文献情報
文献番号
201409027A
報告書区分
総括
研究課題名
重症低血糖発作を合併するインスリン依存性糖尿病に対する脳死および心停止ドナーからの膵島移植
研究課題名(英字)
-
課題番号
H24-被災地域-指定-012
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
後藤 満一(公立大学法人福島県立医科大学 臓器再生外科学講座)
研究分担者(所属機関)
- 丸山 通広(国立病院機構千葉東病院 臨床研究センター)
- 上本 伸二(京都大学大学院医学研究科 外科)
- 山口 拓洋(東北大学大学院医学系研究科 医学統計学分野)
- 後藤 昌史(東北大学未来科学技術共同研究センター)
- 安波 洋一(福岡大学医学部 再生・移植医学)
- 伊藤 壽記(大阪大学大学院医学系研究科 生体機能補完医学)
- 剣持 敬(藤田保健衛生大学医学部 臓器移植科)
- 穴澤 貴行(公立大学法人福島県立医科大学 臓器再生外科学講座 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 【補助金】 医療技術実用化総合研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
33,725,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は、脳死または心停止後に提供された膵臓から分離された膵島組織をインスリン依存状態糖尿病患者に移植する膵島移植療法において、移植片に対する免疫反応を制御する新規免疫抑制療法の臨床効果及び安全性を評価する臨床試験の実施を目的とする。欧米で第Ⅲ相試験が行われているプロトコールを参考に、導入時に抗胸腺細胞グロブリンと完全ヒト型可溶性TNFα/LTαレセプター製剤を用い、維持療法にはカルシニューリン阻害剤とミコフェノール酸モフェチルを用いるプロトコールを採用し、多施設共同臨床試験として先進医療Bの承認のもとに実施する。
研究方法
血糖不安定性を持つ重症インスリン依存状態糖尿病に対して、新規免疫抑制療法による膵島移植を複数回(3 回まで)実施する。初回移植では導入時に抗胸腺細胞グロブリン(二回目以降はバシリキシマブ)、維持にタクロリムス(またはグラセプター)あるいはネオーラル、およびミコフェノール酸モフェチルを用いる。各回導入時には抗TNFα抗体も投与する。また、腎移植後の膵島移植例では維持療法は変更せず、導入療法のみを追加する。多施設共同臨床試験として先進医療Bの承認のもとに実施しているが、膵島移植の可能性のあるドナー情報が減少していることから、当初の予定期間内での臨床試験完遂は困難と判断し、試験期間を2年延長し、平成23年2月21日から平成31年5月20日までとすることで試験完遂を目指す方針とした。
結果と考察
これまで100例を超える膵島移植待機患者に対して、臨床試験参加希望者を募り、適格と推測できる症例に対して、約1ヶ月の糖尿病の治療経過とともに、入院を必要とする詳細な登録前検査を実施し、十数名の一次症例登録が完了し移植待機の状態となっている。平成25年度末までには7件の膵島分離、4例の膵島移植を行った。平成26年度は、想定よりドナー情報数、膵島提供数が少なく、2件の膵島分離を実施し、うち1件の膵島移植を実施するにとどまった。これまで膵島移植を実施した患者に対しては、臨床試験プロトコールにそって移植後の免疫抑制療法を中心とした治療及び経過観察が続けられており、その臨床経過を症例報告書に記載し、モニタリングを受けた後データセンターに提出され、質の高いデータ管理がなされている。
本研究の実施により膵島移植に対する免疫抑制剤を薬事法上の承認申請に繋げるための科学的に評価可能なデータが収集され、膵β細胞不全であるインスリン依存状態糖尿病に対する根治的かつ低侵襲治療法が確立されることが期待される。
また、再生医療等安全性確保法の施行により、膵島移植は第1種再生医療に指定されることとなり、再生医療の範疇での展開も図られることとなった。
本研究の実施により膵島移植に対する免疫抑制剤を薬事法上の承認申請に繋げるための科学的に評価可能なデータが収集され、膵β細胞不全であるインスリン依存状態糖尿病に対する根治的かつ低侵襲治療法が確立されることが期待される。
また、再生医療等安全性確保法の施行により、膵島移植は第1種再生医療に指定されることとなり、再生医療の範疇での展開も図られることとなった。
結論
臨床試験実施途中の段階であるが、先進医療制度のもとで、科学的に評価可能なデータを収集することで、本プロトコールに含まれる免疫抑制剤の安全性及び臨床効果が評価され、将来的な膵島移植における薬事承認申請に繋がることが期待され、膵β細胞不全であるインスリン依存状態糖尿病に対する根治的かつ低侵襲な治療法が確立しうる。膵島移植実施体制については、膵島移植のための膵提供に関するコーディネーション体制を確立するため、関係各所と協議の場を設け、関係各所から本事業への協力を承諾いただき実施体制を構築している。本事業実施前の心停止下の提供だけでなく、脳死下からの提供にも対応が可能な体制が展開された。組織移植である膵島移植と、臓器提供に関わる臓器移植関係機関との連携により、今後新たな協力体制を構築し、より円滑な臓器・組織提供を可能とすることが望まれる。また、再生医療等安全性確保法の施行により、膵島移植は第1種再生医療に指定されることとなり、再生医療の範疇での展開も図られることから、今後の他の再生医療の臨床展開において、一種のモデルケースとなりうる。
公開日・更新日
公開日
2015-06-01
更新日
-