住民のソーシャル・キャピタルの涵養を通じた効果的・効率的な歯と口の健康づくりプログラムの開発と効果の検証

文献情報

文献番号
201412019A
報告書区分
総括
研究課題名
住民のソーシャル・キャピタルの涵養を通じた効果的・効率的な歯と口の健康づくりプログラムの開発と効果の検証
課題番号
H24-循環器等(生習)-一般-007
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
山本 龍生(神奈川歯科大学 大学院歯学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 平田 幸夫(神奈川歯科大学 大学院歯学研究科)
  • 近藤 克則(千葉大学 予防医学センター)
  • 相田 潤(東北大学 大学院歯学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
6,140,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
口腔の健康状態における地域差縮小が厚生労働行政上の課題となり、市区町村における取組が期待されている。2012年度と2013年度の研究結果から、成人対象歯科保健事業の実施が市区町村で異なり、効果的な事業実施には住民や関連機関との連携が重要であることが明らかになった。そこで2014年度は住民や多様な関連機関との連携による歯科保健事業を実施している先進的な市区町村の事例研究を行った(研究1)。また住民と連携した歯科保健事業の事例から事業実施ガイドラインを作成した(研究2)。さらに口腔の健康状態の地域差における背景要因分析を目的として、介護予防事業・健康教室(以下、介護予防事業)および介護予防事業の内容として口や歯の健康に関するもの(以下、口腔機能向上事業)への参加者の特性を、ソーシャル・キャピタル関連の指標も含めて検討した(研究3)。
研究方法
研究1では、住民や多様な関連機関との連携による歯科保健事業を実施している先進的な市区町村に対してインタビュー調査を行い、事例研究を行った。研究2では、住民と連携した歯科保健事業の事例から、事業実施までの過程における共通項を抽出し「ソーシャル・キャピタルに基づいた歯科保健事業実施ガイドライン」を作成した。研究3では、口腔の健康状態の地域差における背景要因分析を目的として2013年に実施した住民への質問紙調査データを、同時期に他地域で収集されたデータと結合し、介護予防事業および口腔機能向上事業への参加者の特性を、ソーシャル・キャピタル関連の指標も含めて検討した。
結果と考察
研究1では、行政と住民との連携、大学と行政および住民との連携、住民からの連携、専門職種間の連携、歯科医師会を中心とした連携といった多種多様な体制で連携がとられた先進的事業を確認できた。連携の共通点として「キーパーソンまたはキーとなる団体の存在」「その活動による新たなソーシャル・キャピタルの活性化(連携の強化)」が挙げられた。
研究2では、先進的な市区町村へのヒアリングおよび研究1の事例との比較を行い、事業実施に至る過程の共通項を抽出した。さらに既存資料も参考にして「ソーシャル・キャピタルに基づいた歯科保健事業実施ガイドライン」を作成した。本ガイドラインが市区町村で活用され、最終的に口腔の健康状態の地域差縮小に寄与すれば幸いである。
研究3の結果として、介護予防事業参加者の特徴は、多い歯数、高い咀嚼能力、むせと口渇の自覚、高齢、女性、高学歴、高所得、死別、長い居住年数、非・未就労、家族の介護経験あり、高い個人のソーシャル・キャピタル関連指標、抑うつなしであった。口腔機能向上事業参加者の特徴は、多い歯数、むせと口渇の自覚、高齢、女性、高所得、一人暮らしであったが、個人のソーシャル・キャピタル関連指標との関連はみられなかった。自治体を単位として、介護予防事業への参加者率と互酬性の規範の間に有意な正の相関関係がみられた。口腔機能向上事業への参加者率とはいずれのソーシャル・キャピタル関連指標とも有意な相関関係はみられなかった。
結論
住民や多様な関連機関との連携による歯科保健事業を実施している先進的な市区町村に対してインタビュー調査を行い、事業実施までの過程における共通項を抽出し「ソーシャル・キャピタルに基づいた歯科保健事業実施ガイドライン」を作成した。
また事業への参加に地域のソーシャル・キャピタルが背景要因として存在する可能性が明らかになった。

公開日・更新日

公開日
2015-09-11
更新日
-

研究報告書(PDF)

文献情報

文献番号
201412019B
報告書区分
総合
研究課題名
住民のソーシャル・キャピタルの涵養を通じた効果的・効率的な歯と口の健康づくりプログラムの開発と効果の検証
課題番号
H24-循環器等(生習)-一般-007
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
山本 龍生(神奈川歯科大学 大学院歯学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 平田 幸夫(神奈川歯科大学 大学院歯学研究科)
  • 近藤 克則(千葉大学 予防医学センター)
  • 相田 潤(東北大学 大学院歯学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
口腔の健康状態の地域差が厚生労働行政上の課題となっている。地域差解消には市区町村の役割が重要であるが、市区町村の歯科保健事業の実態は不明である。また近年、健康の社会的決定要因のなかのソーシャル・キャピタルの重要性が注目されている。そこで本研究では、全国市区町村における歯科保健事業の実態調査を行うこと、またソーシャル・キャピタルから口腔の健康状態への経路の存在を検討することを目的とした。
研究方法
平成24年度に全国1,742市区町村の歯科保健担当者に自記式調査紙調査を行った(回収率:48.3%)。このデータを用いて、平成25年度には担当者が効果を認めた成人対象歯科保健事業の有無に関連する要因を検討した。
平成24年の調査結果や専門家の意見から、住民主体の歯科保健事業や関連機関との連携が行われている団体に対して、平成26年度にインタビュー調査を行い、事例を比較検討し、事業実施に至るプロセスにおける共通項を抽出した。そして共通項を基盤として、既存資料からの情報も参考にして、「ソーシャル・キャピタルに基づいた歯科保健事業実施ガイドライン」を作成した。
口腔の健康状態とソーシャル・キャピタル等との関係を明らかにするために、平成25年度に65歳以上の住民に対して質問紙調査を行い、同時期に他地域で行われたデータを結合して、平成26年度に、介護予防事業への参加者および事業内容が口腔機能向上事業の参加者の特性をソーシャル・キャピタル関連指標も含めて検討した。
結果と考察
平成24年度に実施した全国市区町村の歯科保健担当者への自記式調査紙調査の結果、常勤の歯科専門職がいない自治体が6割以上であり、歯科保健事業の実施状況、歯科保健事業の予算額、実績ともに大きな開きがあった。担当者が効果を認めた成人対象歯科保健事業の有無に関連する要因を検討した結果、市区町村に常勤の歯科衛生士が配置されていること、関係機関(住民、歯科医師会、企業および地域包括支援センターや医療・介護・福祉施設)との連携を行っていることが効果的な事業の実施に有意に関連することが明らかになった。すなわち、市区町村と関連機関とのソーシャル・キャピタルが効果的な歯科保健事業実施のポイントとなる可能性が示唆された。なお、効果的な事業の情報を分類し、事例集を作成して全国市区町村に送付した。
「ソーシャル・キャピタルに基づいた歯科保健事業実施ガイドライン」を作成した。今後、本ガイドラインが市区町村による歯科保健事業の計画立案に資することを期待する。
介護予防事業への参加者および事業内容が口腔機能向上事業の参加者の特性をソーシャル・キャピタル関連指標も含めて検討した結果、内容が口腔機能向上に限らず介護予防事業参加者は高い個人のソーシャル・キャピタル関連指標を示し、市町村単位でみると介護予防事業参加者率と互酬性の規範の間に有意な正の相関関係がみられた。すなわち、効果的な歯科保健事業の推進には地域住民のソーシャル・キャピタルの醸成が関与する可能性が示唆された。
結論
歯科保健事業の実施状況には自治体間に大きな差がみられ、効果的な事業の実施には自治体への歯科専門職の配置および関連機関との連携が重要であることが明らかになった。また、「ソーシャル・キャピタルに基づいた歯科保健事業実施ガイドライン」を作成した。さらに、住民への大規模調査の結果、事業参加の背景要因として地域のソーシャル・キャピタルが存在する可能性が明らかになった。

公開日・更新日

公開日
2015-09-11
更新日
-

研究報告書(PDF)

行政効果報告

文献番号
201412019C

収支報告書

文献番号
201412019Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
6,750,000円
(2)補助金確定額
6,750,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,643,191円
人件費・謝金 107,764円
旅費 345,350円
その他 3,043,695円
間接経費 610,000円
合計 6,750,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2016-08-04
更新日
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