文献情報
文献番号
201414013A
報告書区分
総括
研究課題名
アレルギー疾患の全年齢にわたる継続的疫学調査体制の確立とそれによるアレルギーマーチの発症・悪化要因のコホート分析に関する研究
課題番号
H25-難治等(免)-一般-003
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
赤澤 晃(東京都立小児総合医療センター アレルギー科)
研究分担者(所属機関)
- 小田嶋 博(国立病院機構福岡病院)
- 斎藤 博久(国立成育医療研究センター研究所)
- 足立 雄一(富山大学医学部小児科)
- 海老澤 元宏(国立病院機構相模原病院臨床研究センター)
- 大矢 幸弘(国立成育医療研究センター アレルギー科)
- 秀 道広(広島大学大学院医歯薬学総合研究科)
- 岡田 千春(国立病院機構本部医療部)
- 今野 哲(北海道大学大学院医学研究科呼吸器内科学分野)
- 谷口 正実(国立病院機構相模原病院 臨床研究センター)
- 下条 直樹(千葉大学大学院医学研究院小児病態学)
- 吉田 幸一(東京都立小児総合医療センター アレルギー科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 難治性疾患等克服研究(免疫アレルギー疾患等予防・治療研究)
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
18,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
長期にわたる有症率の変化、発症、増悪要因分析、治療状況の実態を調査分析することは新たな治療法、予防方法の開発、ガイドラインの評価および無駄のない医療政策の策定に不可欠である。年齢や様々な要因により有症率が変化するアレルギー疾患の発症・増悪要因を解明するためには、アレルギー疾患発症早期の患者をアレルギーマーチの始まりとしてとらえ長期にわたる時間軸でコホート調査を行いでこれまで横断的にとらえられていた現象を結びつけて総合的に分析することが必要になる。本研究では、基本的は疫学調査を実施しながら、web調査を利用することでアレルギーマーチの推移をコホート調査し、発症・増悪要因の分析をおこなっていく。
研究方法
疾患ごとのチームで分担して実施した。各疾患の有症率、発症悪化要因分析を、主にweb調査により実施した。また、web調査の妥当性の検証を行った。
1.成人喘息・アレルギー性鼻炎
(1)Web調査の妥当性の検証。(2)成人喘息の有病率、診断、治療行動に関する診療情報データの二次利用に関する研究
2.小児喘息・アレルギー性鼻炎
アレルギー性鼻結膜炎の重症化に関連する因子の検討
3.アトピー性皮膚炎
(1)アトピー性皮膚炎有症率の経年比較 (2)Webを用いたアトピー性皮膚炎の疫学調査体制の確立。(3)アトピー性皮膚炎の治療実態に関する調査。(4)慢性蕁麻疹、血管性浮腫の患者QOLの評価
4.食物アレルギー
相模原市におけるアレルギー性疾患コホート調査
1.成人喘息・アレルギー性鼻炎
(1)Web調査の妥当性の検証。(2)成人喘息の有病率、診断、治療行動に関する診療情報データの二次利用に関する研究
2.小児喘息・アレルギー性鼻炎
アレルギー性鼻結膜炎の重症化に関連する因子の検討
3.アトピー性皮膚炎
(1)アトピー性皮膚炎有症率の経年比較 (2)Webを用いたアトピー性皮膚炎の疫学調査体制の確立。(3)アトピー性皮膚炎の治療実態に関する調査。(4)慢性蕁麻疹、血管性浮腫の患者QOLの評価
4.食物アレルギー
相模原市におけるアレルギー性疾患コホート調査
結果と考察
1.成人喘息・アレルギー性鼻炎:web調査の妥当性の検証では、アレルギー性鼻炎、喘息の既往、最近1年の皮膚のかゆみの有病率は、有意に郵送紙調査群のほうが高く、喘息症状を示すいくつかの質問項目の有症率はWeb調査群のほうが有意に高かった。
2.小児喘息・アレルギー性鼻炎:本調査に参加した6-12歳28343名のうち、アレルギー性鼻結膜炎有症者は5368名(18.9%)であった。重症アレルギー性鼻結膜炎は708名となり、全体の2.5%、アレルギー性鼻結膜炎有症者の13.2%であった。ペットの飼育状況、母の喫煙状況との関連性が見いだされた。
3.アトピー性皮膚炎:経年変化では2014年度の千葉市3歳でのAD有病率は2005年度と比較して有意に高かった。web調査の検証では、web回答群と紙回答群の差は消失した。web調査では、アトピー性皮膚炎診断のある者のうち14.8%にステロイド忌避があった。
4.食物アレルギー調査では、相模原市の2002年調査と比較して家族のアレルギー疾患の既往の比率およびペットの飼育率は有意に増加していた。
2.小児喘息・アレルギー性鼻炎:本調査に参加した6-12歳28343名のうち、アレルギー性鼻結膜炎有症者は5368名(18.9%)であった。重症アレルギー性鼻結膜炎は708名となり、全体の2.5%、アレルギー性鼻結膜炎有症者の13.2%であった。ペットの飼育状況、母の喫煙状況との関連性が見いだされた。
3.アトピー性皮膚炎:経年変化では2014年度の千葉市3歳でのAD有病率は2005年度と比較して有意に高かった。web調査の検証では、web回答群と紙回答群の差は消失した。web調査では、アトピー性皮膚炎診断のある者のうち14.8%にステロイド忌避があった。
4.食物アレルギー調査では、相模原市の2002年調査と比較して家族のアレルギー疾患の既往の比率およびペットの飼育率は有意に増加していた。
結論
アレルギー疾患の継続的な疫学調査は、今後の治療ガイドライン作成、医療政策作成のうえで重要な資料となる。平成27年度に、アレルギー疾患対策基本法が施行される。まずは、それぞれのアレルギー疾患の患者がどれだけいるのか、その人達がどのような治療を受けていて、なにに困っているのかを調査して整理する必要がある。本研究班の結果が基本的なデータとなっていくように進めていくことが重要と考える。
公開日・更新日
公開日
2015-06-26
更新日
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