進行・再発膵癌に対する新規エピトープペプチドカクテル療法と標準化学療法の併用効果を検討する多施設共同第I/II相臨床試験

文献情報

文献番号
201411033A
報告書区分
総括
研究課題名
進行・再発膵癌に対する新規エピトープペプチドカクテル療法と標準化学療法の併用効果を検討する多施設共同第I/II相臨床試験
課題番号
H23-実用化(がん)-一般-010
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
岡 正朗(山口大学)
研究分担者(所属機関)
  • 硲 彰一(山口大学 大学院医学系研究科)
  • 鈴木 伸明(山口大学 大学院医学系研究科)
  • 古川 裕之(山口大学 大学院医学系研究科)
  • 梅本 誠治(山口大学医学部附属病院)
  • 有賀 淳(東京女子医科大学 先端生命医科学研究所)
  • 吉松 和彦(東京女子医科大学 東医療センター)
  • 田中 浩明(大阪市立大学 大学院医学研究科)
  • 藤原 俊義(岡山大学 大学院医歯薬学総合研究科 )
  • 井口 東郎(四国がんセンター 臨床研究センター)
  • 島田 光生(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部)
  • 石崎 秀信(宮崎大学 医学部)
  • 清水 良一(山口県厚生農業協同組合連合会 小郡第一総合病院)
  • 坂田 晃一朗(独立行政法人地域医療機能推進機構 下関医療センター)
  • 林 弘人(独立行政法人国立病院機構 関門医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 がん対策推進総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
99,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本試験の目的は,新たに同定したエピトープペプチドを用い,治癒切除不能な進行・再発の膵癌患者に対する日本発のがんペプチドワクチン療法を開発することである。進行膵癌の標準療法は世界的にGemcitabineであるため,この標準療法に,ペプチドワクチンを上乗せし,併用時の安全性と有効性を探索的に検討する。また,本試験はICH-GCPに則った第II相の探索的臨床試験(医師主導治験)として実施する。本試験で用いるペプチドワクチンは日本で同定され,開発研究が進んでおり,我々が実施する本試験を含めた臨床試験等を積極的に実施・推進することで日本発の薬剤開発が飛躍的に進展することが期待される。当該研究により標準療法+ペプチドワクチン療法併用時の安全性と有効性を検討し,膵癌治療の新たな治療戦略へと繋げる。
研究方法
本試験は膵癌に対する標準療法+ペプチドワクチン併用療法の安全性と有効性を探索的に検討する第II相臨床試験(医師主導治験)である。本試験では,進行膵癌の標準療法であるGemcitabineとペプチドワクチン療法を併用することの安全性およびペプチドワクチンの上乗せ効果を検討する。Gemcitabineは本邦の薬事承認レジメンに基づき3週投与1週休薬で投与し,ペプチドワクチンは治験薬提供者から提供を受け,毎週投与する。病巣の増悪(PD)まで本療法を施行する。本試験を第II相臨床試験(医師主導治験)として実施し,標準療法+ペプチドワクチン療法併用時の安全性と有効性を探索的に検討することで,企業治験として第III相ランダム化比較試験を実施する根拠を創出する。平成23年度に治験実施体制を確立,平成24年度に症例登録・治験の実施,平成25年度は,目標症例到達まで症例登録,治験の実施及びフォローアップを行うとともに,治験実施後の症例データの取扱い基準の決定や総括報告書の作成準備を行った。平成26年度は, 被験者に対する治験薬投与終了・フォローアップを終了した後,データクリーニング,症例検討会の開催,監査の実施,症例データの固定,試験参加施設のIRBへの終了報告手続きを行い,同年3月9日に治験終了届出書をPMDAへ提出を行った。今後,CTLの解析等の結果を踏まえ,生存率等の詳細な予後解析を行い,統計解析・総括報告書の作成を行う。また,これらの結果をもとに英語論文を作成し,雑誌に投稿する予定である。
結果と考察
平成23年度中にPMDAとの薬事戦略相談(事前相談・対面助言)を実施,各種手順書の作成,治験実施計画書の作成を行った。またインターネットを利用した症例報告書作成システム(EDC)を導入し,モニタリング,安全性情報管理等の業務委託契約を各開発業務受託機関(CRO)との間で行い,治験実施体制の整備を行った。また,当院での治験審査委員会(IRB)での審議・承認の後,本治験参加施設のIRBにおいて審査を行った。全施設のIRB承認後の平成24年5月に,PMDAへ治験計画届を提出し,翌6月より症例登録を開始した。その後,本治験参加施設において積極的に症例登録を行い,本試験のデザイン上,目標症例60例に対して平成25年5月末に68例の症例登録をもって登録を完了した。平成25年度は,引き続き被験者フォローアップを継続しながら,治験実施後の症例データの取扱い基準の決定や総括報告書の作成準備を行った。平成26年度は,本試験計画の最終年度であり,計画通り全て順調に進行した。具体的には,同年5月までにすべての被験者に対する治験薬投与・フォローアップを終了した後,データクリーニング,症例検討会の開催,システム監査・医療機関監査を実施した。平成27年1月にはすべての症例データを固定し,試験参加施設においては順次IRBへの終了報告手続きを行い,同年3月9日に治験終了届出書をPMDAへ提出した。今後,CTLの解析等の結果を踏まえ,生存率等の詳細な予後解析を行い,統計解析・総括報告書の作成を行う。本試験期間全体を通じ,本試験参加施設の治験担当医師・CRC(治験コーディネーター)等を集め,定期的にミーティングを開催し,進捗状況の確認,情報共有等を行うことで,円滑に本試験を実施することが出来た。また,本治験では,重篤な副作用は認められず,平成27年1月8日現在68例中5例が生存中である。
結論
試験の性格上,本試験の結果は試験終了,統計解析後である。平成26年度は治験薬投与終了・フォローアップを終了した後,データクリーニング,症例検討会の開催,監査の実施,症例データの固定,試験参加施設のIRBへの終了報告手続きを行い,治験終了届出書をPMDAへ提出した。今後,CTLの解析等の結果を踏まえ,生存率等の詳細な予後解析を行い,統計解析・総括報告書の作成を行う予定としており,概ね順調に進捗した。

公開日・更新日

公開日
2016-07-14
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201411033B
報告書区分
総合
研究課題名
進行・再発膵癌に対する新規エピトープペプチドカクテル療法と標準化学療法の併用効果を検討する多施設共同第I/II相臨床試験
課題番号
H23-実用化(がん)-一般-010
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
岡 正朗(山口大学)
研究分担者(所属機関)
  • 硲 彰一(山口大学 大学院医学系研究科)
  • 鈴木 伸明(山口大学 大学院医学系研究科)
  • 古川 裕之(山口大学 大学院医学系研究科)
  • 梅本 誠治(山口大学医学部附属病院)
  • 有賀 淳(東京女子医科大学 先端生命医科学研究所)
  • 吉松 和彦(東京女子医科大学 東医療センター)
  • 田中 浩明(大阪市立大学 大学院医学研究科)
  • 藤原 俊義(岡山大学 大学院医歯薬学総合研究科)
  • 井口 東郎(岡山大学 大学院医歯薬学総合研究科)
  • 島田 光生(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部)
  • 石崎 秀信(宮崎大学 医学部)
  • 清水 良一(山口県厚生農業協同組合連合会 小郡第一総合病院 )
  • 坂田 晃一朗(独立行政法人地域医療機能推進機構 下関医療センター)
  • 林 弘人(独立行政法人国立病院機構 関門医療センター)
  • 坂井田 功(山口大学 大学院医学系研究科(同 附属病院))
  • 谷澤 幸生(山口大学 大学院医学系研究科(同 附属病院))
  • 千々岩 一男(宮崎大学医学部)
  • 後藤 満一(福島県立医科大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 がん対策推進総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本試験の目的は,新たに同定したエピトープペプチドを用い,治癒切除不能な進行・再発の膵癌患者に対する日本発のがんペプチドワクチン療法を開発することである。進行膵癌の標準療法は世界的にGemcitabineであるため,この標準療法に,ペプチドワクチンを上乗せし,併用時の安全性と有効性を探索的に検討する。また,本試験はICH-GCPに則った第II相の探索的臨床試験(医師主導治験)として実施する。本試験で用いるペプチドワクチンは日本で同定され,開発研究が進んでおり,我々が実施する本試験を含めた臨床試験等を積極的に実施・推進することで日本発の薬剤開発が飛躍的に進展することが期待される。当該研究により標準療法+ペプチドワクチン療法併用時の安全性と有効性を検討し,膵癌治療の新たな治療戦略へと繋げる。
研究方法
本試験は膵癌に対する標準療法+ペプチドワクチン併用療法の安全性と有効性を探索的に検討する第II相臨床試験(医師主導治験)である。本試験では,進行膵癌の標準療法であるGemcitabineとペプチドワクチン療法を併用することの安全性およびペプチドワクチンの上乗せ効果を検討する。Gemcitabineは本邦の薬事承認レジメンに基づき3週投与1週休薬で投与し,ペプチドワクチンは治験薬提供者から提供を受け,毎週投与する。病巣の増悪(PD)まで本療法を施行する。本試験を第II相臨床試験(医師主導治験)として実施し,標準療法+ペプチドワクチン療法併用時の安全性と有効性を探索的に検討することで,企業治験として第III相ランダム化比較試験を実施する根拠を創出する。平成23年度に治験実施体制を確立,平成24年度に症例登録・治験の実施,平成25年度は,目標症例到達まで症例登録,治験の実施及びフォローアップを行うとともに,治験実施後の症例データの取扱い基準の決定や総括報告書の作成準備を行った。平成26年度は, 被験者に対する治験薬投与終了・フォローアップを終了した後,データクリーニング,症例検討会の開催,監査の実施,症例データの固定,試験参加施設のIRBへの終了報告手続きを行い,同年3月9日に治験終了届出書をPMDAへ提出を行った 。今後,CTLの解析等の結果を踏まえ,生存率等の詳細な予後解析を行い,統計解析・総括報告書の作成を行う。また,これらの結果をもとに英語論文を作成し,雑誌に投稿する予定である。
結果と考察
平成23年度中にPMDAとの薬事戦略相談(事前相談・対面助言)を実施,各種手順書の作成,治験実施計画書の作成を行った。またインターネットを利用した症例報告書作成システム(EDC)を導入し,モニタリング,安全性情報管理等の業務委託契約を各開発業務受託機関(CRO)との間で行い,治験実施体制の整備を行った。また,当院での治験審査委員会(IRB)での審議・承認の後,本治験参加施設のIRBにおいて審査を行った。全施設のIRB承認後の平成24年5月に,PMDAへ治験計画届を提出し,翌6月より症例登録を開始した。その後,本治験参加施設において積極的に症例登録を行い,本試験のデザイン上,目標症例60例に対して平成25年5月末に68例の症例登録をもって登録を完了した。平成25年度は,引き続き被験者フォローアップを継続しながら,治験実施後の症例データの取扱い基準の決定や総括報告書の作成準備を行った。平成26年度は,本試験計画の最終年度であり,計画通り全て順調に進行した。具体的には,同年5月までにすべての被験者に対する治験薬投与・フォローアップを終了した後,データクリーニング,症例検討会の開催,システム監査・医療機関監査を実施した。平成27年1月にはすべての症例データを固定し,試験参加施設においては順次IRBへの終了報告手続きを行い,同年3月9日に治験終了届出書をPMDAへ提出した。今後,CTLの解析等の結果を踏まえ,生存率等の詳細な予後解析を行い,統計解析・総括報告書の作成を行う。本試験期間全体を通じ,本試験参加施設の治験担当医師・CRC(治験コーディネーター)等を集め,定期的にミーティングを開催し,進捗状況の確認,情報共有等を行うことで,円滑に本試験を実施することが出来た。また,本治験では,重篤な副作用は認められず,平成27年1月8日現在68例中5例が生存中である。
結論
試験の性格上,本試験の結果は試験終了,統計解析後である。平成26年度は治験薬投与終了・フォローアップを終了した後,データクリーニング,症例検討会の開催,監査の実施,症例データの固定,試験参加施設のIRBへの終了報告手続きを行い,治験終了届出書をPMDAへ提出した。今後,CTLの解析等の結果を踏まえ,生存率等の詳細な予後解析を行い,統計解析・総括報告書の作成を行う予定としており,概ね順調に進捗した。

公開日・更新日

公開日
2016-08-05
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201411033C

収支報告書

文献番号
201411033Z