文献情報
文献番号
201415033A
報告書区分
総括
研究課題名
視神経脊髄炎の再発に対するリツキシマブの有用性を検証する第II/III相 多施設共同プラセボ対照無作為化試験
研究課題名(英字)
-
課題番号
H25-難治等(難)-一般-025
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
田原 将行(国立病院機構宇多野病院 臨床研究部)
研究分担者(所属機関)
- 澤田 秀幸(国立病院機構宇多野病院 臨床研究部)
- 大江田 知子(国立病院機構宇多野病院 臨床研究部)
- 藤原 一男(東北大学大学院医学系研究科多発性硬化症治療学寄附講座)
- 中島 一郎(東北大学大学院医学系研究科 神経・感覚器病態学講座 神経内科学分野)
- 清水 優子(東京女子医科大学医学部 神経内科学)
- 岡田 和将(産業医科大学 神経内科学教室)
- 後藤 雅史(京都医療センター・総合内科)
- 越智 一秀(広島大学病院 脳神経内科学)
- 野村 恭一(埼玉医科大学総合医療センター 神経内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 難治性疾患等克服研究(難治性疾患克服研究)
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
27,286,000円
研究者交替、所属機関変更
研究分担者交代(新規)
越智 一秀(平成26年12月1日以降)
野村 恭一(平成27年1月1日以降)
研究報告書(概要版)
研究目的
視神経脊髄炎(以下、NMO)は、主に脊髄や視神経に再発性病変を生じる免疫性神経疾患であり、近年、難病指定されている多発性硬化症(以下、MS)に含まれることが判明した。
MSの治療については、知見が得られてきているが、NMOに対しては十分なエビデンスを持った治療方法は国内外をみても存在しない。再発予防にステロイドが経験的に用いられているが減量により再発する場合や長期治療による副作用の問題も多い。そのため、ステロイドに替わる確実な治療法の開発が急務と考えられ、今回、抗CD20モノクローナル抗体であるリツキシマブによるNMOの再発予防効果を検証するための医師主導治験を計画した。
本治験の実施は、本邦のみならず、海外の治療ガイドライン等への引用も期待され、本邦発のエビデンス創出/輸出となる。また、この取り組みは、本邦の臨床研究の活性化につながるものと期待される。
MSの治療については、知見が得られてきているが、NMOに対しては十分なエビデンスを持った治療方法は国内外をみても存在しない。再発予防にステロイドが経験的に用いられているが減量により再発する場合や長期治療による副作用の問題も多い。そのため、ステロイドに替わる確実な治療法の開発が急務と考えられ、今回、抗CD20モノクローナル抗体であるリツキシマブによるNMOの再発予防効果を検証するための医師主導治験を計画した。
本治験の実施は、本邦のみならず、海外の治療ガイドライン等への引用も期待され、本邦発のエビデンス創出/輸出となる。また、この取り組みは、本邦の臨床研究の活性化につながるものと期待される。
研究方法
治験実施計画書は、医薬品医療機器総合機構の対面助言(P2764-IDEC-C2B8)を経て作成した。試験デザインは、第Ⅱ/Ⅲ相多施設共同プラセボ対照無作為化試験。主要評価項目は、割付から初回再発までの期間とした。試験期間は、72週。目標症例数は、各群20名の合計40名である。
生物統計家として後藤雅史が参加しており、参加施設(治験責任医師)は、宇多野病院(田原)、東京女子医科大学(清水)、産業医科大学(岡田)、東北大学(藤原)に加え、広島大学(越智)と埼玉医科大学(野村)が参加した。安全性評価として、有害事象、重篤な有害事象の頻度をみる。対象症例の選択、除外基準に大きな変更はない。
生物統計家として後藤雅史が参加しており、参加施設(治験責任医師)は、宇多野病院(田原)、東京女子医科大学(清水)、産業医科大学(岡田)、東北大学(藤原)に加え、広島大学(越智)と埼玉医科大学(野村)が参加した。安全性評価として、有害事象、重篤な有害事象の頻度をみる。対象症例の選択、除外基準に大きな変更はない。
結果と考察
本年度の目標であった医師主導治験開始は、4月17日当院初回IRB、21日PMDAへ治験届けを行うことで達成した。PMDAからは更なる修正は受けず、4月26日全治験実施施設でのキックオフミーティングを東京で行い、5月10日治験開始となった。6月に、宇多野病院での院内スタートアップミーティングを経て、6月30日最初の症例の組み入れを行うことが出来た。
他の治験実施施設の準備状況としては、産業医科大学は7月14日、東北大学は10月27日、東京女子医科大学は平成27年2月13日にIRB審議を終了した。しかし、本治験参加者のメリットの一つであるオープン継続試験(RIN-2試験)は、臨床研究であるため、その審査機関が治験であるRIN-1試験と異なることから、その審議に予想以上の時間を要すこととなった。折悪く、臨床研究に関する倫理指針の変更時期と一致したため、各施設での対応は混乱していた。平成26年12月22日に「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」が告示されたものの、当院と産業医科大学の2施設以外は治験を始められない状況であった。今年度は、目標40名のところ、2施設で10名(登録8名、待機2名)に留まった。この状況が被験者組み入れの遅れ、ひいては治験の遅れの主因となった。
その状況を鑑み、治験を加速させるための対策として、治験実施施設を2施設追加・準備することとした。難治性疾患政策研究事業による本疾患のガイドライン作成委員会メンバーである野村恭一教授(埼玉医科大学総合医療センター)に治験参加の協力を依頼、広島大学(治験責任医師:越智一秀診療講師)には9月に協力を依頼、平成27年1月IRB審議となるスムーズな治験準備となったものの、やはり臨床研究であるRIN-2試験の審議に時間を要している。
対象患者が数千人程度という難病の治験においては、被験者リクルートが治験の律速段階であり、各施設において対象疾患である視神経脊髄炎に関する研究を進めてもらうことが患者集積性維持の観点からは重要であり、各治験施設責任者が主体的に取り組むことが重要である。
本研究の国民への情報発信として、11月に新聞(産経新聞)やインターネット(日本最大の閲覧数を誇るポータルサイトYahoo!JAPANのトップページ)に掲載されたことが挙げられる。このことによって、医師主導治験の現状と問題点、また難病対策としての医師主導治験が、一般国民の耳目を集めることとなった。今後は、地域での講演会を予定することで、本研究事業の周知を図るとともに、NMOの患者レジストリーを作成し、いっそうの被験者組み入れを進めていく。
他の治験実施施設の準備状況としては、産業医科大学は7月14日、東北大学は10月27日、東京女子医科大学は平成27年2月13日にIRB審議を終了した。しかし、本治験参加者のメリットの一つであるオープン継続試験(RIN-2試験)は、臨床研究であるため、その審査機関が治験であるRIN-1試験と異なることから、その審議に予想以上の時間を要すこととなった。折悪く、臨床研究に関する倫理指針の変更時期と一致したため、各施設での対応は混乱していた。平成26年12月22日に「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」が告示されたものの、当院と産業医科大学の2施設以外は治験を始められない状況であった。今年度は、目標40名のところ、2施設で10名(登録8名、待機2名)に留まった。この状況が被験者組み入れの遅れ、ひいては治験の遅れの主因となった。
その状況を鑑み、治験を加速させるための対策として、治験実施施設を2施設追加・準備することとした。難治性疾患政策研究事業による本疾患のガイドライン作成委員会メンバーである野村恭一教授(埼玉医科大学総合医療センター)に治験参加の協力を依頼、広島大学(治験責任医師:越智一秀診療講師)には9月に協力を依頼、平成27年1月IRB審議となるスムーズな治験準備となったものの、やはり臨床研究であるRIN-2試験の審議に時間を要している。
対象患者が数千人程度という難病の治験においては、被験者リクルートが治験の律速段階であり、各施設において対象疾患である視神経脊髄炎に関する研究を進めてもらうことが患者集積性維持の観点からは重要であり、各治験施設責任者が主体的に取り組むことが重要である。
本研究の国民への情報発信として、11月に新聞(産経新聞)やインターネット(日本最大の閲覧数を誇るポータルサイトYahoo!JAPANのトップページ)に掲載されたことが挙げられる。このことによって、医師主導治験の現状と問題点、また難病対策としての医師主導治験が、一般国民の耳目を集めることとなった。今後は、地域での講演会を予定することで、本研究事業の周知を図るとともに、NMOの患者レジストリーを作成し、いっそうの被験者組み入れを進めていく。
結論
被験者組み入れを1年間延長し、平成27年度末まで行うこととしたため、72週の治験実施期間を踏まえると、治験終了は平成29年9月となる。平成30年3月に総括報告書完成となると、希少疾患用医薬品指定申請による優先審査が適った場合には、早ければ6月に承認取得が可能である。
公開日・更新日
公開日
2015-06-26
更新日
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