口腔ケアと栄養管理による誤嚥性肺炎の予防に関する研究

文献情報

文献番号
201412035A
報告書区分
総括
研究課題名
口腔ケアと栄養管理による誤嚥性肺炎の予防に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H25-循環器等(生習)-一般-006
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
東口 高志(藤田保健衛生大学 医学部外科・緩和医療学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 菊谷 武(日本歯科大学大学院 生命歯学研究科口腔機能学)
  • 丸山 道生(医療法人財団緑秀会 田無病院)
  • 葛谷 雅文(名古屋大学大学院 医学系研究科 発育・加齢医学講座)
  • 松崎 政三(関東学院大学 人間環境学部健康栄養学科)
  • 真田 弘美(東京大学大学院医学研究科 老年看護学分野)
  • 鎌倉 やよい(愛知県立大学看護学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
8,900,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
肺炎は罹患率・死亡率ともに高い疾患であり、平成23年度の死因統計で第3位となった。特に、高齢者肺炎の多くは誤嚥性肺炎であることが指摘されているが、その誤嚥性肺炎についての患者発症数や発症割合、死亡者数に関する綿密な実態把握は行われていない。
本研究は、①新規の口腔内ケア法として単なる細菌プラークの清拭だけでなく、清拭後に極めて簡便かつ簡単に行える口腔内細菌除去法である「ワイプ法」と、②近年欧米で有効性が注目されている、一般の食事に加えてわずかな栄養補給を継続的に施行する “Oral Nutritional Supplement: ONS”とを同時に行うことで、誤嚥性肺炎の発現を抜本的に減ずることを目的としている。
研究方法
研究実施施設において2013年12月から2015年5月末日までの間に入院・入所している被験者のうち、(1)75歳以上、(2)栄養状態が不良(BMI18.5未満かつ血清Alb値3.5g/dl未満)、(3) 経口摂取が可能で、嚥下障害を認めるもの、(4) 文書にて本人または代諾者から同意が得られたものを対象とした。
 規定の口腔ケア・栄養管理の介入群と従来の口腔ケア・栄養管理の対照群に研究実施施設単位で割り付けを行った。介入群では、口腔ケア法として、従来行われている口腔ケア方法に加えて、口腔清拭用ウェットティッシュによる清拭(ワイプ法)を行い、口腔内細菌の除去を図った。介入群では、現在影響されている食事に加え補助栄養食品(ONS)をエネルギー約80-100kcal/日、タンパク質約5-10g/日程度追加した。使用する栄養補助食品は事務局より介入症例数に合わせて提供した。

結果と考察
平成27年2月28日時点でで症例登録数は201例(介入群114例、対照群87例)となっている。中間解析は行わず、研究終了後に解析を実施する予定としているが、実施状況確認のため、平成26年8月29日~9月16日に実施したアンケート調査(平成26年9月時点)では、登録46施設中36施設、183例中163例(介入群:対照群=117例:46例)より回答を得た。これらのうち、対照群の中で介入群と同等の介入が行われていると考えられたり、対照群であっても、十分に介入が行われていないと判断された30例(介入群15例、対照群15例)を除く133例で検討した。その結果、肺炎発症率は、介入群102例中10例(9.8%)、対照群31例中7例(22.5%)と明らかに対照群で高率となっていた。
結論
平成27年末に研究が終了となるが、目標の予定症例数についても、その後新規の研究施設を募り、平成26年度末で250例を超え、最終年度はこれらの解析結果に基づき、今回の新しい介入法である、「ワイプと一口栄養(ワイプ法+ONS)」の有効性を証明できるものと考えている。

公開日・更新日

公開日
2015-09-11
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2015-09-11
更新日
-

収支報告書

文献番号
201412035Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
11,570,000円
(2)補助金確定額
11,570,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,741,938円
人件費・謝金 2,114,814円
旅費 571,396円
その他 4,472,007円
間接経費 2,670,000円
合計 11,570,155円

備考

備考
自己資金155円

公開日・更新日

公開日
2015-10-16
更新日
-