健康日本21(第二次)の推進に関する研究

文献情報

文献番号
201412030A
報告書区分
総括
研究課題名
健康日本21(第二次)の推進に関する研究
課題番号
H25-循環器等(生習)-一般-001
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
辻 一郎(東北大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 橋本修二(藤田保健衛生大学 医学部)
  • 横山徹爾(国立保健医療科学院 生涯健康研究部)
  • 伊藤弘人(独立行政法人国立精神・神経医療研究センター)
  • 山縣然太朗(山梨大学 医学工学研究部)
  • 津下一代(公益財団法人愛知県健康づくり振興財団 あいち健康の森健康科学総合センター)
  • 武見ゆかり(女子栄養大学 栄養学部)
  • 宮地元彦(独立行政法人国立・健康栄養研究所 健康増進研究部)
  • 樋口進(独立行政法人国立病院機構 久里浜医療センター)
  • 中村正和(財団法人大阪府保健医療財団大阪がん循環器病予防センター 予防推進部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
14,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
第1に、健康づくり運動の具体的な進め方に関する情報・スキルを提供すること。第2に、健康日本21(第二次)の目標や指標に関する方法論上の検討を行うこと。第3に、健康日本21(第二次)などに関する国民の認知度をモニタリングすること。第4に、健康格差の現状と要因を検討し、縮小策を提言すること。これらを通じて、「健康日本21(第二次)」の円滑な推進と目標達成に貢献する。
研究方法
健康日本21(第二次)に関する実践マニュアルを研究班員全員で作成し、その普及に向けた研修会を実施した。厚生労働省「国民生活基礎調査」と同「国民健康栄養調査」とのデータリンケージを行って、健康日本21(第二次)における健康寿命「日常生活に制限のない期間の平均」などの妥当性を検討した。健康日本21(第二次)の中間評価に向けたモニタリング手法を検討した。全国から1,800人を無作為抽出して健康日本21(第二次)と関連用語の認知度について電話調査を実施し、その結果を平成25年度調査と比較した。健康日本21(第二次)の飲酒分野の目標「生活習慣病のリスクを上げる飲酒者をベースライン値より15%低下させる」を達成するため、「簡易介入」の研修会を開催した。年齢階級・学歴・医療保険別の受動喫煙格差の実態を検討した。休養の目標である睡眠による休息充足と睡眠時間について性・年齢・都道府県別に検討した。21世紀出生児縦断調査のデータを用いて、両親の社会経済因子と児の健康との関係を検討した。愛知県内2市において、肥満等の生活習慣病対策の推進方策を環境面・保健事業面で検討した。e-stat、NDBを活用した「健康指標見える化ソフト」の改訂を行った。WEB上に公開されている47都道府県の健康増進計画を閲覧し、評価分析を行った。自治体における身体活動・運動分野の取組を支援し、その効果を検討した。
結果と考察
健康日本21(第二次)に関する実践マニュアルの普及研修会を12月8日に東京で開催し、全国から約200名の参加を得た。参加者の職種は、保健師・看護師48.3%、管理栄養士・栄養士22.4%であり、所属は行政が56.3%、医療保険関係が20.1%であった。「講演内容は分かりやすかったか」との質問に対して、「強くそう思う」と「そう思う」との回答が合計で93.1%であり、「講演内容は今後の活動に活用できそうか」に対して同じく94.2%であった。平成22年と25年の国民生活基礎調査データの解析により、平成22年と25年の日常生活の制限あり割合は「回答なし」による影響をほとんど受けていないことが示唆され、健康寿命(日常生活に支障ない期間)の年次推移を検討することの妥当性が確認された。健康増進計画のモニタリング・評価のための既存の資料やツール等を整理した。電話調査の結果、「健康日本21」について「意味を含めて知っている」または「聞いたことはあるがよく知らない」と回答した者の割合は、13.6%であり、平成25年調査での14.5%から減少した。平成25年に比べて平成26年で認知度が有意に上昇したものは「健康寿命」(34.2%→49.3%)、「ロコモティブシンドローム」(30.2%→35.8%)、「1日の望ましい野菜の量=350g」(41.6%→50.1%)であった。アルコールに関する簡易介入の研修会を2回開催し、研修参加者からのフィードバックも資料としてまとめた。低学歴層・若年層・男性の協会けんぽ層で家庭・職場での受動喫煙曝露の割合が高かった。都市部の壮年層において睡眠時間の確保に対する対策が必要であることが分かった。父親の教育年数が長くなるにつれて、母親の喫煙が出生体重に与える影響が小さくなる傾向が認められ、父親の学歴が社会経済的因子として児の健康に強く影響することが示唆された。蒲郡市で市民1万人をまき込んだ事業「体重測定100日チャレンジ」を実施した。「健康指標見える化ソフト」について処理速度の向上等を図った。食環境に関する項目として飲食店における健康メニューの提供などの取組みを目標にあげていたのは47都道府県中38箇所、適切な栄養管理を実施する給食施設の増加を目標にあげていたのは22箇所であった。住民に対する地域介入事業を実施した。地域における歩数計の携帯と歩数記録の奨励による介入を実施し、市民の9%に相当する7,250名の参加を得て、効果をあげた。
結論
本研究課題は当初の計画通りに進捗している。最終年度となる来年度では、健康日本21(第二次)のさらなる進展に向けた提言を行う。

公開日・更新日

公開日
2015-09-11
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201412030Z