文献情報
文献番号
201407028A
報告書区分
総括
研究課題名
次世代型コンパニオン診断薬の創出に向けた橋渡し研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H25-創薬-一般-010
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
西尾 和人(近畿大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
- 土原 一哉(国立がん研究センター 早期・探索臨床研究センター )
- 山中 竹春(横浜市立大学大学院医学研究科 臨床統計学)
- 坂井 和子(近畿大学 医学部)
- 後藤 功一(国立がん研究センター 東病院)
- 中川 和彦(近畿大学 医学部)
- 松本 慎吾(国立がん研究センター 早期・探索臨床研究センター)
- 冨田 秀太(近畿大学 医学部)
- 葉 清隆(国立がん研究センター 東病院)
- 武田 真幸(近畿大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 【補助金】 創薬基盤推進研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
37,498,000円
研究者交替、所属機関変更
所属機関異動
研究分担者:山中 竹春
国立がん研究センター 生物統計学部門(平成26年8月31日まで)→ 横浜市立大学大学院医学研究科 臨床統計学(平成26年9月1日以降)
研究報告書(概要版)
研究目的
次世代型コンパニオン診断薬として、複数の遺伝子異常を同時に測定するテクノロジーを共同開発し、当該企業による薬事承認申請を行うこと。
平成26 年度はLungFusion/LungCartaについては、GMP製造移管、SOP整備を行う。PGM Fusion Panelは、基本性能試験、GMP製造移管を行う。NCCE Panelはfeasibility試験、GMP製造、SOP整備を進めることを目標とした。
平成26 年度はLungFusion/LungCartaについては、GMP製造移管、SOP整備を行う。PGM Fusion Panelは、基本性能試験、GMP製造移管を行う。NCCE Panelはfeasibility試験、GMP製造、SOP整備を進めることを目標とした。
研究方法
シーケノム社(現アジェナ・バイオサイエンス社)によるMassArray を用いたLung Fusion kit およびライフテクノロジーズ社(現サーモフィッシャ―サイエンティフィック社)によるIonPGMを用いたPGM Fusion Panelについて、Feasibility試験終了後、PMDAの助言を受け、基本性能試験、GMPレベルでの製造移管を迅速に実施し、整備を進めた。TFS社によるIonPGMを用いたNCCE Panelについて既承認および臨床開発が進行中の肺腺癌分子標的薬の効果予測に有用な10遺伝子のゲノムDNA断片を特異的に濃縮し、サーモフィッシャ―サイエンティフィック社のIon PGMによる解析が可能なターゲットキャプチャーシステムおよびゲノムDNA上の逆位・転座を自動的に検出する独自のコンピュータープログラムを設計し、肺がん細胞株8株のゲノムDNAを用いて変異検出を行った。
結果と考察
Lung Fusion kit(アジェナ・バイオサイエンス社、近畿大学)、PGM Fusion Panel (サーモフィッシャ―サイエンティフィック社、近畿大学),およびNCCE Panel(サーモフィッシャ―サイエンティフィック社、国立がん研究センター)について、キットデザインの確定と細胞株および臨床検体を用いたfeasibility試験を実施し、いずれのキットも良好な結果を得た。
Lung Fusion kitについては、アジェナ・バイオサイエンス社と近畿大学とが共同研究契約を締結し、PMDAの薬事戦略相談事前面談での助言に基づき、オーストラリアでのfeasibility 試験と連携し、データの取り纏めを行った。また、機器を含むキットの全体の構成を示すこととし、1.診断キットの工程の明確化、2.基本性能試験の実施、3.FDAにおける医療機器申請・承認取得を実施した。
サーモフィッシャ―サイエンティフィック社によるIonPGM を用いたPGM Fusion Panelのfeasibility試験では実臨床レベルのサンプルでの実施成功率は96%と良好であった。海外アカデミアと共同でのfeasibility 試験の結果は、2014年アメリカ癌学会で報告し、この結果を基に、キットデザインの確定、SOPの確定を行った。また企業との共同による基本性能試験、キットのGMP製造移管を行い、サーモフィッシャ―サイエンティフィック社は、PGM Fusion Panelの欧州CE-IVDの承認を得た。また、遺伝子解析装置としてIon PGM Dxの医療機器化を完了した。
NCCE Panelについては、培養細胞株8株のゲノムDNA各250 ngから、RET, ALK, ROS1融合遺伝子、EGFR等7遺伝子の活性型点変異周辺部位を濃縮し、Ion PGM上で解析した。On target rateは60%以上と良好なシークエンス性能を示した。開発した融合遺伝子探索プログラムを併用して変異解析を行い既知の変異を正確に診断できた。(株)理研ジェネシスと共同研究契約を結び、NCCE Panelプロトタイプの基本性能試験を行った。医療機器、体外診断薬の承認の可能性について事前相談に臨み、助言を得た。
「考察」
次世代シークエンス技術IonPGMならびにMassArrayの利用によりMultiplex体細胞変異の診断は充分に実施可能であった。本プロジェクトの進捗に伴い、マルチ診断薬に関する規制上との整合性については、規制当局との綿密な連携により進めていく必要がある。本研究で実施している、feasibility試験の実績は、当該企業における日本での承認申請に対する重要な動機づけとなると考えられる。
Lung Fusion kitについては、アジェナ・バイオサイエンス社と近畿大学とが共同研究契約を締結し、PMDAの薬事戦略相談事前面談での助言に基づき、オーストラリアでのfeasibility 試験と連携し、データの取り纏めを行った。また、機器を含むキットの全体の構成を示すこととし、1.診断キットの工程の明確化、2.基本性能試験の実施、3.FDAにおける医療機器申請・承認取得を実施した。
サーモフィッシャ―サイエンティフィック社によるIonPGM を用いたPGM Fusion Panelのfeasibility試験では実臨床レベルのサンプルでの実施成功率は96%と良好であった。海外アカデミアと共同でのfeasibility 試験の結果は、2014年アメリカ癌学会で報告し、この結果を基に、キットデザインの確定、SOPの確定を行った。また企業との共同による基本性能試験、キットのGMP製造移管を行い、サーモフィッシャ―サイエンティフィック社は、PGM Fusion Panelの欧州CE-IVDの承認を得た。また、遺伝子解析装置としてIon PGM Dxの医療機器化を完了した。
NCCE Panelについては、培養細胞株8株のゲノムDNA各250 ngから、RET, ALK, ROS1融合遺伝子、EGFR等7遺伝子の活性型点変異周辺部位を濃縮し、Ion PGM上で解析した。On target rateは60%以上と良好なシークエンス性能を示した。開発した融合遺伝子探索プログラムを併用して変異解析を行い既知の変異を正確に診断できた。(株)理研ジェネシスと共同研究契約を結び、NCCE Panelプロトタイプの基本性能試験を行った。医療機器、体外診断薬の承認の可能性について事前相談に臨み、助言を得た。
「考察」
次世代シークエンス技術IonPGMならびにMassArrayの利用によりMultiplex体細胞変異の診断は充分に実施可能であった。本プロジェクトの進捗に伴い、マルチ診断薬に関する規制上との整合性については、規制当局との綿密な連携により進めていく必要がある。本研究で実施している、feasibility試験の実績は、当該企業における日本での承認申請に対する重要な動機づけとなると考えられる。
結論
3つのマルチ診断薬について、いずれも良好な基本性能試験成績と良好なfeasibility試験結果を得た。申請に当たって、当局との事前相談を実施し、有益な助言を得た。これらを踏まえて、臨床性能試験の実施に向け、準備を継続する。
公開日・更新日
公開日
2015-05-25
更新日
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