がん患者が抱える精神心理的・社会的問題に関して、その原因や関連要因になり得る社会的要因に着目し、その是正を目指した研究

文献情報

文献番号
201411002A
報告書区分
総括
研究課題名
がん患者が抱える精神心理的・社会的問題に関して、その原因や関連要因になり得る社会的要因に着目し、その是正を目指した研究
課題番号
H26-がん政策-一般-002
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
内富 庸介((独)国立がん研究センター 支持療法開発センター)
研究分担者(所属機関)
  • 森田達也(聖隷三方原病院緩和支持治療科)
  • 岡村 仁(広島大学大学院保健学研究科)
  • 稲垣正俊(岡山大学病院精神科神経科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 がん対策推進総合研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
7,600,000円
研究者交替、所属機関変更
研究代表者:内富庸介 所属機関:岡山大学大学院医歯薬学総合研究科精神神経病態学教室      (平成22年4月~平成26年12月31日)      国立研究開発法人国立がん研究センター支持療法開発センター      (平成27年1月1日以降)

研究報告書(概要版)

研究目的
医師のコミュニケーション技術研修法(CST)は医師の共感行動を有意に増加させ、患者のストレスや医師への信頼感と有意に関連することが明らかにされてきた。しかしながら、抗がん治療中止の知らせや予後についての話し合いなど腫瘍医が直面する難しい状況は現在もなお多く、これらの状況下で患者が医療者に望む行動は明らかになっていない。そこで、研究1として腫瘍医が直面するコミュニケーション困難な抗がん治療中止の状況において、医師に望まれる行動をがん患者に対面調査および質問紙調査し、是正すべき要因を明らかにする。また研究2として、CSTの認知的共感への影響を検討する。
研究方法
1.対象 研究1:国立がん研究センター中央病院・東病院に通院・入院中のがん患者で、担当医が、治癒、延命を目的とした抗がん治療を推奨できないと考え、それが伝えられた者 研究2:がん医療に携わる医師40名(CST応募者20名を介入群、年齢、性別をマッチさせた対象群20名)2.方法 1)評価項目 (1)主要評価項目:先行研究、研究者間の議論、対象者との面接から得られたデータを基に、内容的妥当性を検討し、意向の予備尺度を作成する。対象者とオンコロジスト数名に予備尺度を施行し、身体的・精神的負担を十分検討した後、本尺度を作成する。(2)関連評価項目:社会人口統計データ、医学データ(3)表情認知課題:基本6感情(怒り、嫌悪、恐怖、悲しみ、驚き、喜び)と中性の表情表出映像を提示し、その感情と自身の情動を評価する。2)手順 研究1:適格基準を満たす対象者に対し、担当医より研究協力の説明をしてもらい、同意が得られた場合に、質問紙(本尺度)と同意書、返信用封筒を手渡す。質問回答後は、同意書とともに返信用封筒に入れ、返送してもらう。研究2:対象者に対して、CST(対照群は1週間の間隔)前後に表情認知課題を実施する。評定値は、前後差を算出し、群間差をt検定する。
結果と考察
研究1:リクルート期間中の取り込み基準該当者443名、そのうち除外基準該当者251名を除いた適格基準該当者192名に、質問紙を配布した。その結果106名の返信を得た。
研究2:介入群、対照群の平均年齢は、34.1±3.5歳、33.7±5.3歳、性別は、両群ともに男性12名、女性8名、臨床経験月数は、99.8±33.ケ月0、101.5±57.3カ月であり、統計的に有意な差は認められなかった。
表情課題に対する感情評価は、介入群でCST後に負の感情(嫌悪、恐怖、悲しみ、驚き)への評定値が有意に大きい(それぞれ、t=3.01, p<.01; t=3.67, p<.01; t=2.27, p<.05; t=3.99, p<.01)ことが示唆された。一方で、怒り、喜び、中性課題では有意な差は認められなかった。
結論
本研究より得られたデータから、抗がん治療中止の知らせを伝えられる際のコミュニケーションに関する患者の意向の実態と関連要因が明らかになる。
研究2:本研究の結果から、CSTを受けた医師は表情認知の側面から患者の負の感情への認知的共感を強化する可能性が示唆された。

公開日・更新日

公開日
2015-09-07
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201411002Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
9,800,000円
(2)補助金確定額
9,800,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 5,112,234円
人件費・謝金 927,512円
旅費 1,048,250円
その他 512,004円
間接経費 2,200,000円
合計 9,800,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2015-10-21
更新日
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