文献情報
文献番号
201412032A
報告書区分
総括
研究課題名
追跡終了後コホート研究を用いた共通化データベース基盤整備とその活用に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H25-循環器等(生習)-一般-003
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
玉腰 暁子(北海道大学大学院 医学研究科)
研究分担者(所属機関)
- 辻 一郎(東北大学大学院 医学系研究科)
- 磯 博康(大阪大学大学院 医学系研究科)
- 祖父江友孝(大阪大学大学院 医学系研究科)
- 大橋靖雄(中央大学理工学部 人間総合理工学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
8,550,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究では、国内で実施され追跡を終了した複数のコホート研究情報を共通化し、その利用環境を整え、将来にわたって向後終了するコホート研究も組み入れ可能な体制を構築するために必要な事項を検討する。
研究方法
①各分野の専門家から現状を伺い、追跡を終了したコホート研究データアーカイブを公開する場合の課題を検討した。
②三府県コホートデータを用い、分類数、標本数を変化させた場合にそれぞれどのような頻度で一意性が見られるかを比較した。
③がん登録推進法について、条文や政令をもとに、追跡終了後コホート研究を用いた共通化データベースが構築された場合における、死亡者情報活用をめぐる諸問題について検討を行った。
④現制度下で二次的に死因情報を利用するため、研究の都度、コホートデータに死因情報を付与する方法について、JALSデータを用い検討した。
②三府県コホートデータを用い、分類数、標本数を変化させた場合にそれぞれどのような頻度で一意性が見られるかを比較した。
③がん登録推進法について、条文や政令をもとに、追跡終了後コホート研究を用いた共通化データベースが構築された場合における、死亡者情報活用をめぐる諸問題について検討を行った。
④現制度下で二次的に死因情報を利用するため、研究の都度、コホートデータに死因情報を付与する方法について、JALSデータを用い検討した。
結果と考察
国民の税金を投入し、多くの人手と長期の追跡を経て構築されたコホート研究データをアーカイブ化、広く利用可能にすることは、研究の透明性確保、第三者による研究結果の検証、若手の育成に寄与するのみならず、研究の無駄・重複を減らし、必要な公費・労力を新しい有意義な研究に向けるという意義もある。①-1.社会科学系分野データアーカイブセンターの1つであるSSJDA(Social Science Japan Data Archive)には現在、約1600件のデータが寄託されており、2013年度は2700件の利用があった。活用が進んでいる背景には、センターが設立されたこと、ならびに二次分析のメリットが広く研究者に認識されたことがある。しかし、今の形になるまでに、10~20年の年月を要しており、利用のメリットが十分に浸透するよう働きかけるとともに、利用のための環境整備も必要と考えられた。①-2.ライフサイエンス分野では、NBDCがデータアーカイブセンターの役割を担い始めた。取り扱われるデータは匿名化されたもののみで、レベルに応じたアクセス制限が行われている。NBDCはいまだ緒についたところで、特にヒトを対象としたデータに関して実績があがるのはまだこれからと考えられた。
②疫学研究は単に生体情報のみならず、生活習慣や心情等に関する情報も収集されることが多く、追跡結果も死亡・疾病罹患など機微情報を含む。また収集する項目数も多いことから、項目の組み合わせにより80%程度のレコードは一意性があるとして対応する必要性が明らかになった。したがって、研究開始時点での対象者への説明のあり方、完全に連結不可能匿名化にするタイミングやその方法など、今後の検討課題である。また、単に塩基配列などの公開と異なり、疫学研究で構築されたデータの公開内容は一部に制限し、機微情報を取り扱う場合には共同研究を締結するなどの対応の検討も必要である。
④統計法の規定から、現状では人口動態統計資料から得られた死因情報をコホート研究のアウトカムとして公開利用することはできない。米国ではNational Death Index (NDI) という、厚生省下部機関が、研究目的での生存・死亡確認情報の提供を行っており、審査にパスすると、有料(基本料350ドル+対象者1人1年あたり15セント)で、上記情報が提供される。がん登録推進法により提供される死亡者情報票データの活用を進めることができれば、わが国の疫学研究・臨床研究や医薬品・医療機器開発は発展すると思われ、それは政府「健康・医療戦略」の目指すところと合致するものであろう。
⑤現制度化での運用方法を検討するため、死因情報を外したアーカイブ環境を想定し、必要時に死因を人口動態二次利用申請し、アーカイブセンターにて照合・集計・解析を行う運用例を提案した。JALSで実際に死因照合を行ったところ99.5%で照合が可能であり、照合作業の技術的側面、作業手順化の面で問題はなかった。
②疫学研究は単に生体情報のみならず、生活習慣や心情等に関する情報も収集されることが多く、追跡結果も死亡・疾病罹患など機微情報を含む。また収集する項目数も多いことから、項目の組み合わせにより80%程度のレコードは一意性があるとして対応する必要性が明らかになった。したがって、研究開始時点での対象者への説明のあり方、完全に連結不可能匿名化にするタイミングやその方法など、今後の検討課題である。また、単に塩基配列などの公開と異なり、疫学研究で構築されたデータの公開内容は一部に制限し、機微情報を取り扱う場合には共同研究を締結するなどの対応の検討も必要である。
④統計法の規定から、現状では人口動態統計資料から得られた死因情報をコホート研究のアウトカムとして公開利用することはできない。米国ではNational Death Index (NDI) という、厚生省下部機関が、研究目的での生存・死亡確認情報の提供を行っており、審査にパスすると、有料(基本料350ドル+対象者1人1年あたり15セント)で、上記情報が提供される。がん登録推進法により提供される死亡者情報票データの活用を進めることができれば、わが国の疫学研究・臨床研究や医薬品・医療機器開発は発展すると思われ、それは政府「健康・医療戦略」の目指すところと合致するものであろう。
⑤現制度化での運用方法を検討するため、死因情報を外したアーカイブ環境を想定し、必要時に死因を人口動態二次利用申請し、アーカイブセンターにて照合・集計・解析を行う運用例を提案した。JALSで実際に死因照合を行ったところ99.5%で照合が可能であり、照合作業の技術的側面、作業手順化の面で問題はなかった。
結論
疫学研究データには機微情報を含むのみならず、収集する項目数も多いことから、80%程度のレコードは一意性があるものとして対応することが必要である。研究開始時点での対象者への説明のあり方、完全に連結不可能匿名化にするタイミングやその方法などの検討とともに、共同研究を締結するなどの対応が必要と思われる。また、疫学研究のデータアーカイブを構築していくためには、先行する社会科学系データアーカイブの運営システムから学ぶと同時に、利用のための環境整備も必要と考えられた。一方、統計法の規定から、現状では人口動態統計資料から得られた死因情報をコホート研究のアウトカムとして公開利用することはできない。そのため、がん登録推進法による死亡者情報票の活用、ならびに現制度化で運用するために必要に応じて死因情報を入手・利用する方法を提案した。
公開日・更新日
公開日
2015-09-11
更新日
-