咽喉頭癌に対する経口的ロボット支援手術の安全性・有効性に関する多施設臨床試験

文献情報

文献番号
201409037A
報告書区分
総括
研究課題名
咽喉頭癌に対する経口的ロボット支援手術の安全性・有効性に関する多施設臨床試験
研究課題名(英字)
-
課題番号
H25-医療技術-一般-009
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
伊藤 壽一(京都大学大学院医学研究科 耳鼻咽喉科・頭頸部外科)
研究分担者(所属機関)
  • 楯谷 一郎(京都大学大学院医学研究科 耳鼻咽喉科・頭頸部外科)
  • 平野  滋(京都大学大学院医学研究科 耳鼻咽喉科・頭頸部外科)
  • 北村 守正(京都大学大学院医学研究科 耳鼻咽喉科・頭頸部外科)
  • 坂本 達則(京都大学大学院医学研究科 耳鼻咽喉科・頭頸部外科)
  • 岸本  曜(京都大学大学院医学研究科 耳鼻咽喉科・頭頸部外科)
  • 石川 征司(京都大学大学院医学研究科 耳鼻咽喉科・頭頸部外科)
  • 村山 敏典(金沢大学附属病院 臨床開発システム構築学)
  • 鈴木  衞(東京医科大学 耳鼻咽喉科)
  • 伊藤 博之(東京医科大学 耳鼻咽喉科)
  • 清水  顕(東京医科大学 耳鼻咽喉科)
  • 北野 博也(鳥取大学 耳鼻咽喉・頭頸部外科)
  • 藤原 和典(鳥取大学 耳鼻咽喉・頭頸部外科)
  • 福原 隆宏(鳥取大学 耳鼻咽喉・頭頸部外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 【補助金】 医療技術実用化総合研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
39,200,000円
研究者交替、所属機関変更
平成26年年度に村山敏典分担研究者が京都大学大学院医学研究科より金沢大学附属病院 臨床開発システム構築学へ所属変更した。

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、咽喉頭癌に対する経口的ロボット支援手術(TORS)の多施設共同臨床試験を実施し、薬事における適応拡大申請を行うことにある。咽喉頭癌に対しては嚥下・発声機能の温存を目的に従来より(化学)放射線療法が広く行われているが、照射によって嚥下機能が高度に低下し、長期の胃瘻を必要とする患者も少なくない。一方で1990年頃よりレーザーを用いた経口的切除術の良好な成績が海外で報告されていたが、技術的に困難などの問題により普及には至らなかった。TORSは従来では困難であった低侵襲の経口的切除を広い視野の下で安全に行う術式であり、放射線治療に比べ良好な局所制御、術後嚥下機能が報告されている。画期的な技術であり本邦の咽喉頭癌治療を大きく変えることが期待される。
研究方法
1. 先行付随研究の実施
平成25年10月1日に施行した厚生労働省医政局との面談において、本研究の申請手続き期間中に同一プロトコルの先行付随研究を行うことを助言された。それに従い京都大学において先行付随研究を実施し、本術式の安全性を確認する。

2. 先進医療Bの申請
昨年度において多施設臨床試験の体制を構築し、またPMDAとの対面助言を経て多施設臨床試験プロトコルを作成した。京都大学より先進医療B申請を行い、承認され次第鳥取大学、東京医科大学を実施協力施設として追加申請する。
京都大学臨床研究総合センターとの協議により多施設臨床試験のプロトコルを作成する。
結果と考察
1. 先行付随研究の実施
平成26年度末までに5例の経口的ロボット支援手術を実施した。対象は全て中咽頭癌であり、亜部位としては舌根原発が3例、口蓋扁桃原発が1例、軟口蓋原発が1例であった。T分類としてはT1症例が2例、T2症例が1例、Tis症例が2例であり、頸部リンパ節転移を認めた症例はなかった。ロボット操作に関わる手術時間(ドッキング時間)は1例目は156分であったが、その後症例を重ねるごとに149分、144分、129分、101分と短縮していった。術後経過は良好で全例において重篤な合併症を認めず、術後2週間以内に経口摂取が可能となった。病理断端は水平断端はいずれも陰性、垂直断端は1例で陽性であり、追加切除を行った。本術式の施行に際し、ドッキング前に上部消化管内視鏡を挿入してnarrow band imaging(NBI)法により病変の水平方向の進展範囲を評価した。本手術での切除範囲決定においてNBI法の併用は非常に有用であり、国際誌にその知見を論文として投稿し受理された。経口的ロボット支援手術においてNBI法併用の有用性を示す世界で最初の報告であり、大きな注目を集めている。
2. 先進医療Bの申請
平成26年7月に京都大学より先進医療B申請を行った。8月の技術審査部会では継続審議との判断であったが、委員からの指摘に対応してプロトコールを修正した。主な修正点としては胃管・胃瘻利用割合を副次エンドポイントから主要エンドポイントに変更した点である。11月に条件付き適、平成27年1月の本会議において先進医療Bとして承認を得た。直ちに鳥取大学、東京医科大学を協力医療機関として追加申請を行った。
結論
先行付随研究5例を行い、実施データを重ねると同時に本術式の安全性を確認した。また本術式実施におけるNBI併用の有用性が世界で初めて示された。3大学での先進医療Bの実施体制が整った。全20例中5例はすでに実施済みであり、計画は順調に進んでいる。

公開日・更新日

公開日
2015-06-12
更新日
-

収支報告書

文献番号
201409037Z