文献情報
文献番号
201412046A
報告書区分
総括
研究課題名
簡便な新規心血管イベント予知マーカーによる効率的なハイリスク患者抽出方法の確立
研究課題名(英字)
-
課題番号
H25-循環器等(生習)-一般-017
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
和田 啓道((独)国立病院機構京都医療センター 展開医療研究部)
研究分担者(所属機関)
- 長谷川 浩二((独)国立病院機構京都医療センター 展開医療研究部)
- 佐藤 哲子((独)国立病院機構京都医療センター 糖尿病研究部)
- 赤尾 昌治((独)国立病院機構京都医療センター 循環器内科)
- 阿部 充((独)国立病院機構京都医療センター 循環器内科)
- 金子 壮朗((独)国立病院機構北海道医療センター 循環器内科)
- 松田 守弘((独)国立病院機構呉医療センター 予防医学研究室)
- 舩田 淳一((独)国立病院機構愛媛医療センター 循環器科)
- 藤本 和輝((独)国立病院機構熊本医療センター 循環器内科)
- 鈴木 雅裕((独)国立病院機構埼玉病院 臨床研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
15,390,000円
研究者交替、所属機関変更
研究分担者交替
岡本 洋(平成26年4月1日~26年6月30日)→金子 壮朗(平成26年7月1日以降)
研究報告書(概要版)
研究目的
慢性腎臓病(CKD)は心血管疾患のハイリスク病態であり、本邦の約1300万人、成人の8人に一人が罹患する21世紀の新たな国民病である。心血管疾患の危険因子である高血圧、糖尿病、脂質異常、喫煙はCKDの原因かつ増悪因子であり、CKDにおいてはより厳格な管理が求められる。しかしながら、限りある医療資源を有効活用するためには膨大な数のCKD患者(および危険因子を有する患者)全体ではなく真のハイリスク群のみを抽出して先制医療を行う必要がある。近年、アルブミン尿がCKDのリスク層別化に取り入れられるようになったが、アルブミン尿よりも心血管イベント予知において優れている脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体N端フラグメント(NT-proBNP)は、CKDの日常臨床における適正な使用法が確立されていない。
最近、CKDにおいて血管新生の中心分子である血管内皮増殖因子(VEGF)の可溶性受容体のひとつ、sFlt-1の血中レベルが血管内皮機能障害と密接に関連していることが報告された。内皮機能障害は危険因子と密接に関連し、さらに将来の心血管イベントとも関連することから、sFlt-1レベルがCKD(および危険因子を有する)患者の将来の心血管イベントと関連している可能性がある。我々は安定した外来患者を対象とした前向きコホート研究を実施し、CKD患者においてsFlt-1がNT-proBNPよりも優れた強力な心血管イベント予知マーカーである可能性を見出した。
本研究は、sFlt-1(およびその他の有力なバイオマーカー)がCKD(あるいは、危険因子である高血圧、糖尿病、脂質異常、喫煙)を有する患者における心血管イベント予知マーカーになりうるかどうかを国立病院機構のネットワークを生かした多施設共同前向きコホート研究で確認し、これらの患者から真のハイリスク患者を最も効率よく抽出する方法を確立することを目的とする。
最近、CKDにおいて血管新生の中心分子である血管内皮増殖因子(VEGF)の可溶性受容体のひとつ、sFlt-1の血中レベルが血管内皮機能障害と密接に関連していることが報告された。内皮機能障害は危険因子と密接に関連し、さらに将来の心血管イベントとも関連することから、sFlt-1レベルがCKD(および危険因子を有する)患者の将来の心血管イベントと関連している可能性がある。我々は安定した外来患者を対象とした前向きコホート研究を実施し、CKD患者においてsFlt-1がNT-proBNPよりも優れた強力な心血管イベント予知マーカーである可能性を見出した。
本研究は、sFlt-1(およびその他の有力なバイオマーカー)がCKD(あるいは、危険因子である高血圧、糖尿病、脂質異常、喫煙)を有する患者における心血管イベント予知マーカーになりうるかどうかを国立病院機構のネットワークを生かした多施設共同前向きコホート研究で確認し、これらの患者から真のハイリスク患者を最も効率よく抽出する方法を確立することを目的とする。
研究方法
研究仮説:血清sFlt-1レベル測定によりCKDや危険因子を有する患者の心血管イベントを予知しうる。
研究デザイン:多施設共同前向きコホート研究
調査を行う場所:国立病院機構循環器ネットワークグループの研究参加施設
対象患者:研究参加施設で冠動脈疾患(疑い)のため、待機的に冠動脈造影を受ける患者(ただし、冠動脈形成術後もしくはバイパス術後の予定された再検査は除く)
除外基準:悪性腫瘍、炎症性疾患、ヘパリン投与など
目標症例数:3,280症例
主要評価項目:空腹時静脈採血の血清sFlt-1レベル
一次エンドポイント:複合心血管イベント
二次エンドポイント:全死亡
副次評価項目:尿中アルブミン/クレアチニン比、NT-proBNP、高感度トロポニンI
一般臨床データ(年齢、性別、BMI、血圧、脂質、血糖、HbA1c、内服薬)など
追跡期間:最大3年間
研究デザイン:多施設共同前向きコホート研究
調査を行う場所:国立病院機構循環器ネットワークグループの研究参加施設
対象患者:研究参加施設で冠動脈疾患(疑い)のため、待機的に冠動脈造影を受ける患者(ただし、冠動脈形成術後もしくはバイパス術後の予定された再検査は除く)
除外基準:悪性腫瘍、炎症性疾患、ヘパリン投与など
目標症例数:3,280症例
主要評価項目:空腹時静脈採血の血清sFlt-1レベル
一次エンドポイント:複合心血管イベント
二次エンドポイント:全死亡
副次評価項目:尿中アルブミン/クレアチニン比、NT-proBNP、高感度トロポニンI
一般臨床データ(年齢、性別、BMI、血圧、脂質、血糖、HbA1c、内服薬)など
追跡期間:最大3年間
結果と考察
平成26年度は前年度に構築した国立病院機構循環器グループ16施設の研究体制で患者登録を進め、898名を新規登録し、登録総数は1,316名となった。この内、登録時データを収集した1,174名の横断データを解析した。優れた心血管イベント予知マーカーであるNT-proBNPは腎機能低下例では高値になりやすく、CKD患者においては適正な使用法が確立されていない。本年度の研究成果から、NT-proBNPが、もうひとつの強力な心血管イベント予知指標である高感度トロポニンIとともに、CKD患者で上昇していることが確認された。つまり、これらのバイオマーカーの問題点は、腎機能正常例と比較して腎機能低下例においては、心血管イベント予知能が低下することである。これに対して本研究におけるsFlt-1レベルは、NT-proBNP、高感度トロポニンIと緩やかに相関しながらも、eGFRと有意な関連を認めなかった。さらに、sFlt-1レベルはベースラインの冠動疾患重症度と有意な相関を認めなかった。したがって、もし来年度以降の研究によりsFlt-1レベルと心血管イベント発症の関連が明らかになれば、それはベースラインの腎機能や冠動脈疾患重症度とは独立したものである可能性が高い。すなわち、sFlt-1はCKDにおける新たな心血管イベント予知指標として極めて有望である。
結論
本研究を最後まで実施して成果を上げることが出来れば、膨大な数のCKD(あるいは危険因子)を有する患者を真のハイリスク患者と低リスク患者に分別することが可能になる。その結果、ハイリスク患者に先制医療を集中させ、低リスク患者には不要な医療資源投入を回避することが出来るようになり、心血管イベント発症・心血管死亡の減少、患者QOLの改善、大幅な医療費の抑制につながることが期待され、医療と福祉への貢献は多大である。
公開日・更新日
公開日
2015-09-11
更新日
-