文献情報
文献番号
201415041A
報告書区分
総括
研究課題名
脳クレアチン欠乏症候群の臨床研究
課題番号
H26-難治等(難)-一般-006
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
和田 敬仁(京都大学大学院医学研究科医療倫理学・遺伝医療学分野 医療倫理学・遺伝医療学分野)
研究分担者(所属機関)
- 小坂 仁(自治医科大学 小児科)
- 後藤 知英(地方独立行政法人 神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター 神経内科)
- 相田 典子(地方独立行政法人 神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター 放射線科)
- 新保 裕子(地方独立行政法人 神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター 臨床研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 難治性疾患等克服研究(難治性疾患克服研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
1,154,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
脳クレアチン欠乏症候群(cerebral creatine deficiency syndromes: CCDSs)は、クレアチン生合成や輸送の障害により脳内クレアチン欠乏をきたし、知的障害・自閉症・てんかんを主症状とし、グアニジノ酢酸メチル基転移酵素(GAMT)欠損症、アルギニン・グリシンアミジノ基転移酵素(AGAT)欠損症、 クレアチン輸送体(SLC6A8)欠損症の3疾患からなる. 本年度の目標は、診断基準の作成と疾患の周知、および、基礎研究推進のためのリサーチリソースの基盤整備にある.
研究方法
(倫理面への配慮)本研究は、本学における医の倫理委員会で承認を受け(G693),「臨床研究に関する倫理指針」「医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン」などに則って行われる.
1.脳クレアチン欠乏症の脳MRI/MRSに関する研究(相田)
脳クレアチン欠乏症候群の診断には脳1H-MR spectroscopy(以下MRS)が重要であり、クレアチンピークの減少が特徴的所見である.本研究においては、診断確定例の脳MRI所見を解析し、その特徴を明らかにすることを目的とした。
2.脳クレアチン欠乏症候群の病態解明に関する研究(小坂)
脳クレアチン欠乏症はGAMT欠損症、AGAT欠損症、 SLC6A8欠損症の3疾患からなる.本研究においては、3疾患を鑑別するためHPLC方法を用いた尿スクリーニング方法を開発し、その有効性を検討した.
3.脳クレアチン欠乏症候群の診断基準作成および疫学調査に関する研究(後藤・和田)
患者を集積し診断基準を作成するとともに、本邦における有病率を推定することが目的である.
4.脳クレアチン欠乏症の分子遺伝学的診断に関する研究(新保)
本研究においては、尿中のクレアチン関連化合物をHPLC法で測定し、次いで血液からRNA 、ゲノムDNAを抽出して遺伝子解析を行うことによる診断システムを開発し、その有効性を検証する.
1.脳クレアチン欠乏症の脳MRI/MRSに関する研究(相田)
脳クレアチン欠乏症候群の診断には脳1H-MR spectroscopy(以下MRS)が重要であり、クレアチンピークの減少が特徴的所見である.本研究においては、診断確定例の脳MRI所見を解析し、その特徴を明らかにすることを目的とした。
2.脳クレアチン欠乏症候群の病態解明に関する研究(小坂)
脳クレアチン欠乏症はGAMT欠損症、AGAT欠損症、 SLC6A8欠損症の3疾患からなる.本研究においては、3疾患を鑑別するためHPLC方法を用いた尿スクリーニング方法を開発し、その有効性を検討した.
3.脳クレアチン欠乏症候群の診断基準作成および疫学調査に関する研究(後藤・和田)
患者を集積し診断基準を作成するとともに、本邦における有病率を推定することが目的である.
4.脳クレアチン欠乏症の分子遺伝学的診断に関する研究(新保)
本研究においては、尿中のクレアチン関連化合物をHPLC法で測定し、次いで血液からRNA 、ゲノムDNAを抽出して遺伝子解析を行うことによる診断システムを開発し、その有効性を検証する.
結果と考察
1.脳クレアチン欠乏症の脳MRI/MRSに関する研究(相田)
本年度は、患児44例(男児30例、女児14例、生後10ヶ月から11才)のうち1例の23ヶ月男児において、視覚的なクレアチンピークの減少を認め、定量解析にてその濃度は正常の2割以下と判断され、クレアチン欠乏症候群と診断した。特異的MRI異常は認めなかった。
2.脳クレアチン欠乏症候群の病態解明に関する研究(小坂)
本年度、知的障害を呈する30才代女性において、HPLC法を用いた尿の分析により、尿グアニジノ酢酸の高値を認めたため、GAMT欠損症を疑い、分子遺伝学的解析により確定した.
3.脳クレアチン欠乏症候群の診断基準作成および疫学調査に関する研究(後藤・和田)
神奈川県立こども医療センター神経内科における年間559件の新規紹介症例のうち、発達遅滞・自閉症・てんかんのいずれかを主訴に受診したもの352件(2013年度実績。2014年度については集計中)のほぼ全例対して、脳MRSを含めた頭部MRI検査を実施し、1症例においてクレアチン輸送体欠損症が強く疑われる所見が得られた.
4.脳クレアチン欠乏症の分子遺伝学的診断に関する研究(新保)
本年度は脳クレアチン代謝異常症が疑われた3症例に対して尿中クレアチン化合物を測定し、1症例において異常を検出した.現在までに、GAMT欠損症1症例、SLC6A8欠損症5例の遺伝学的診断を行った.また、HPLC法を用いた尿クレアチン/クレアチニン比の正常値を設定した.
5.患者さんの検体登録システムと将来の治験を目指した体制整備(和田)
国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 創薬資源部 難病資源研究室のご協力により、患者さんの検体登録システムを確立し、研究参加支援サイト“CURE Path”を開設した.
本年度は、患児44例(男児30例、女児14例、生後10ヶ月から11才)のうち1例の23ヶ月男児において、視覚的なクレアチンピークの減少を認め、定量解析にてその濃度は正常の2割以下と判断され、クレアチン欠乏症候群と診断した。特異的MRI異常は認めなかった。
2.脳クレアチン欠乏症候群の病態解明に関する研究(小坂)
本年度、知的障害を呈する30才代女性において、HPLC法を用いた尿の分析により、尿グアニジノ酢酸の高値を認めたため、GAMT欠損症を疑い、分子遺伝学的解析により確定した.
3.脳クレアチン欠乏症候群の診断基準作成および疫学調査に関する研究(後藤・和田)
神奈川県立こども医療センター神経内科における年間559件の新規紹介症例のうち、発達遅滞・自閉症・てんかんのいずれかを主訴に受診したもの352件(2013年度実績。2014年度については集計中)のほぼ全例対して、脳MRSを含めた頭部MRI検査を実施し、1症例においてクレアチン輸送体欠損症が強く疑われる所見が得られた.
4.脳クレアチン欠乏症の分子遺伝学的診断に関する研究(新保)
本年度は脳クレアチン代謝異常症が疑われた3症例に対して尿中クレアチン化合物を測定し、1症例において異常を検出した.現在までに、GAMT欠損症1症例、SLC6A8欠損症5例の遺伝学的診断を行った.また、HPLC法を用いた尿クレアチン/クレアチニン比の正常値を設定した.
5.患者さんの検体登録システムと将来の治験を目指した体制整備(和田)
国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 創薬資源部 難病資源研究室のご協力により、患者さんの検体登録システムを確立し、研究参加支援サイト“CURE Path”を開設した.
結論
GAMT欠損症、AGAT欠損症は劣性遺伝性疾患、SLC6A8欠損症はX連鎖性疾患であり、早期治療の有効性も考慮すると、適切な遺伝カウンセリングは極めて重要であり、臨床的および分子遺伝学的確定診断および疾患の診断基準、自然歴の確立が求められる.
公開日・更新日
公開日
2015-06-26
更新日
-