非扁平上皮非小細胞肺癌に対するペメトレキセドを用いた術後補助化学療法

文献情報

文献番号
201409008A
報告書区分
総括
研究課題名
非扁平上皮非小細胞肺癌に対するペメトレキセドを用いた術後補助化学療法
課題番号
H24-臨研推-一般-009
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
坪井 正博(国立がん研究センター 東病院呼吸器外科)
研究分担者(所属機関)
  • 山本 信之(和歌山県立医科大学 内科学)
  • 瀬戸 貴司(国立病院機構九州がんセンター がん薬物療法・気管支内視鏡治療)
  • 杉尾 賢二(大分大学医学部 呼吸器・乳腺外科)
  • 豊岡 伸一(岡山大学医歯薬学総合研究科臨床遺伝子医療学分野)
  • 伊達 洋至(京都大学医学部附属病院 呼吸器外科)
  • 岡本 勇(九州大学病院 呼吸器科)
  • 坂 英雄(独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター 呼吸器科)
  • 横井 香平(名古屋大学大学院医学研究科)
  • 瀧口 裕一(千葉大学大学院医学研究院 臨床腫瘍学)
  • 岡本 浩明(横浜市立市民病院 呼吸器内科・腫瘍内科)
  • 山中 竹春(独立行政法人国立がん研究センター 生物統計学)
  • 釼持 広知(静岡県立静岡がんセンター 呼吸器内科)
  • 望月 大介(公益財団法人静岡県産業振興財団ファルマバレーセンター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 【補助金】 医療技術実用化総合研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
41,467,000円
研究者交替、所属機関変更
所属機関異動 研究分担者 山中 竹春 国立がん研究センター 生物統計部門( 平成26年4月1日~26年8月31日)→ 横浜市立大学大学院医学研究科 臨床統計学(平成26年9月1日以降)

研究報告書(概要版)

研究目的
完全切除された非扁平上皮非小細胞肺癌に対するペメトレキセド(PEM)+シスプラチン(CDDP) 併用療法の有用性を標準治療であるビノレルビン(VNR)+シスプラチン併用療法とランダム化比較において評価し、術後補助化学療法における標準治療を確立する。PEMは、進行/再発非扁平上皮非小細胞肺癌に対し有用な薬剤であり、本邦で切除不能な進行・再発非小細胞肺癌に保険承認されている。PEMの術後補助療法としての有効性に関するエビデンスはなく、PEMの術後投与は保険適応外である。そこで高度医療評価制度を利用し医療用医薬品製造販売業公正取引協議会承認のもと、日本イーライリリー(株)よりPEMの薬剤提供を受けて本試験を行っている。
研究方法
<研究対象>以下の適格基準を満たす症例を研究対象とする。1) 組織診により確認された非扁平上皮非小細胞肺癌.2) 病理病期Ⅱ期、またはⅢA期 (UICC TNM第7版). 3) EGFR遺伝子変異の結果が判明している.4) 病理学的に完全切除が確認されている.5) 肺葉切除以上の外科切除が行われている.6) ND2a-1以上のリンパ節郭清、または選択的リンパ節郭清が行われている.7) 肺癌に対して、手術以外の前治療歴がない.8) 年齢は20歳以上、75歳以下である.9) Performance status (ECOG) が0、または1である.10) 術後21日以上、56日以内である.11) 主要臓器機能が保たれている.12) 酸素吸入なしの状態 (室内気) で動脈血液ガス (PaO2) ≧70 Torrまたは経皮酸素飽和度 (SpO2) ≧95%.13) 患者本人から文書による同意が得られている<登録方法>データセンター:特定非営利特定活動法人西日本がん研究機構(WJOGデータセンター)へ委託 症例登録:データセンターでの中央登録方式 適格性の確認後、データセンターへ登録し、治療群の割付を行う 割付調整因子:性別 (男/女)、年齢 (70歳未満/70歳以上)、病理病期 (Ⅱ期/ⅢA期)、EGFR遺伝子変異 (有/不明または無)、施設最小化法を用いる<治療>手術から4-10週以内に、以下の化学療法を、3週を1コースとして、4コース施行する A群:VNR+CDDP併用療法 VNR(25mg/m2) をday1,8、CDDP(80mg/m2)をday1に投与 B群:PEM+CDDP併用療法 PEM(500mg/m2) をday1、CDDP(80mg/m2)をday1に投与 ただしプロトコール治療完了後、あるいはプロトコール治療を中止した場合も、再発を認めるまで無治療で観察する。再発後の後治療は特に規定しない。<評価方法>主要エンドポイント:全生存期間 副次エンドポイント:無病生存期間、治療完遂割合、有害事象発生割合
有害事象/有害反応の評価には、「有害事象共通用語規準v4.0日本語訳JCOG版」を用いる。プロトコール治療開始日より36ヶ月間は3ヶ月に1回、3年以降は6ヶ月に1回の診察を行う。胸部CTによる再発の有無の評価は、プロトコール治療開始日より36ヶ月間は6ヶ月に1回、3年以降は1年に1回行う。<年次計画>研究期間:登録5年、追跡期間5年、総研究期間10年【第三年度;平成26年度】症例集積の継続、治療。
結果と考察
平成24年3月から27年3月15日までに計508例の症例集積が得られているが、例集積を継続しており研究結果は得られていない。効果安全性評価委員会の承認を得て、登録期間を平成28年12月末までに延長した。平成27年2月末までに、40例の重篤な有害事象は報告されている。うちグレード3・網膜剥離1例、グレード3・胆嚢炎1例、グレード4・心停止1例については、予期しない有害事象として厚生労働省に報告した。その他、肺血栓塞栓症の有害事象が8例あり、効果安全性評価委員会の審査に従い、説明同意文書の改訂を行った。第3回のモニタリングはH27年1月に行い、効果安全性評価委員会の審査、承認を受けた。平成26年度に監査委員会を設置し研究グループ間相互に直接閲覧による監査を行うシステムを構築し、本年度は2施設の監査を終了した。監査を受けた施設に、改善を求めるような事象はなかった。肺血栓塞栓症は、肺切除後の合併症としても、シスプラチン併用レジメンの副作用としても既知の有害事象であるが、説明同意文書への追記し、参加施設との情報共有ができたことは有意義であった。シスプラチン併用レジメンを用いた術後補助化学療法について、500例を超える症例集積を行っているのは本研究のみであり、今後も有害事象の発生とプロトコール治療の関連については慎重な検討を要す。
結論
平成26年3月15日の時点で508例の登録があり、症例集積を継続している。研究結果は得られていない。

公開日・更新日

公開日
2015-04-22
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2016-05-13
更新日
-

収支報告書

文献番号
201409008Z