患者データベースに基づく糖尿病の新規合併症マーカーの探索と均てん化に関する研究-合併症予防と受診中断抑止の視点から

文献情報

文献番号
201412045A
報告書区分
総括
研究課題名
患者データベースに基づく糖尿病の新規合併症マーカーの探索と均てん化に関する研究-合併症予防と受診中断抑止の視点から
課題番号
H25-循環器等(生習)-一般-016
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
野田 光彦(独立行政法人国立国際医療研究センター 糖尿病研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 谷澤 幸生(山口大学大学院医学系研究科 病態制御内科学)
  • 相澤 徹(社会医療法人財団 慈泉会 相澤病院 糖尿病センター)
  • 吉岡 成人(北海道大学医学研究科 免疫代謝内科学講座)
  • 植木 浩二郎(東京大学大学院医学系研究科 分子糖尿病科学講座)
  • 稲垣 暢也(京都大学大学院医学研究科 糖尿病・栄養内科学)
  • 大江 和彦(東京大学医学部附属病院 企画情報運営部)
  • 津金 昌一郎(独立行政法人国立がん研究センター がん予防・検診研究センター)
  • 岩坪 威(東京大学大学院医学系研究科)
  • 古川 壽亮(京都大学大学院医学研究科 社会健康医学系専攻 健康増進・行動学分野)
  • 竹内 靖博(国家公務員共済組合連合会虎の門病院 内分泌代謝科内分泌部門)
  • 小林 宏明(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 生体支持組織学講座 歯周病学分野)
  • 山縣 邦弘(筑波大学大学院医学医療系臨床医学域 腎臓内科学)
  • 寺内 康夫(横浜市立大学大学院医学研究科 分子内分泌・糖尿病内科学)
  • 曽根 博仁(新潟大学大学院医歯学総合研究科 血液・内分泌・代謝内科学分野)
  • 横手 幸太郎(千葉大学大学院医学研究院 細胞治療内科学講座)
  • 鏑木 康志(独立行政法人国立国際医療研究センター研究所 糖尿病研究センター 臓器障害研究部)
  • 能登 洋(独立行政法人国立国際医療研究センター 糖尿病内分泌代謝科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
(1)糖尿病診療の標準化による合併症予防と受診中断抑止
(1-A)糖尿病予防のための戦略研究の課題の一つであるJ-DOIT2の成果を用い、受診中断減少のためのマニュアルを作成する。また、(1-B)各地方自治体への聞き取り調査などに基づき、未治療者減少のための介入マニュアルの提言を行う。
(1-C)エビデンスを収集して病期・病態別の糖尿病診療マニュアルを作成し、これを更新・維持し、また、(1-D)その有効性の検証を行う。
(1-E)糖尿病診療マニュアルの作成は、臨床エビデンスのシステマティックレビューにより行うことが重要である。
(2)合併症の新たなマーカー探索による受診中断予防策の検討
(2-A)エビデンスが不足する部分についてこれを補完・整備するための診療データ収集・蓄積システムを構築する。
かつ、(2-B)糖尿病の新規合併症を含む合併症の新たなマーカーを探索し、それらへの対応策を可能な限り標準化する。
以上により、最終的に糖尿病患者の受診中断を減少させる。
研究方法
(1-A)糖尿病予防のための戦略研究 課題2(J-DOIT2;Japan Diabetes Outcome Intervention Trial 2)の結果と文献レビューとから、糖尿病患者の受診中断の要因を解析し、「糖尿病受診中断対策マニュアル」を作成した。
(1-B)昨年度施行した、未治療者減少に関して実を挙げているわが国の各地方自治体への聞き取り調査の結果などに基づき、提言の作成に着手している。
(1-C、1-D)糖尿病標準診療マニュアルの作成では、エビデンスを重視し、検査の頻度や選択薬剤の優先度を明記し、診療効果の確実性と安全性を評価した。わが国の5つの地域でその有効性の検証研究を行った。
(1-E)MEDLINE、EMBASEとコクランライブラリーの検索を行い、日本および全世界で行われたコホート研究、介入研究などの原著についてシステマティクレビューとメタアナリシスを行った。
(2-A)国立国際医療研究センターの糖尿病情報データベースの患者情報登録を拡充し、集計・解析を行った。
(2-B)1000名規模の糖尿病患者から横断的に臨床検体と臨床情報の収集を行ってプロテオミクス解析を行った。
結果と考察
(1-A)受診中断対策マニュアルの作成
J-DOIT2の受診中断者に対するアンケート結果と文献レビューにより、「糖尿病受診中断対策包括ガイド」とそれを要約した「糖尿病受診中断対策マニュアル」を作成し公表した。J-DOIT2の追解析により介入と診療の質に関する論文を投稿している。
(1-B)未治療者減少のためのマニュアル作成
各地方自治体への聞き取り調査の結果に基づき、未治療者減少のための提言を行うマニュアルの作成に着手した。
(1-C)糖尿病標準診療マニュアルの拡充
エビデンスに立脚した「糖尿病標準診療マニュアル(一般診療所・クリニック向け)」を作成し、各年度に二度の改訂を行っている。本年度も4月1日、10月1日に改訂9、10版を公表した。同マニュアルは当部サイトでWeb公開し一般のダウンロードに供している。専門外来・拠点病院(入院)向けの「応用編」も随時改訂・拡充している。
(1-D)糖尿病標準診療マニュアルの検証
上記マニュアルの検証を全国5地域(千葉市、足立区、北九州市小倉、松本・塩尻地域、徳山・宇部・小野田地域(本年度より徳山地域と宇部・小野田地域を合わせて1地域とカウント))での42名の医師(かかりつけ医)の協力で施行した。通院中の416名の2型糖尿病患者を登録し、1年間の追跡期間後、データ収集した。データクリーニングを行い、疎解析を実施した。その結果につき5地域での報告会を行った。
(1-E)エビデンスの収集とレビュー
(1-C)に関連してシステマティクレビューとメタアナリシスを行い、結果を論文として公表した。
(2-A)合併症臨床マーカーの探索(
国立国際医療研究センターで進行中の糖尿病患者情報データベースへの患者登録を拡充し、9,015名の診療情報を収集・蓄積した。平成17~21年の登録者の心血管リスク因子、降圧薬、脂質異常症治療薬、血糖降下薬の使用について解析を行い学会報告した。
(2-B)合併症バイオマーカーの探索
1000名規模の糖尿病患者から臨床検体と臨床情報の収集を行い、プロテオミクス解析を施行、2型糖尿病患者において血清濃度が健常群に比べ上昇している蛋白、糖尿病腎症の発症・進展の予測因子となりうる蛋白を見いだした。

考察:患者データのデータベースを活用し、また、上述の「糖尿病標準診療マニュアル」等として提供し、その広報、流布につとめる。「糖尿病受診中断対策マニュアル」の広報に努める。
結論
上記のように、当初計画どおりに本年度の研究を遂行した。

公開日・更新日

公開日
2015-09-11
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201412045Z