乳幼児健康診査の実施と評価ならびに多職種連携による母子保健指導のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
201410018A
報告書区分
総括
研究課題名
乳幼児健康診査の実施と評価ならびに多職種連携による母子保健指導のあり方に関する研究
課題番号
H24-次世代-指定-007
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
山崎 嘉久(あいち小児保健医療総合センター 保健センター)
研究分担者(所属機関)
  • 山縣 然太朗(山梨大学大学院医学工学総合研究部 社会医学講座)
  • 溝呂木 園子(山梨大学大学院医学工学総合研究部 社会医学講座)
  • 佐藤 拓代(地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪府立母子保健総合医療センター)
  • 玉腰 浩司(名古屋大学医学部保健学科看護学専攻)
  • 丸山進一郎(医療法人アリスバンビーニ小児歯科)
  • 市川 香織(文京学院大学 保健医療技術学部)
  • 加藤 恵子(愛知県知多保健所健康支援課)
  • 草野 恵美子(大阪医科大学 看護学部)
  • 石川 みどり(国立保健医療科学院生涯健康研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 成育疾患克服等次世代育成基盤研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
7,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 乳幼児健康診査(以下、乳幼児健診)の実施状況、妊娠期から乳幼児期の保健指導に関する実態ならびに乳幼児健診に対する都道府県の状況を把握することから、乳幼児健診の実施と評価ならびに多職種連携による母子保健指導のあり方について検討すること。
研究方法
 研究3年次となる本年度は、以下のような方法で検討した。
 1)平成25年度に作成した「乳幼児期の健康診査と保健指導に関する標準的な手引きの考え方」(以下、「考え方」とする。)に対する検証:全国自治体母子保健主管部(局)担当者等へのアンケートを用いて検証した。2)標準的な乳幼児健診の実施に関する検討:「健やか親子21(第2次)」において、指標の推移を乳幼児健診の問診情報を活用して把握する必須問診項目、及び自治体の基盤整備に関する指標のうち乳幼児健診と関連した指標について研究班内のワーキング会議(4回)で検討した。3)標準的な保健指導のあり方に関する検討:「考え方」の見直しと修正案を作成し、現場の保健師を対象とした意見収集調査、研究班内の多職種によるワーキング会議(6回)で検討した。4)モデル地域での実践等による検討:妊娠期からの支援の評価等に関して検討した。分担研究者において、各分担研究課題について継続して実施した。
結果と考察
 必須問診項目は、全国市町村が乳幼児健診の問診項目として共通に利用することで、受診者の個別の健康状況だけでなく、地域の健康状況の把握につなげるものである。「健やか親子21(第2次)」の指標のうち、この手法で情報を集積することが適切な指標を選定し、その利活用のポイントを明らかにした。また、自治体の基盤整備の指標のうち「乳幼児健康診査事業を評価する体制がある市区町村の割合、市町村の乳幼児健康診査事業の評価体制構築への支援をしている県型保健所の割合」(基盤課題A-16)など、乳幼児健診と関連した項目について、報告のための具体的な基準を具体的に示した。これらの成果は、「「健やか親子21」の最終評価等に関する検討会」の基礎資料として利用された。
 また、乳幼児健診における標準的な保健指導の基本として、1)親子の顕在的および潜在的健康課題を明確化し、その解決に向けて親子が主体的に取り組むことができるための支援、2)健診従事者が多職種間で情報共有し、連携した保健指導により全ての親子に必要な支援が行き届くことを保障するとの考え方を示した。
結論
 研究成果に基づいて、市町村と都道府県が、乳幼児健診や関連した母子保健事業を実施するための標準的な事項を整理し、「標準的な乳幼児期の健康診査と保健指導に関する手引き ~「健やか親子21(第2次)」の達成に向けて~」にまとめ上げた。

公開日・更新日

公開日
2015-06-23
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2015-06-23
更新日
2015-11-13

文献情報

文献番号
201410018B
報告書区分
総合
研究課題名
乳幼児健康診査の実施と評価ならびに多職種連携による母子保健指導のあり方に関する研究
課題番号
H24-次世代-指定-007
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
山崎 嘉久(あいち小児保健医療総合センター 保健センター)
研究分担者(所属機関)
  • 山縣 然太朗(山梨大学大学院医学工学総合研究部 社会医学講座)
  • 溝呂木 園子(山梨大学大学院医学工学総合研究部 社会医学講座)
  • 佐藤 拓代(地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪府立母子保健総合医療センター)
  • 玉腰 浩司(名古屋大学医学部保健学科看護学専攻)
  • 丸山 進一郎(医療法人アリスバンビーニ小児歯科)
  • 市川 香織(文京学院大学 保健医療技術学部)
  • 加藤 恵子(愛知県知多保健所健康支援課)
  • 草野 恵美子(大阪医科大学 看護学部)
  • 石川みどり(国立保健医療科学院生涯健康研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 成育疾患克服等次世代育成基盤研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
乳幼児健康診査(以下、乳幼児健診)の実施状況、妊娠期から乳幼児期の保健指導に関する実態ならびに乳幼児健診に対する都道府県の状況を把握することから、乳幼児健診の実施と評価ならびに多職種連携による母子保健指導のあり方について検討することを目的とした。
研究方法
乳幼児健診の実施と保健指導に関する標準的な事項について、全国市町村調査や現場担当者等への聞き取りを含めた状況確認、保健指導に関するエビデンスの集積などを実施して基本的な考え方を取りまとめた。その上で他研究班、関連学会と情報共有等を行い標準的な乳幼児健診のあり方について検討した。
結果と考察
初年次は、モデル地域等の自治体の実態把握等により、健診事業の目的を達成するため自治体の特性を生かした工夫が認められるものの、住民の健康度の違いにつながる事項(疾病の発見率や保健指導・支援のあり方、未受診者対応等)については標準化が必要であることを明らかにした。
2年次は、乳幼児健診後の事後措置や評価、保健指導に関する全国市町村調査を実施し、多職種が連携した標準的な保健指導のあり方ついて検討した。また、モデル地域において乳幼児健診後のフォローアップと評価、および個別健診実施地域における医療機関と自治体との健診情報の利活用について検討した。他の研究班や関係学会とも情報共有し「乳幼児期の健康診査と保健指導に関する標準的な考え方(以下、「考え方」とする。)」を作成した。
3年次は、「考え方」に対する全国自治体からの意見集約、他研究班との情報共有を行い、モデル地域での実践研究を継続した。また、「健やか親子21(第2次)」において、指標の推移を乳幼児健診の問診情報を活用して把握する必須問診項目の利活用のポイント、及び自治体の基盤整備に関する指標のうち乳幼児健診と関連した指標について検討した。
こうした検討から、乳幼児健診に求められる意義は、1)対象者個別と地域の健康状況の把握、2)支援者との出会いの場、3)多職種が連携した標準的な保健指導による支援、4)一貫した行政サービスを提供するための共通の基盤づくりであることを示した。また、標準的な保健指導として、1)親子の顕在的および潜在的健康課題を明確化し、その解決に向けて親子が主体的に取り組むことができるための支援、2)健診従事者が多職種間で情報共有し、連携した保健指導により全ての親子に必要な支援が行き届くことを保障するとの考え方を示した。
結論
 研究成果に基づいて、市町村と都道府県が、乳幼児健診や関連した母子保健事業を実施するための標準的な事項を整理し、「標準的な乳幼児期の健康診査と保健指導に関する手引き~「健やか親子21(第2次)」の達成に向けて~」にまとめ上げた。

公開日・更新日

公開日
2015-06-23
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2015-06-23
更新日
2015-11-13

行政効果報告

文献番号
201410018C

成果

専門的・学術的観点からの成果
標準的な問診項目(全国市町村が共通に利用することで、受診者の個別の健康状況だけでなく地域の健康状況の把握につなげるもの)が、研究成果に基づいて作成された。平成27年度から全国の市町村において「標準的な問診項目」を利用した新しい乳幼児健診事業が実施され、母子保健課調査により地域の健康状況が把握される見込みである。自治体の基盤整備の指標に関する質的な評価基準が、研究成果に基づいて作成された。
臨床的観点からの成果
成果物として関係自治体等に配布した冊子は、乳幼児健診事業を実施するための標準的な事項を整理したもので、これまで利用されてきた学会や関連団体作成するガイドラインや、専門家が発行する市販書籍等ではほとんど検討されていないものである。今後、都道府県・市町村が、乳幼児健診事業の計画や評価を検討する際に、本研究の成果を他の書籍等からの情報と相補的に利用することで、乳幼児健診事業に共通の基盤づくりに活用されることが期待される。
ガイドライン等の開発
1)「乳幼児期の健康診査と保健指導に関する標準的な考え方」(平成26年3月)の発行とインターネット掲載
http://www.achmc.pref.aichi.jp/sector/hoken/information/file/screening_manual_standardview/manual06.pdf
2)「標準的な乳幼児期の健康診査と保健指導に関する手引き ~健やか親子21(第2次)の達成に向けて~」(平成27年3月)発行
その他行政的観点からの成果
本研究の成果は、第10回「「健やか親子21」の最終評価等に関する検討会」(平成26年10月24日(金)開催)の議題「(1)次期計画における指標及び目標等の設定について」の資料として活用された。
その他のインパクト
日本家族計画協会等の民間が主催する研修会、静岡県・京都府・岐阜県などの自治体主催の研修会の講師として招請され、成果の啓発に努めている。

発表件数

原著論文(和文)
5件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
42件
その他論文(英文等)
4件
学会発表(国内学会)
48件
学会発表(国際学会等)
4件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
第10回「「健やか親子21」の最終評価等に関する検討会」(平成26年10月24日(金)開催)の議題「(1)次期計画における指標及び目標等の設定について」の資料
その他成果(普及・啓発活動)
2件
1)「乳幼児期の健康診査と保健指導に関する標準的な考え方」(平成26年3月)2)「標準的な乳幼児期の健康診査と保健指導に関する手引き ~健やか親子21(第2次)の達成に向けて~」

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
山崎嘉久
乳幼児健診の現状と課題
小児科診療 , 79 (5) , 601-607  (2016)
原著論文2
山崎嘉久
「標準的な乳幼児期の健康診査と保健指導に関する手引き」について
小児保健研究 , 75 (4) , 432-438  (2016)
原著論文3
佐々木渓円,新美志帆,山崎嘉久他
3歳児健康診査の実施対象年齢に関する全国調査
厚生の指標 , 63 , 8-13  (2016)
原著論文4
高橋 希, 祓川摩有,石川 みどり他
市町村母子保健事業の栄養担当者の視点による母子の心配事の特徴 妊娠期・乳児期・幼児期に関する栄養担当者の自由記述の分析
日本公衆衛生雑誌 , 63 , 569-577  (2016)
原著論文5
秋山千枝子,落合仁,山﨑嘉久他
三重県における委託による4か月個別健診の実態
外来小児科 , 20 (1) , 92-98  (2017)
原著論文6
山崎嘉久,佐々木渓円,小澤敬子他
乳幼児健康診査後のフォローアップの現状と事業評価に向けた概念整理
東海公衆衛生雑誌 , 5 (1) , 121-127  (2017)

公開日・更新日

公開日
2021-06-03
更新日
-

収支報告書

文献番号
201410018Z