臨床研究コーディネーター養成カリキュラムの標準化に関する研究

文献情報

文献番号
201409040A
報告書区分
総括
研究課題名
臨床研究コーディネーター養成カリキュラムの標準化に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H25-医療技術-指定-013
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
楠岡 英雄(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター)
研究分担者(所属機関)
  • 後澤 乃扶子(独立行政法人国立がん研究センター)
  • 遠藤 一司(明治薬科大学、)
  • 小原 泉(自治医科大学)
  • 山田 浩(静岡県立大学)
  • 森下 典子(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 【補助金】 医療技術実用化総合研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
3,528,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
質の高い臨床研究・治験の実施には臨床研究コーディネーター(CRC)の存在が不可欠である。CRCは、臨床研究・治験の実施を円滑に行うために、研究者を支援し、研究スケジュールの管理、関連部門との調整、被験者へのケア、臨床データの管理等、臨床研究・治験の倫理性や科学性を担保する役割を担う専門職である。本研究は、「臨床研究・治験活性化5か年計画2012」に記載されている「初級者CRC」、「上級者CRC」に求められる人材像を明確化した上で、初級者CRC、上級者CRCの養成研修の立案を目的とした。すなわち、CRCの養成において、どの団体が実施しても質が適切に保たれるよう、標準的な養成カリキュラムの整備を行い、研修内容の標準化を図ることを目的としている。
研究方法
今年度は、4回の班会議、2回のワーキングを開催した。
まず、臨床研究・治験に関わっている臨床研究者や諸団体に対するヒアリングを行い、初級者CRC、上級者CRCに求められる知識・技倆についての情報収集を行った。その後、テキストマイニングの手法を用い、初級者CRC、上級者CRCの人材像を明確化した。
また、初級者CRC養成カリキュラム、上級者CRC養成カリキュラムの精緻化を図り、初級者カリキュラムは2団体(国立病院機構本部、日本病院薬剤師会)で、上級者カリキュラムは厚生労働省の委託事業で試行した。さらに、施行後、研修担当者にヒアリングを行い、カリキュラムの問題点を洗い出した。同時に、受講者にアンケート調査を行いカリキュラムの評価を行った。
結果と考察
1.CRCの人材像:テキストマイニングの手法により求めたCRCに求められる人材像としては、以下の通りであった。
1.Scope(活動範囲)
①先進的な医療技術開発の倫理性/安全性、信頼性を扱う
②被験者、他職種あるいはチームに働きかける
2.Competency(能力、技倆)
①活動範囲(Scope)としている領域に精通している
②対応
③マネジメント
④コミュニケーション
⑤コーディネーション
⑥コンサルテーション
⑦医療人として、相応しい行動がとれる
2.CRC養成カリキュラム
 初級者CRC、上級者CRCのそれぞれの養成カリキュラムを作成した。さらに、各カリキュラムのシラバスを作成し、カリキュラムの求める内容をよりわかりやすく伝えられるようにした。
3.受講生へのアンケート結果:養成カリキュラムに基づき研修を実施した研修担当者にヒアリングして得られた改善点や要望は、カリキュラムの最終版に反映させた。
 ヒアリングにより、CRCに求められる業務内容や技倆が明らかとなった。これらの技倆等は、今回策定した養成カリキュラムで十分にカバーできており、カリキュラムの妥当性があらためて確認される結果となった。CRC養成カリキュラムの策定においては、ACRPの臨床研究支援人材の14 の役割・責務を基本に置くことで、初級CRC養成研修カリキュラムと上級CRC養成研修カリキュラムとの整合性、一貫性が計られ、かつ、CRCに求められる人材像とも一致することとなった。また、ACRPの項目を基本としたことで、グローバル・スタンダードにも合致していることが保証された。
結論
本研究により、現時点におけるCRC養成カリキュラムの標準化は図られたが、臨床研究等の進展はめざましく、CRCに求められる技倆も時々刻々と変化しているので、本カリキュラムがまもなく陳腐化することは容易に想像される。今後も継続したカリキュラムの改訂作業が必要であり、そのための体制が望まれる。

公開日・更新日

公開日
2015-04-30
更新日
-

研究報告書(PDF)

総括研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2015-10-21
更新日
-

文献情報

文献番号
201409040B
報告書区分
総合
研究課題名
臨床研究コーディネーター養成カリキュラムの標準化に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H25-医療技術-指定-013
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
楠岡 英雄(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター)
研究分担者(所属機関)
  • 後澤 乃扶子(独立行政法人国立がん研究センター)
  • 遠藤 一司(明治薬科大学)
  • 小原 泉(自治医科大学)
  • 山田 浩(静岡県立大学)
  • 森下 典子(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 【補助金】 医療技術実用化総合研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 質の高い臨床研究・治験の実施には臨床研究コーディネーター(以下、「CRC」とする。)の存在が不可欠である。本研究は、「臨床研究・治験活性化5か年計画2012」に記載されている「初級者CRC」、「上級者CRC」に求められる人材像を明確化した上で、初級者CRC、上級者CRCの養成研修の立案を目的とした。すなわち、CRCの養成において、どの団体が実施しても質が適切に保たれるよう、標準的な養成カリキュラムの整備を行い、研修内容の標準化を図ることを目的とした。
研究方法
 本研究では、2年間に9回の班会議、2回のワーキングを開催し、検討を行った。CRCに求められる人材像を明らかにするために、臨床研究等に関わっている研究者や団体に対するヒアリングを行い、CRC求められる知識・技倆についての情報収集を行い、テキストマイニングの手法を適用して、CRCの人材像を明確化した。また、初年度において標準養成カリキュラム(案)の策定を行った。第2年度においては、策定した成カリキュラムの精緻化を図り、試行し、試行後、研修担当者にヒアリングを行い、問題点を洗い出した。同時に、受講者にアンケート調査を行いカリキュラムの評価を行った。これらの作業の後、初級者CRC養成カリキュラム、上級者CRC養成カリキュラムのそれぞれの初版を確定した。
結果と考察
1.CRCの人材像
 ヒアリング・データより得られた、CRCに求められる人材像は、以下の通りであった。
1.Scope(活動範囲)
①先進的な医療技術開発の倫理性/安全性、信頼性を扱う、②被験者、他職種あるいはチームに働きかける
2.Competency(能力、技倆)
①活動範囲(Scope)としている領域に精通している、②対応、③マネジメント、④コミュニケーション、⑤コーディネーション、⑥コンサルテーション、⑦医療人として、相応しい行動がとれる
2.CRC養成カリキュラム
 初級者CRC、上級者CRCのそれぞれの養成カリキュラムを作成した。さらに、各カリキュラムのシラバスを作成し、カリキュラムの求める内容をよりわかりやすく伝えられるようにした。なお、今回のカリキュラム作成においては、Association of Clinical Research Professional(ACRP)が採用している、臨床研究支援人材の14 の役割・責務を基本項目とし、我が国におけるCRC養成で行われているが14項目に含まれないものを「15.その他」とした。
 また、日本SMO協会のCRC育成に関する取り組みについても情報提供を受けた。
3.受講生へのアンケート結果
 初級者養成カリキュラムに基づき研修を実施した、国立病院機構本部、日本病院薬剤師会、ならびに、厚生労働省の委託事業として上級者カリキュラムに基づき研修を実施した国立病院機構本部のそれぞれの研修担当者にヒアリングして得られた改善点や要望は、カリキュラムの最終版に反映させた。
4.初級者/上級者養成カリキュラムの広報
平成27年3月に、当研究班で作成した養成カリキュラムの説明会を開催した。
 ヒアリングにより、CRCに求められる業務内容や技倆はそれぞれの立場において異なるが、テキストマイニグにより、コミュニケーション能力等を重要視するなど、内在する共通点を明らかにすることができた。これらの技倆等は、今回策定した養成カリキュラムで十分にカバーできており、カリキュラムの妥当性があらためて確認される結果となった。
 CRC養成カリキュラムの策定においては、ACRPの臨床研究支援人材の14 の役割・責務を基本に置くことで、初級CRC養成研修カリキュラムと上級CRC養成研修カリキュラムとの整合性、一貫性が計られ、かつ、CRCに求められる人材像とも一致することとなった。また、ACRPの項目を基本としたことで、グローバル・スタンダードにも合致していることが保証された。一方、ACRPの項目にないが、我が国におけるCRC養成に必要と考えられる項目を明らかにし、追加することにより、CRCに求められる技倆等のグローバル比較も同時に行えたと考えられる。
 本研究により、現時点におけるCRC養成カリキュラムの標準化は図られたが、臨床研究等の進展はめざましく、CRCに求められる技倆も時々刻々と変化しているので、本カリキュラムがまもなく陳腐化することは容易に想像される。今後も継続したカリキュラムの改訂作業が必要であり、そのための体制が望まれる。
結論
CRCに求められる人材像の明確化と、初級者CRC、上級者CRCの養成カリキュラムの標準化が計れた。さらに、臨床研究支援人材の育成に関する大学院教育プログラム骨子案を提案できた。

公開日・更新日

公開日
2015-05-07
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2016-01-28
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201409040C

成果

専門的・学術的観点からの成果
本研究は、「臨床研究・治験活性化5か年計画2012」に記載されている「初級者CRC」、「上級者CRC」に求められる人材像を明確化した上で、初級者CRC、上級者CRCの養成研修の立案を目的とし、初級CRC、ならびに、上級CRCの養成研修カリキュラムとそのシラバスの作成を行った。
臨床的観点からの成果
直接的なものはない。
ガイドライン等の開発
初級CRC、ならびに、上級CRCの養成研修カリキュラムとそのシラバスの作成を行った。
人を対象とする医学系研究に関する倫理指針等の改訂を反映させるため、2017年3月に上記両養成研修カリキュラムとそのシラバスの改訂を行った。
その他行政的観点からの成果
初級CRC、ならびに、上級CRCの養成研修カリキュラムの標準化が行われた。
その他のインパクト
平成27年3月に、当研究班で作成した養成カリキュラムの説明会を開催した。以下の団体からの出席があった。国立病院機構本部 総合研究センター、日本病院薬剤師会、東京大学医学部付属病院、国立がん研究センター、国立成育医療研究センター、日本臨床試験学会、日本臨床研究支援ユニット、日本SMO協会。
平成27年度ー29年度に、AMEDや臨床研究中核病院、国立病院機構等で行われたCRC養成研修に使用された。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
1件
第35回日本臨床薬理学会学術総会シンポジウム「国際的な質の高い臨床研究支援を目指したCRC養成・スキルアッププログラムの標準化」にて発表
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
第10回臨床研究・治験活性化に関する検討会(厚生労働省医政局)にて発表
その他成果(普及・啓発活動)
2件
日本医師会平成26年度治験推進地域連絡会議(東京、2015年3月)等にて発表

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2016-01-28
更新日
2019-05-21

収支報告書

文献番号
201409040Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
4,586,000円
(2)補助金確定額
4,586,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 396,674円
人件費・謝金 482,160円
旅費 818,860円
その他 1,830,306円
間接経費 1,058,000円
合計 4,586,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2016-01-28
更新日
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