文献情報
文献番号
201415028A
報告書区分
総括
研究課題名
抗菌活性・創修復作用を有する新規ペプチドを用いた遺伝的早老症患者の難治性潰瘍治療薬の開発
課題番号
H25-難治等(難)-一般-020
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
中神 啓徳(国立大学法人大阪大学 大学院大阪大学・金沢大学・浜松医科大学・千葉大学・福井大学連合小児発達学研究科)
研究分担者(所属機関)
- 楽木 宏実(大阪大学 医学系研究科)
- 冨岡 英樹(アンジェスMG)
- 渡辺 元(アンジェスMG)
- 横手 幸太郎(千葉大学 医学系研究院)
- 三木 哲郎(京都大学 医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 難治性疾患等克服研究(難治性疾患克服研究)
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
91,728,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
創に対する治療法として、創傷治癒を促進するための湿潤環境を作る湿潤療法が提唱されている。他方、創部では皮膚のバリアー機構が破綻しているために種々の細菌が繁殖することが多く、創の治りに関与しない汚染あるいは繁殖(コロニゼーション)の状態か、又は創の治癒を遅延させる感染の状態かを正確に見極めて、適切な治療を行うことが重要とされる。
難治性皮膚潰瘍では局所感染兆候(発熱・発赤・腫脹・疼痛)の判定が困難なことが多く、その感染に至る前段階(クリティカルコロニゼーション)での見極めが難しい。特にウエルナー患者での皮膚潰瘍は圧のかかる部位に好発するため創傷被覆材が用いられることが多い。難治性潰瘍患者では特にQOLの改善から新しい治療法が求められている。
我々が同定した新規抗菌性ペプチドAG30を用いた難治性皮膚潰瘍治療薬の開発は、早期探索型臨床試験拠点のシーズとし選定されたことを契機に、医師主導型治験あるいは将来的な企業への導出を念頭におき改変体を作成し、AG30/5Cペプチドが血清によって分解される代謝産物の機能解析から、20残基のアミノ酸で一部D体にアミノ酸を置換した低コストで活性のあるペプチドの作成に成功した(SRペプチド)。このペプチドを用いた同疾患への医師主導型治験を計画している。
難治性皮膚潰瘍では局所感染兆候(発熱・発赤・腫脹・疼痛)の判定が困難なことが多く、その感染に至る前段階(クリティカルコロニゼーション)での見極めが難しい。特にウエルナー患者での皮膚潰瘍は圧のかかる部位に好発するため創傷被覆材が用いられることが多い。難治性潰瘍患者では特にQOLの改善から新しい治療法が求められている。
我々が同定した新規抗菌性ペプチドAG30を用いた難治性皮膚潰瘍治療薬の開発は、早期探索型臨床試験拠点のシーズとし選定されたことを契機に、医師主導型治験あるいは将来的な企業への導出を念頭におき改変体を作成し、AG30/5Cペプチドが血清によって分解される代謝産物の機能解析から、20残基のアミノ酸で一部D体にアミノ酸を置換した低コストで活性のあるペプチドの作成に成功した(SRペプチド)。このペプチドを用いた同疾患への医師主導型治験を計画している。
研究方法
医師主導治験に向けた非臨床試験を進める。すで、ラット全層欠損モデルでの創傷治癒促進作用、各種細菌に対する抗菌活性、CMC(原薬の分析・安定性)、薬物動態試験(LC/MS)、ウサギ皮膚一次刺激性試験、遺伝毒性試験(非GLP)、ラット2週間反復毒性試験(非GLP)、 毒性試験(ラット4週間反復毒性試験)、安全性薬理試験(中枢神経・呼吸)、刺激性・感作性試験(ウサギ皮膚累積刺激性試験、モルモット皮膚感作性試験)が終了しており、平成26年度はサルでの安全性薬理試験(循環系)を遂行した。
CMCは治験薬GMPでの原薬・製剤の予備検討が終了しており、平成26年度は治験薬の原薬製造・製剤化を行った。また、SR-0379の作用メカニズムの検討として細胞内情報伝達系の解析も行なった。臨床試験に向けた書類整備(手順書・治験薬概要書・実施計画書・症例報告書・患者説明文書)を進め、治験審査評価委員での承認、PMDAへの治験届提出後に健常人20名に対するパッチテストを行った。
CMCは治験薬GMPでの原薬・製剤の予備検討が終了しており、平成26年度は治験薬の原薬製造・製剤化を行った。また、SR-0379の作用メカニズムの検討として細胞内情報伝達系の解析も行なった。臨床試験に向けた書類整備(手順書・治験薬概要書・実施計画書・症例報告書・患者説明文書)を進め、治験審査評価委員での承認、PMDAへの治験届提出後に健常人20名に対するパッチテストを行った。
結果と考察
医師主導治験に必要な非臨床試験としてサルを用いた循環器系の安全性薬理試験を行ったが、特に問題を認めなかった。上記試験をもって、PMDA薬事戦略相談対面助言で確認した患者での初期評価試験に必要な非臨床試験をすべて実施終了したため、患者への投与の臨床治験の開始が可能となった。CMCとしては、前年度に施行した予備検討を元にして、治験薬GMPでAmerican Peptideで治験薬の合成を行い、その後ナガセ医薬品で製剤化を行い、第1相および第1/2a相に必要な製剤合成を終了した。
また、SR-0379の細胞内情報伝達系の解析も並行して行い、ヒト線維芽細胞でインテグリンのノックダウンによりSR-0379の細胞内情報伝達系活性化が阻害されることが分かり、SR-0379の創修復作用のメカニズムが明らかとなった。
臨床試験に関しては、第1相試験として健常人20名を対象とした皮膚刺激性試験(パッチテスト)を信濃坂クリニックに委託して行った。結果、特に刺激性を認めず次相の患者への試験へと進むこととなった。第1/2a相に関しては、PMDA薬事戦略相談を12月に行い、3月に対面助言を実施して試験デザインを決定した。次年度の患者での臨床試験に向けた準備として、分担研究者の横手教授を中心にウエルナー症候群の患者会で本研究の取り組みを紹介し、患者への情報情報提供を積極的に行なった。
また、SR-0379の細胞内情報伝達系の解析も並行して行い、ヒト線維芽細胞でインテグリンのノックダウンによりSR-0379の細胞内情報伝達系活性化が阻害されることが分かり、SR-0379の創修復作用のメカニズムが明らかとなった。
臨床試験に関しては、第1相試験として健常人20名を対象とした皮膚刺激性試験(パッチテスト)を信濃坂クリニックに委託して行った。結果、特に刺激性を認めず次相の患者への試験へと進むこととなった。第1/2a相に関しては、PMDA薬事戦略相談を12月に行い、3月に対面助言を実施して試験デザインを決定した。次年度の患者での臨床試験に向けた準備として、分担研究者の横手教授を中心にウエルナー症候群の患者会で本研究の取り組みを紹介し、患者への情報情報提供を積極的に行なった。
結論
早老症に合併する難治性皮膚潰瘍の新規治療薬開発を目指して、非臨床試験・CMC・臨床試験(健常人に対するパッチテスト)を終了した。今後、皮膚潰瘍患者での評価へと進む予定である。
公開日・更新日
公開日
2015-06-26
更新日
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