働くがん患者の職場復帰支援に関する研究-病院における離職予防プログラム開発評価と企業文化づくりの両面から

文献情報

文献番号
201411018A
報告書区分
総括
研究課題名
働くがん患者の職場復帰支援に関する研究-病院における離職予防プログラム開発評価と企業文化づくりの両面から
課題番号
H26-がん政策-一般-018
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
高橋 都(独立行政法人国立がん研究センター がん対策情報センター)
研究分担者(所属機関)
  • 西田 俊朗(独立行政法人国立がん研究センター東病院 胃外科)
  • 森 晃爾(産業医科大学・産業生態科学研究所)
  • 坂本 はと恵(独立行政法人国立がん研究センター東病院 サポーティブケア室)
  • 山本 精一郎(国立がん研究センターがん予防・検診研究センター 保健政策研究部)
  • 溝田 友里(国立がん研究センターがん予防・検診研究センター 保健政策研究部予防・検診普及研究室)
  • 坪井 正博(独立行政法人国立がん研究センター東病院 呼吸器外科)
  • 山中 竹春(横浜市立大学大学院医学研究科 臨床統計学)
  • 錦戸 典子(東海大学健康科学部)
  • 青儀 健二郎(独立行政法人国立病院機構 四国がんセンター・乳腺・内分泌外科)
  • 立道 昌幸(東海大学医学部基盤診療学系公衆衛生学)
  • 堀之内 秀仁(独立行政法人国立がん研究センター中央病院 呼吸器内科)
  • 宮下 光令(東北大学大学院医学系研究科保健学専攻)
  • 西田 豊昭(中部大学経営情報学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 がん対策推進総合研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
12,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究班の目的は以下の4点である。
①医療機関で実施する離職予防プログラムを開発し評価すること
②がん者に支援的な企業文化が醸成される背景を検討し、企業研修などに応用すること
③H22年度以降の研究班で開発した各種教材や研修カリキュラムを改善・充実させること
④がん患者の就労支援の重要性と具体策について、一般市民・医療者・企業関係者に向けた啓発をすること
研究方法
H27年度は8テーマのプロジェクトを実施。それぞれ、文献レビュー、個人インタビュー、グループディスカッション、調査票を用いた介入評価手法を組み合わせて研究を実施した。
結果と考察
(1)医療機関で実施する離職予防介入研究の立案
 医療機関での介入に向けて、現状の問題点と介入プログラムの方向性を明らかにするためのグループディスカッションを実施。16名の研究班関係者から、16点の課題と20点の対応策が挙げられた。

(2)がんと仕事のQ&A第2版の作成と公開
 平成25年2月に公表した「がんと仕事のQ&A」初版について、患者・家族・企業関係者・医療者計40名からコメントシートとヒアリングで意見を収集し、それに基づいて第2版を作成、公開した。
目次や索引を追加し、体験談コラムを大幅に増やした。

(3)「症状別職場対応のヒント集(案)」作成に向けた体験談収集調査
 患者から職場に向けて就業上の配慮を依頼する際に活用する「症状別対応ヒント集(案)」の作成
に向けて、45種の症状に対して、17名の患者から58件の体験談を得た。H27年度にヒント集を作成、公開予定である。

(4)がん患者の離職実態調査の立案
 がん種別の離職率と離職タイミングの把握のために、前向き観察研究を立案した。調査票を作成した。H27年度にデータ収集予定である。

(5)病院における介入研究の文献レビュー
 病院における就労支援介入研究の文献レビューを実施した。特に、2008年までの文献はすでに
Tammingaらによってレビューされているため、その後の検索を行い、該当する11介入研究について
内容を検討した。知見は介入プログラムに活かす予定である。

(6)産業看護職向け研修プログラムの開発と評価
 H25年度に実施した産業看護職向け研修プログラムの長期効果についてデータ収集を実施した。
研修前、研修直後、研修3か月後の3時点のデータが得られた40名について分析。研修後3か月間に
がん就労者への支援を実施した者は半数以上、そのうち86%が研修は役立ったと回答した。また
時間経過とともに、就労に関する支援実施への自信が高まっていた。

(7)人事労務担当者と産業看護職の合同研修プログラムの開発と評価
 人事労務担当者と産業看護職の合同研修プログラムの開発・検証に着手した。2時間強の研修
プログラムを作成し、3回の研修会で計62名に対して研修を実施した。対応困難と考える項目や研修の効果について、人事労務担当者と産業看護職の間で差異を認める項目も存在したが、全体として合同研修は好意的に評価され、今後の多職種参加型研修への示唆が得られた。


(8)有病者支援に関する企業関係者対象インタビュー調査
「企業の有病者支援(がん患者支援)が従業員の態度や離職率にどの様に影響するか」を明らかにする
ことを目的として、企業約30社の人事労務担当者対象の個別インタビューのインタビューガイド作成
と、企業規模の異なる8社の人事担当者へのインタビュー調査を実施した。支援体制を整備するには
財政的、人員的な余裕が必要だが、厳しい経営状況でも支援的な会社も存在し、企業文化の影響も
伺われた。どのような要因が支援的な企業文化を醸成するのか、その文化を定着させるための工夫
などについて、H27年度もインタビュー調査を継続予定である。

結論
医療機関における離職予防プログラムの立案に向けて、文献レビュー、実態調査、教材開発などを実施した。さらに、関係者向け研修の評価や企業インタビューも実施した。H27年度は離職予防プログラムを開始するとともに、支援的企業文化を醸成する背景の分析も継続して実施する予定である。

公開日・更新日

公開日
2015-09-07
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201411018Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
15,150,000円
(2)補助金確定額
10,247,000円
差引額 [(1)-(2)]
4,903,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,206,667円
人件費・謝金 2,568,896円
旅費 1,513,418円
その他 808,187円
間接経費 3,150,000円
合計 10,247,168円

備考

備考
がん種別の離職実態調査を準備していたが、予定していた調査フィールドの手配が間に合わず、年度内に調査を実施できなかった。調整が予算繰り越し手続きのタイミングに間に合わなかったため、返金せざるを得ない状況となった。その後、H27年度内の調査実施のめどはついたため、できるだけ早期の実施を予定している。

公開日・更新日

公開日
2015-10-21
更新日
-