文献情報
文献番号
201409055A
報告書区分
総括
研究課題名
標準的治療の確立が望まれる難治性疾患に対する新規治療法の開発
研究課題名(英字)
-
課題番号
H24-実用化(国際)-指定-004
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
中西 洋一(九州大学病院 ARO次世代医療センター)
研究分担者(所属機関)
- 戸高 浩司(九州大学大学病院・ARO次世代医療センター)
- 赤司 浩一(九州大学大学院医学研究院血液・免疫学)
- 堀内 孝彦(九州大学大学院医学研究院免疫学)
- 宮本 敏浩(九州大学病院血液・免疫学)
- 新納 宏昭(九州大学病院免疫学)
- 塚本 浩(九州大学病院免疫学)
- 谷 憲三朗(九州大学生体防御医学研究所(九州大学バイオメディカルリサーチセンター)・血液腫瘍学/同病院・ARO次世代医療センター)
- 鶴田 敏久(九州大学大学病院・先端分子細胞治療科)
- 土方 康基(九州大学大学病院・血液腫瘍内科学)
- 井上 博之(九州大学生体防御医学研究所・腫瘍内科学)
- 内藤 誠二(九州大学大学院医学研究院泌尿器科学分野)
- 横溝 晃(九州大学大学院医学研究院泌尿器科学分野)
- 篠原 信雄(北海道大学大学院医学研究科腎泌尿器外科学分野)
- 塚本 泰司(札幌医科大学医学部泌尿器科学)
- 舛森 直哉(札幌医科大学医学部泌尿器科学)
- 大山 力(弘前大学大学院医学研究科泌尿器科学講座)
- 荒井 陽一(東北大学大学院医学系研究科泌尿器科学分野)
- 赤座 英之(東京大学先端科学技術研究センター総合癌研究国際戦略推進寄付研究部門)
- 西山 博之(筑波大学医学医療系泌尿器科学)
- 大家 基嗣(慶應義塾大学医学部泌尿器科学)
- 頴川 晋(東京慈恵会医科大学泌尿器科学)
- 岩村 正嗣(北里大学医学部泌尿器科)
- 大園 誠一郎(浜松医科大学医学部泌尿器科学講座)
- 後藤 百万(名古屋大学大学院医学系研究科泌尿器科学)
- 樋之津 史郎(岡山大学病院新医療研究開発センター)
- 西村 和郎(大阪府立成人病センター泌尿器科)
- 藤澤 正人(神戸大学大学院医学研究科外科系講座腎泌尿器科学分野)
- 平尾 佳彦(奈良県立医科大学産学官連携推進センター)
- 藤本 清秀(奈良県立医科大学医学部医学研究科泌尿器科学講座)
- 松山 豪泰(山口大学大学院医学系研究科泌尿器科学分野)
- 筧 善行(香川大学医学部泌尿器科学)
- 橋根 勝義(独立行政法人国立病院機構四国がんセンター泌尿器科)
- 山口 秋人(医療法人原三信病院泌尿器科)
- 江藤 正俊(熊本大学大学院生命科学研究部泌尿器科学分野)
- 中川 昌之(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科泌尿器科学分野)
- 高橋 悟(日本大学医学部泌尿器科学系泌尿器科学分野)
- 金山 博臣(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部泌尿器科学分野)
- 田中 博(市立札幌病院泌尿器科)
- 蟹本 雄右(掛川市・袋井市病院企業団立 中東遠総合医療センター)
- 岡村 武彦(愛知県厚生農業協同組合連合会安城更生病院泌尿器科)
- 津島 知靖(国立病院機構岡山医療センター・泌尿器科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 【補助金】 医療技術実用化総合研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
69,231,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
有効な治療法のない難治性疾患に対し企業の開発戦略に含まれないものの医療における必要性の高い3つの治療法について医師主導治験・臨床試験の実施によりヒトでの有効性・安全性の評価を行い将来の実用化につなげる。
研究方法
1:健常人5名とSSc患者9名の末梢血リンパ球をソーティングにより8分画に分けて回収しマイクロアレイにより遺伝子発現プロファイルを比較した。SSc患者CD8陽性T細胞において高発現しているCD226に着目し以下の検討を行った。a)SSc患者においてCD226が高発現しているリンパ球亜分画b) CD226陽性CD8陽性T細胞の割合とSSc患者における皮膚硬化および間質性肺炎の重症度との関連c) CD226高発現CD8陽性細胞におけるサイトカイン産生プロファイルを明らかにする。2:1.目標症例数HLA-A*24:02 保持者13例 2.試験物の概要OCV-C01はOCV-105、エルパモチドOCV-101のカクテル剤であり同一の効能を有する市販薬はない。調達法:治験薬提供者にて原薬を海外から輸入し製造 3.投与方法 治験薬を1.0 mL/bodyで週1回4週間投与を1コースとして可能な限り腋窩部あるいは鼠径部に皮下投与する。腋窩部あるいは鼠径部に投与できない場合は上腕大腿あるいは腹部に皮下投与する。治験薬投与中止基準に該当するまで上記コースを繰り返す。最終投与日は最長で投与開始日から365日目までとする。4.対象疾患 適格基準:肝内外胆管癌,胆嚢癌および乳頭部癌と診断されている。肝外胆管癌,胆嚢癌,乳頭部癌の場合は腺癌,腺扁平上皮癌,肝内胆管癌の場合は腺癌と組織学的に診断が得られている。Stage II-IV 胆道癌で切除不能胆道癌である。測定可能病変の有無は問わない。ゲムシタビンを含むレジメンに対して不応もしくはシスプラチンの投与が出来ないと判断されている。放射線療法により生存期間の延長が期待できない。5.除外基準:過去にいわゆる癌免疫療法(活性化リンパ球療法,樹状細胞療法,がんワクチン療法など)の受療歴を有する。過去1年未満に重複癌を有する。ただし上皮内癌および粘膜内癌病変は登録可とする。原疾患が消化管等に浸潤しておりかつ出血が強く危惧される。課題3:中・高再発リスクの筋層非浸潤性膀胱癌患者を以下の2群にランダム化する。A群:標準量 BCG 導入療法B群:標準量 BCG 導入療法+低用量 BCG 維持療法。主要評価項目は無再発生存期間、副次評価項目は無増悪生存期間,生存期間,プロトコール治療の完遂率,有害事象発現状況とした。登録予定患者は合計180例,登録期間は1.5年,追跡期間は最短3年とし総研究期間は5年である。効果・安全性評価委員会を設置し中間解析として二次登録が100例に達した時点でイベントの発現状況ならびに有害事象の発現状況を評価し研究全体の継続に及ぼす影響を評価する。
結果と考察
結果:3課題とも九州大学病院ARO次世代医療センターの主要メンバーから構成されるARO推進室会議において知財関連事項、薬事関連事項、当局対応、臨床試験や治験の実施に際して具体的な問題点や課題抽出など実務的な戦略策定を行った。課題1,2においてはPMDA薬事戦略相談をAROとともに行った。その結果課題によっては薬事戦略方針の修正試験デザインの変更などが必要となり試験遂行上多いに進展した。考察1:プロトコールおよび先進医療実施届出書の内容がほぼ確定した。本研究は再生医療新法下での施行となるため平成27年度に特定認定再生医療等委員会への承認申請を行う。承認後厚生労働省と再度事前相談を経て先進医療申請を行う予定である。CD8陽性T細胞のマイクロアレイにおいて健常人とSSc患者間で異なる発現を示した遺伝子のうちGWASで疾患関連遺伝子として抽出されたCD226に着目した。われわれはSSc患者CD8陽性細胞では蛋白レベルでもCD226発現が亢進していることを確認した。課題2:被験者のうち1名は投与開始後約3ヶ月になるが現在有害事象は軽微で投与を継続しており効果が期待できる。治験薬と因果関係のある重篤な有害事象は発生していない。疾患の性格から全身状態の変化が起こりやすいため早期入院、治験開始が重要である。現在、前治療中に問い合わせをいただく例も増えておりその点では時機を逸することなく治験に入ることが出来るものと思われる。課題3:今年度も症例登録を促進する方策を取って目標症例の登録を完了しプロトコール治療並びにフォローアップを継続し研究遂行に邁進したい。
結論
3課題ともそれぞれプロトコール確定,治験開始,多施設臨床試験実施と当初の目標を達成している。PMDAとの薬事戦略相談等も終了し順調に進捗している。
公開日・更新日
公開日
2016-01-28
更新日
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