文献情報
文献番号
201409039A
報告書区分
総括
研究課題名
わが国における熱帯病・寄生虫症の最適な診断治療体制の構築
研究課題名(英字)
-
課題番号
H25-医療技術-指定-012
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
丸山 治彦(国立大学法人宮崎大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
- 加藤 康幸(国立国際医療研究センター 国際感染症センター)
- 木村 幹男(結核予防会新山手病院 診療技術部)
- 春木 宏介(獨協医科大学越谷病院 臨床検査部 )
- 大前 比呂思(城南病院付属クリニック)
- 太田 伸生 (東京医科歯科大学 国際環境寄生虫病学分野 )
- 坂本 知昭(国立医薬品食品衛生研究所 薬品部 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 【補助金】 医療技術実用化総合研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
44,950,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
熱帯病・寄生虫症に対する国内未承認薬を海外から輸入し、研究班に所属する薬剤使用機関で治療に使用し、日本人における有効性と安全性を検討する。診断システムの研究開発もおこない、得られた知見をもとに「寄生虫症薬物治療の手引き」を発行し、ホームページや講習会、講演会等でも広く医療従事者および一般市民に情報提供する。
研究方法
未承認薬による熱帯病・寄生虫症の治療:治療前に患者からインフォームドコンセントを受け、治療後は、各薬剤使用責任者は治療報告書を国立国際医療研究センターデータセンターへ送付した。また、ファビピラビルの有効性と安全性を評価する臨床研究体制を整備した。
アーテメター・ルメファントリン合剤の有効性と安全性の検討:主治医から提出された治療報告書の記載を元に急性期に本剤による単独治療が行われた症例を対象とした。
アーテメター・ルメファントリン合剤の品質評価法の開発:アーテメーターとルメファントリンは市販試薬を購入し標準物質とした。近赤外ケミカルイメージングは、フーリエ変換形赤外分光器にInGaAs検出器を備えた顕微局所測定装置を接続した顕微分光システムを採用した。
マラリア迅速診断キットの有用性の検討:マラリア診断キットをマラリア疑いの患者に用いた。
寄生虫症の血清疫学と肺吸虫症および動物由来回虫症の本邦における特徴:血清検査は、14種類の寄生蠕虫に対して行った。肺吸虫症と動物由来回虫症について、検査依頼時の申込書に記載された情報に基づき、患者の年齢・性別・居住地・出身地・食歴等についてまとめた。
包虫症診断キットの有効性とアルベンダゾールの効果:モンゴルの包虫症流行地で肝病変の既往が疑われた例と超音波検査で肝嚢胞が認められた例についてイムノクロマト法とウエスタン・ブロット法を比較しアルベンダゾール投与後追跡した。
抗マラリア薬の抗住血吸虫作用機序:ローダミン標識N-251とFITC標識抗LAMP1抗体の局在を検討した。合成環状過酸化化合物のアフリカトリパノソーマ原虫に対する殺滅効果を検討した。
アーテメター・ルメファントリン合剤の有効性と安全性の検討:主治医から提出された治療報告書の記載を元に急性期に本剤による単独治療が行われた症例を対象とした。
アーテメター・ルメファントリン合剤の品質評価法の開発:アーテメーターとルメファントリンは市販試薬を購入し標準物質とした。近赤外ケミカルイメージングは、フーリエ変換形赤外分光器にInGaAs検出器を備えた顕微局所測定装置を接続した顕微分光システムを採用した。
マラリア迅速診断キットの有用性の検討:マラリア診断キットをマラリア疑いの患者に用いた。
寄生虫症の血清疫学と肺吸虫症および動物由来回虫症の本邦における特徴:血清検査は、14種類の寄生蠕虫に対して行った。肺吸虫症と動物由来回虫症について、検査依頼時の申込書に記載された情報に基づき、患者の年齢・性別・居住地・出身地・食歴等についてまとめた。
包虫症診断キットの有効性とアルベンダゾールの効果:モンゴルの包虫症流行地で肝病変の既往が疑われた例と超音波検査で肝嚢胞が認められた例についてイムノクロマト法とウエスタン・ブロット法を比較しアルベンダゾール投与後追跡した。
抗マラリア薬の抗住血吸虫作用機序:ローダミン標識N-251とFITC標識抗LAMP1抗体の局在を検討した。合成環状過酸化化合物のアフリカトリパノソーマ原虫に対する殺滅効果を検討した。
結果と考察
国内の熱帯病・寄生虫症例に対して、国内未承認薬の有効性と安全性を評価した。2014年度の登録症例は41例でマラリアが最も多かった。薬剤別ではプリマキン錠が最も多く、ピリメタミン、スルファジアジン、アーテメター・ルメファントリン合剤が続いた。
マラリア治療では、アーテメター・ルメファントリン合剤の治療成績をまとめ、有効性と安全性について検討した。同合剤使用例では、重症熱帯熱マラリア10例中8例、非重症熱帯熱マラリア33例中30例が治癒した。非熱帯熱マラリア7例は全て治癒した。治癒率は従来の報告より低かったが、体重過多の1例が含まれており体重に応じた投与量設定の必要性が示唆された。副作用は51例中10例で報告された。内容は、消化器症状4例、肝障害3例、遅発性溶血性貧血が3例であった。遅発性溶血性貧血は全て重症熱帯熱マラリアで、赤血球感染率が高い症例であった。アーテメター・ルメファントリン合剤の必要性は高く、国内承認されて治療選択肢が増えることは、わが国のマラリア診療レベル向上につながると考えられる。
アーテメター・ルメファントリン合剤の品質評価では、含量の少ないアーテメーターの剤内での分布が不均質となる傾向が確認された。マラリアの迅速診断キットMalaria Antigen P.fがマラリア疑い83例に使用され、感度、特異度ともに100%であった。迅速診断キットの使用は熱帯熱マラリアによる死亡例の減少に貢献するであろう。
寄生虫症の血清疫学では動物由来回虫類感染症と肺吸虫症が多数みられ、動物由来回虫症の多くはトキソカラ症(イヌ回虫症またはネコ回虫症)と考えられた。症例の分析により、肺吸虫症は日本人では50代~70代の男性に多く外国人では30 代と40代の女性が多数を占めるという特徴が明らかとなった。動物由来回虫類感染症は欧米と異なり、わが国では成人男性に多い病気であることがはっきりした。
4類感染症に指定されている包虫症のうち、主に単包虫症について免疫血清検査と画像検査の有用性と限界、初期病変に対するアルベンダゾールの治療効果を検討した。その結果、単包虫症では超音波検査とウエスタンブロッティングの併用で一次スクリーニングが可能であり、アルベンダゾールによる早期治療で治癒することが分かった。新規住血吸虫駆虫薬候補のN-89/N-251に抗トリパノソーマ効果が確認された。
マラリア治療では、アーテメター・ルメファントリン合剤の治療成績をまとめ、有効性と安全性について検討した。同合剤使用例では、重症熱帯熱マラリア10例中8例、非重症熱帯熱マラリア33例中30例が治癒した。非熱帯熱マラリア7例は全て治癒した。治癒率は従来の報告より低かったが、体重過多の1例が含まれており体重に応じた投与量設定の必要性が示唆された。副作用は51例中10例で報告された。内容は、消化器症状4例、肝障害3例、遅発性溶血性貧血が3例であった。遅発性溶血性貧血は全て重症熱帯熱マラリアで、赤血球感染率が高い症例であった。アーテメター・ルメファントリン合剤の必要性は高く、国内承認されて治療選択肢が増えることは、わが国のマラリア診療レベル向上につながると考えられる。
アーテメター・ルメファントリン合剤の品質評価では、含量の少ないアーテメーターの剤内での分布が不均質となる傾向が確認された。マラリアの迅速診断キットMalaria Antigen P.fがマラリア疑い83例に使用され、感度、特異度ともに100%であった。迅速診断キットの使用は熱帯熱マラリアによる死亡例の減少に貢献するであろう。
寄生虫症の血清疫学では動物由来回虫類感染症と肺吸虫症が多数みられ、動物由来回虫症の多くはトキソカラ症(イヌ回虫症またはネコ回虫症)と考えられた。症例の分析により、肺吸虫症は日本人では50代~70代の男性に多く外国人では30 代と40代の女性が多数を占めるという特徴が明らかとなった。動物由来回虫類感染症は欧米と異なり、わが国では成人男性に多い病気であることがはっきりした。
4類感染症に指定されている包虫症のうち、主に単包虫症について免疫血清検査と画像検査の有用性と限界、初期病変に対するアルベンダゾールの治療効果を検討した。その結果、単包虫症では超音波検査とウエスタンブロッティングの併用で一次スクリーニングが可能であり、アルベンダゾールによる早期治療で治癒することが分かった。新規住血吸虫駆虫薬候補のN-89/N-251に抗トリパノソーマ効果が確認された。
結論
国内未承認薬による熱帯病・寄生虫症の治療、エボラ出血熱診療体制の整備、寄生虫症の発生動向の把握、迅速診断キットの使用、新規治療薬開発のための基礎研究を推進し、わが国における輸入熱帯病・寄生虫症の診断治療体制を整備することができた。
公開日・更新日
公開日
2015-06-01
更新日
-