文献情報
文献番号
201409023A
報告書区分
総括
研究課題名
ハイリスク大動脈弁狭窄症患者に対する経カテーテル的大動脈弁植込み術の有用性の評価-日本における大動脈弁狭窄症に対する総括的治療戦略の構築-
研究課題名(英字)
-
課題番号
H23-臨研推-一般-005
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
澤 芳樹(国立大学法人大阪大学 医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
- 中谷 敏(国立大学法人大阪大学 医学系研究科)
- 倉谷 徹(国立大学法人大阪大学 医学系研究科)
- 鳥飼 慶(国立大学法人大阪大学 医学系研究科)
- 溝手 勇(国立大学法人大阪大学 医学系研究科)
- 大門貴志(兵庫医科大学医学部)
- 前田孝一(国立大学法人大阪大学医学部附属病院)
- 阪本朋彦(国立大学法人大阪大学医学部附属病院)
- 四條崇之(国立大学法人大阪大学 医学系研究科)
- 木岡秀隆(国立大学法人大阪大学 医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 【補助金】 医療技術実用化総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
40,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
先進医療を通じ、未だ不明な本邦での経カテーテル的大動脈弁植込み術 (TAVR あるいはTAVI) 手技の安全性および有効性を検討し、本治療の妥当性を評価する。また、主要TAVIデバイス間での比較検討も行う。さらに治験対象外となる透析や重度心不全合併などの超ハイリスクな患者、大動脈弁置換術後の生体弁機能不全患者に対する本手技の臨床成績を蓄積し、TAVI適応範囲の拡大をめざす。
研究方法
平成23-25年度の進捗状況は以下の通りであった。
1. TAVIの実施
2. 術後早期及び中期遠隔期成績の検討
3. 大動脈弁狭窄症患者における大動脈弁弁輪部周囲の形態学的・解剖学的研究
4. TAVIナビゲーションシステムの開発・実践
合計の実施症例数は47症例 (うち慢性透析患者9例) となった。
平成26年度の研究計画は以下の通りであった。
1.先進医療下でのTAVIの実施
適応: 弁尖の硬化性変性に起因する重度大動脈弁狭窄を有する患者。
大動脈弁置換術後の生体弁機能不全患者を含む
平成25年末より先進医療のプロトコル変更を行い、先進医療下でTAVIの実施が可能なのは慢性透析患者に限ることとなった。
予定症例数:プロトコル変更に伴い、76症例に変更となり、実施期間も計8年に延長となった。
本研究では大動脈弁置換術後の生体弁機能不全患者に対するTAVI、またMedtronic CoreValve ReValving Systemを用いたTAVIをの実施も検討している。
2. 術後早期成績の検討
3. 術後中期成績の検討
4. TAVIナビゲーションソフトの開発及び手技の実践
平成27年度以降も前年と同様のプロトコルを予定している。
1. TAVIの実施
2. 術後早期及び中期遠隔期成績の検討
3. 大動脈弁狭窄症患者における大動脈弁弁輪部周囲の形態学的・解剖学的研究
4. TAVIナビゲーションシステムの開発・実践
合計の実施症例数は47症例 (うち慢性透析患者9例) となった。
平成26年度の研究計画は以下の通りであった。
1.先進医療下でのTAVIの実施
適応: 弁尖の硬化性変性に起因する重度大動脈弁狭窄を有する患者。
大動脈弁置換術後の生体弁機能不全患者を含む
平成25年末より先進医療のプロトコル変更を行い、先進医療下でTAVIの実施が可能なのは慢性透析患者に限ることとなった。
予定症例数:プロトコル変更に伴い、76症例に変更となり、実施期間も計8年に延長となった。
本研究では大動脈弁置換術後の生体弁機能不全患者に対するTAVI、またMedtronic CoreValve ReValving Systemを用いたTAVIをの実施も検討している。
2. 術後早期成績の検討
3. 術後中期成績の検討
4. TAVIナビゲーションソフトの開発及び手技の実践
平成27年度以降も前年と同様のプロトコルを予定している。
結果と考察
サピエンXTの保険償還を受けて、平成26年1月からは慢性透析患者に限っての先進医療へとプロトコルを変更した。対象となる患者の平均年齢は例年より若年化したものの、術前合併症からEuroSCORE、STS scoreをみても対象患者のハイリスク化がすすんだ。体表面積は1.47 cm2と小柄な患者が対象となった。
本年度に先進医療下に施行したTAVI 7症例の手術成績は、手術死亡、在院死亡ともなく、手術死亡率は平成23年度からの累計で3.7%であった。症例数は多くないものの、この死亡率は平均年齢78.6歳、手術リスクがLogistic EuroSCOREで29.6%, STS-PROMで16.1%の慢性透析患者を対象としたものであることを考慮すると、TAVIは良好な術後早期成績を示した。
手技的な面では、本年度より術後弁周囲逆流に対する管理法が変わり、大動脈弁逆流の程度が多くともmild以下でおさまるように努力した。こうしたアプローチによりtrivial 2例、mild 5例で手術を終えた。
本年度の主要術後合併症として、心尖部シース挿入箇所からの大量出血をきたした1例認めた。7例全例が手術室抜管を果たし、術後も自覚症状が改善。心エコーでも大動脈弁口面積、平均圧較差とも有意に改善を認めた。平均在院日数は8.0日で、自宅に独歩他院されており、当該治療は術後早期においてQOLを維持可能な有効な治療法と考えられた。
今回の観察期間中に新たに3名の遠隔死亡があり、うち2例が心臓関連死亡であった。累積生存率は1年 88%、2年以降 84%、心臓関連死亡回避率は1年 94%、2年以降 92%を示した。海外と同程度のハイリスク患者を対象とし、比較的良好な中期・遠隔期成績を示した。
本年度までで計16例の慢性透析患者に対してTAVIを施行した。術前リスクスコはLogistic EuroSCOREで23.9%、STS-PROMで13.2%と高く、冠動脈バイパス術を含む開心術既往が38%にあった。30日内・在院とも死亡症例を認めず、自宅に独歩退院されており、良好な術後早期成績を示した。脳血管合併症を1例 (6.3%) で認めたが、non-disablingであった。中期成績でも術後2年での心関連死亡回避率が92%と良好であった。術後2年でstructural valve deteriorationをきたした症例を1例認めた。
本年度に先進医療下に施行したTAVI 7症例の手術成績は、手術死亡、在院死亡ともなく、手術死亡率は平成23年度からの累計で3.7%であった。症例数は多くないものの、この死亡率は平均年齢78.6歳、手術リスクがLogistic EuroSCOREで29.6%, STS-PROMで16.1%の慢性透析患者を対象としたものであることを考慮すると、TAVIは良好な術後早期成績を示した。
手技的な面では、本年度より術後弁周囲逆流に対する管理法が変わり、大動脈弁逆流の程度が多くともmild以下でおさまるように努力した。こうしたアプローチによりtrivial 2例、mild 5例で手術を終えた。
本年度の主要術後合併症として、心尖部シース挿入箇所からの大量出血をきたした1例認めた。7例全例が手術室抜管を果たし、術後も自覚症状が改善。心エコーでも大動脈弁口面積、平均圧較差とも有意に改善を認めた。平均在院日数は8.0日で、自宅に独歩他院されており、当該治療は術後早期においてQOLを維持可能な有効な治療法と考えられた。
今回の観察期間中に新たに3名の遠隔死亡があり、うち2例が心臓関連死亡であった。累積生存率は1年 88%、2年以降 84%、心臓関連死亡回避率は1年 94%、2年以降 92%を示した。海外と同程度のハイリスク患者を対象とし、比較的良好な中期・遠隔期成績を示した。
本年度までで計16例の慢性透析患者に対してTAVIを施行した。術前リスクスコはLogistic EuroSCOREで23.9%、STS-PROMで13.2%と高く、冠動脈バイパス術を含む開心術既往が38%にあった。30日内・在院とも死亡症例を認めず、自宅に独歩退院されており、良好な術後早期成績を示した。脳血管合併症を1例 (6.3%) で認めたが、non-disablingであった。中期成績でも術後2年での心関連死亡回避率が92%と良好であった。術後2年でstructural valve deteriorationをきたした症例を1例認めた。
結論
平成26年度まで、高度医療評価制度および先進医療を通じ、治験では適応外となる低心機能患者あるいは慢性透析患者を含む計54例の患者にTAVIを施行し、良好な術後早期および中期遠隔期成績を得た。平成25年末のプロトコル変更後、本研究は慢性透析患者を対象としているが、引き続きデータを蓄積し、同患者においても患者の術後QOLを維持し得る有効な治療オプションであることを示せるか、さらなるデータの蓄積の下研究をすすめる方針である。大動脈弁狭窄症合併慢性透析患者のunmet needsをかなえるべく、TAVIの適応拡大も視野に入れていく。
公開日・更新日
公開日
2015-06-01
更新日
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