酸ガス換気応答試験による診断(長谷川久弥、山田洋輔担当)
遺伝子診断がなされているCCHS10例で炭酸ガス換気応答試験を行った。全測定の平均は3.8 mL/kg/min/mmHgであり、正常新生児(40.4±14.8)や正常成人と比較すると極めて低値であった。
(3)先天性中枢性低換気症候群における横隔膜電気的活動(Electrical Activity of Diaphragm
: Edi)モニタリングによる診断(長谷川久弥、山田洋輔担当)
CCHSと遺伝子診断された乳幼児3例を対象に横隔膜電気的活動(Edi)モニタリングを行った。
Edi peakは覚醒時と比較して睡眠時に著明に低下した(15.6±2.7, 4.8±1.9 µV)。睡眠時Edi peakは
基準値より有意に低かった(4.8±1.9, 10±4 &micro;V, P<0.001)。
(4)CCHS呼吸ドック(包括的呼吸評価)(長谷川久弥、山田洋輔担当)
呼吸器を包括的に評価する方法を考案し、CCHS呼吸ドックと名付け、6例のCCHS患者の精査
を行った。
2.治療および管理について(鈴木康之担当)
人工呼吸方法は、気管切開陽圧人工呼吸管理、気管切開以外では鼻マスク、フェースマスク、
横隔膜ペーシングなどが行われている。症状、年齢に応じた治療指針を策定し、低酸素脳症
を回避することを目指した。
結論
CCHSの診断基準、重症度分類、診療ガイドラインを作成することにより、速やかな診断が可能となり、統一された治療・管理を行うことにより、低酸素脳症の減少、患者の予後改善が期待される。
これらの周知のためには、講演会、ミィーティングなどを通じ情報提供を行う必要があるものと思われる。また、治療・管理法については、国内医療機関における現状分析を行い、標準的な治療・管理法の提示、周知も重要と思われる。

公開日・更新日

公開日
2017-03-31
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201415042Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
1,500,000円
(2)補助金確定額
1,500,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 754,724円
人件費・謝金 0円
旅費 136,830円
その他 262,446円
間接経費 346,000円
合計 1,500,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2018-06-07
更新日
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