文献情報
文献番号
201413006A
報告書区分
総括
研究課題名
特定健康診査による個人リスク評価に基づく、保健指導と連結した効果的な慢性腎臓病(CKD)地域医療連携システムの制度設計
課題番号
H24-難治等(腎)-一般-006
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
渡辺 毅(福島県立医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
- 井関邦敏(琉球大学 医学部)
- 鶴屋和彦(九州大学大学院 医学研究院 )
- 山縣邦弘(筑波大学 医学医療系 )
- 守山敏樹(大阪大学 保健センター )
- 木村健二郎(独立行政法人地域医療機能推進機構 東京高輪病院)
- 成田一衛(新潟大学大学院 医歯薬総合研究科)
- 藤元昭一(宮崎大学 医学部 )
- 今田恒夫(山形大学 医学部 )
- 近藤正英(筑波大学 医学医療系 )
- 笠原正登(京都大学 医学部)
- 柴垣有吾(聖マリアンナ医科大学 医学部)
- 旭 浩一(福島県立医科大学 医学部 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 難治性疾患等克服研究(腎疾患対策研究)
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
19,674,000円
研究者交替、所属機関変更
所属機関異動
研究分担者 木村健二郎
聖マリアンナ医科大学医学部(平成26年4月1日~平成26年8月31日まで)→独立行政法人地域医療機能推進機構東京高輪病院(平成26年9月1日以降)
研究報告書(概要版)
研究目的
日本人のエビデンス、特に特定健診による個人のリスク評価に基づく医療経済的にも許容される、CKDの早期発見・保健指導・かかりつけ医と腎臓専門医の連携が有機的に結合した総合的CKD地域診療システムを確立する。
研究方法
(1)全国特定健診受診者コホート群からのデータ収集継続と解析用データセットの作成(2)人口動態調査死亡票を利用した特定健診受診者の死亡アウトカムの抽出と解析用データセットの作成(3)CKD発症・進展、心血管病(CVD)発症、死亡に対するリスク解析(横断的、縦断的要因解析)とリスク評価法の確立(上記(1)、(2)で作成されたデータセットを用いて、特定健診の全問診項目、必須及び自主的測定項目(血清Cr値、尿酸、血尿など)、メタボリック症候群判定、保健指導レベルの各因子とCKD発症・進展、CVD、死亡などアウトカムとの関連を横断的・縦断的に検討)(4)腎臓病健診並びにCKD医療連携の医療経済解析(本研究班の研究成果、国内の先行研究データ(FROM-J, CKD-JAC等)、既存文献、及び各種統計データを用いて経済モデル(Markovモデル)を作成し、腎臓病健診ならびにCKD医療連携の費用対効果、財源影響を分析)(5)健診・保健指導要綱及び医療連携での受診基準の検討。
結果と考察
今年度の要因解析で新たに生活習慣病前駆病態(高血圧前症、尿酸値軽度上昇)や生活習慣因子(禁煙、体重管理、節酒、身体活動、食事)、行動変容ステージ、体重、腹囲などに関連する、CKDの一次予防や重症化防止の観点から注目すべき危険因子が抽出された。さらにeGFRの経時的な測定のCVD発症予測因子としての意義も明らかになった。また特定健診受診者集団において、その死因は新生物(46.3%)、循環器系疾患(21.6%)、損傷,中毒およびその他の外因の影響(11.4%)であることが判明し、全死亡、癌死、心血管死のいずれも死亡リスクは高BMIとともに低BMIで高かった。医療経済学的解析では、CKD診療におけるかかりつけ医と腎臓専門医の連携強化や生活・栄養指導などの多因子介入が費用対効果に優れることが新たに示された。CVD抑制戦略におけるCKDに着目した早期からの生活習慣病対策の重要性と、CKD診療における多因子治療の意義と医療経済的合理性が示唆される。
結論
特定健診受診者におけるCKD発症進展、CVD発症、死亡の危険因子の解明が進展した。CKDの視点からのリスク解析と生活習慣病対策を踏まえた保健指導、診療連携の体制整備が重症化予防のための効率的な介入戦略に資する可能性が示唆された。
公開日・更新日
公開日
2015-06-26
更新日
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