文献情報
文献番号
201407026A
報告書区分
総括
研究課題名
ドラッグ・リポジショニングによる視神経脊髄炎(NMO)の治療薬開発に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H25-創薬-一般-004
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
山村 隆(独立行政法人国立精神・神経医療研究センター 神経研究所免疫研究部)
研究分担者(所属機関)
- 三宅幸子(順天堂大学医学部免疫学講座)
- 楠 進(近畿大学医学部・神経内科)
- 佐藤準一(明治薬科大学薬学部生命創薬科学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 【補助金】 創薬基盤推進研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
40,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究の目的は,抗IL-6受容体抗体(Tocilizumab;TCZ)のリポジショニングによる視神経脊髄炎(NMO)およびNMO関連病態(インターフェロン抵抗性多発性硬化症(MS))の治療法の確立であり, TCZレスポンダーを同定するバイオマーカー探索も実施する.
研究方法
国立精神・神経医療研究センター(NCNP)病院および近畿大学でTocilizumab(TCZ)治療を受けているNMO症例(計15例)について, TCZの長期的な有効性と安全性の評価を継続する.
上記15例に対して, 臨床研究開始時点から継続しているフローサイトメーター解析(plasmablast, B細胞、T細胞、NK細胞、foxp3+制御性T細胞の測定;細胞内サイトカイン染色によるTh1/Th2/Th17細胞定量), 血清・髄液サイトカイン・ケモカイン定量, DNAマイクロアレイ解析・RT-PCR, pathway解析を継続する.
プラズマブラスト(PB)が多い点でNMOに類似し、従来の治療に抵抗性を示すMS(PB high MS)に対してTCZを投与し, NMOに対するTCZ投与研究に準じて, 臨床的評価と血液・髄液サンプル解析を実施する.
上記15例に対して, 臨床研究開始時点から継続しているフローサイトメーター解析(plasmablast, B細胞、T細胞、NK細胞、foxp3+制御性T細胞の測定;細胞内サイトカイン染色によるTh1/Th2/Th17細胞定量), 血清・髄液サイトカイン・ケモカイン定量, DNAマイクロアレイ解析・RT-PCR, pathway解析を継続する.
プラズマブラスト(PB)が多い点でNMOに類似し、従来の治療に抵抗性を示すMS(PB high MS)に対してTCZを投与し, NMOに対するTCZ投与研究に準じて, 臨床的評価と血液・髄液サンプル解析を実施する.
結果と考察
NMOに対するTCZ治療は最長で3年以上に達したが, TCZ治療による再発回数の著明な減少, 従来の治療法に反応しない難治性疼痛や疲労感の軽減が確認された. 脱落例はなく, NMOに対するTCZの臨床的な有用性を示すものと考えた. NMOとNMOSDを比較した場合に, 神経障害度(EDSS)の改善については, NMOにおいてのみ見られる可能性が示唆された.TCZ投与例では, 活性化制御性T細胞や CD56 high NK細胞の増加を認め, TCZの作用機序の一部を説明できるものと考えた.
従来の治療に抵抗する難治MS症例5例でTCZ治療を開始した. うち3例では臨床効果が確認され, バイオマーカーの変化と治療効果の関連が推測された.
従来の治療に抵抗する難治MS症例5例でTCZ治療を開始した. うち3例では臨床効果が確認され, バイオマーカーの変化と治療効果の関連が推測された.
結論
IL-6シグナル阻害療法は, 難治性NMOに対する決定的な治療法になる可能性が高く, MSの一部についても有用な治療法となる可能性がある.
公開日・更新日
公開日
2015-06-01
更新日
-