重症喘息を対象としたCTLA4-Ig(Abatacept、オレンシア(R))の適応拡大をめざした医師主導治験および非臨床研究

文献情報

文献番号
201414016A
報告書区分
総括
研究課題名
重症喘息を対象としたCTLA4-Ig(Abatacept、オレンシア(R))の適応拡大をめざした医師主導治験および非臨床研究
課題番号
H25-難治等(免)-一般-006
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
森 晶夫(独立行政法人国立病院機構相模原病院 臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 小林 信之(独立行政法人国立病院機構東京病院 呼吸器内科)
  • 谷本 安(独立行政法人国立病院機構南岡山医療センター 臨床研究部)
  • 松元 幸一郎(九州大学病院 呼吸器科)
  • 神沼 修(公益財団法人東京都医学総合研究所 ゲノム医科学研究分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 難治性疾患等克服研究(免疫アレルギー疾患等予防・治療研究)
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
27,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
軽症ないし中等症喘息の予後、QOLは改善したものの、入手可能なすべての治療薬を併用してもなお重症な喘息患者に対する治療効果は、きわめて不十分な水準に留まっている。治療抵抗性を特徴とする重症喘息機序の解明と新規治療法の開発は喘息研究分野に残された最大の課題である。重症喘息病態を特徴付けるT細胞レベルのステロイド抵抗性は、特に重要な課題である。
研究方法
本研究では、森らが実施してきた厚生労働科学研究で明らかになったCTLA4-Igのステロイド抵抗性改善効果を臨床レベルで検証する目的に、オレンシアの重症喘息への適応拡大をめざした医師主導治験を計画、立案、実施している。加えて、非臨床レベルのエビデンスを確立する目的に、ステロイド抵抗性の喘息モデルを用いて、CTLA4-Igの経気道投与によるステロイド感受性回復効果を解析した。低分子のcostimulatory signal阻害薬、siRNAの介入効果についても検討した。
結果と考察
25年度中に申請を行っていたPMDA事前面談を4月に実施、その後、数回の書面審査、照会を経て、8月に対面助言を終了し、治験プロトコール、治験関連文書を固定した。全体ミーティングで、治験実施の実際的課題を討議した後、各施設での治験実施申請、IRB審査、承認を受けた。12月には、厚生労働大臣への治験計画届けを提出した。27年2月に治験実施施設全体のキックオフミーティングを開催、施設毎の治験説明会を実施し、エントリー開始した。非臨床研究においては、クローン化T細胞移入によるステロイド抵抗性マウス実験喘息を確立し、CTLA4-Igの局所投与による効果をin vivoで証明した。
結論
今年度の本研究班の成果によって、1)重症喘息に対する世界初のcostimulatory signalをターゲットとする治療介入試験が、本研究班の4名の研究代表者、研究分担者を自ら治験を実施する者とする医師主導治験として実施に到った。2)CTLA4-Igの局所投与による効果をin vivoで明らかにした。CTLA4-Igを用いてステロイド抵抗性病態に介入する非臨床エビデンスがさらに補強された。3)低分子量化合物によって、CTLA4-Ig によるCD86-CD28シグナル遮断と同等の効果が確認され、新たな治療手段として有望であることが明らかになった。4)実験レベルでは、Thサブセットによってステロイド感受性が異なり、Th1、Th17がステロイド抵抗性であることが明らかになった。本研究は、既存の治療薬の効果に限界のある重症・難治症例の治療法開発に向けて、大いに役立つものと期待される。

公開日・更新日

公開日
2015-04-21
更新日
-

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研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2015-04-21
更新日
-

収支報告書

文献番号
201414016Z