医薬品開発時の有効性評価に有用なサロゲートバイオマーカーの開発-虚血性心疾患イベントのサロゲートマーカーの実現-

文献情報

文献番号
201407022A
報告書区分
総括
研究課題名
医薬品開発時の有効性評価に有用なサロゲートバイオマーカーの開発-虚血性心疾患イベントのサロゲートマーカーの実現-
課題番号
H24-バイオ-一般-004
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
相澤 健一(自治医科大学医学部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 【補助金】 創薬基盤推進研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
研究代表者交替情報 東京大学大学院医学系研究科 特任准教授 鈴木 亨(4月1日~7月30日) ↓ 東京大学大学院医学系研究科 特任助教 相澤 健一(7月30日~) 所属機関変更情報 東京大学大学院医学系研究科 特任助教 相澤 健一(7月30日~10月1日) ↓ 自治医科大学医学部 准教授 相澤 健一(10月1日~)

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究では虚血性心疾患イベントのサロゲートマーカーの開発を目指す。循環器疾患の臨床試験は近年の大規模臨床試験の時代を先導してきたが、代表的なイベントである虚血性心疾患は発症率が低いため、有意な結果を得るために必要な症例数並びに追跡期間が大規模化していることが問題となっている。このため、長期間に及ぶイベント発症の追跡調査に代わり短期間に容易に病態変化を反映するバイオマーカー、すなわちサロゲートマーカーの開発が喫緊の課題である。
 我々は、虚血性心疾患の発症および悪化を反映する世界で初めてとなるバイオマーカーを最近開発し、特許も出願済である。血液試料から虚血性心疾患患者に特異的な心血管系特異的ペプチドの変化を質量分析計で分析する革新的なものである。既に初期検討にて、心臓カテーテル治療後に生じる再狭窄を感度100%で除外診断可能な性能を有すことを検証済みであり、心臓カテーテル検査に代替する検査法として期待されている。重要なことは、現在の狭窄のみならず将来の狭窄を生じる可能性(予測)についても感度100%で除外診断可能な点である。現在、先進医療申請に向けて測定法の最適化(前処理、検出法等)も実施中である。
研究方法
 本研究では、我々が開発したバイオマーカーを虚血性心疾患イベントのサロゲートマーカーとして応用すべく、その実現可能性を検討する。研究期間3年間に東京大学医学部附属病院で実施中の次の3つの冠動脈疾患に対する大規模臨床試験([1]動脈硬化生理検査としての血流依存性血管拡張反応検査(FMD法)の有用性検討、[2]薬物介入としての脂質異常治療薬の有効性検討、[3]糖尿病治療薬の有効性検討)、さらに、東京大学医学部附属病院循環器内科入院患者の検体分析と診療情報を利用する。
結果と考察
 研究3年目(平成26年度)は動脈硬化生理検査の有用性検討のための臨床試験に加えて、脂質異常治療薬の有効性検討のための臨床試験、糖尿病治療薬の有効性検討のための臨床試験の検体の全国各施設からの収集と分析、さらに、東京大学医学部附属病院循環器内科入院患者の検体分析と診療情報によるイベント解析を実施した。また、本バイオマーカー検出の感度向上のため、改良型機種(LCMS-8050)を導入した。分析条件を改善した結果、健常者の感度(3pg/mL程度を検出)まで検出可能となった。
結論
 本研究により得られた成果は医薬品開発時の治験、臨床研究における有効性評価のためのサロゲートマーカー、薬剤内服時の効果判定として活用可能なコンパニオンバイオマーカー開発につながるものと期待される。

公開日・更新日

公開日
2015-06-12
更新日
-

研究報告書(PDF)

文献情報

文献番号
201407022B
報告書区分
総合
研究課題名
医薬品開発時の有効性評価に有用なサロゲートバイオマーカーの開発-虚血性心疾患イベントのサロゲートマーカーの実現-
課題番号
H24-バイオ-一般-004
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
相澤 健一(自治医科大学医学部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 【補助金】 創薬基盤推進研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究者交替、所属機関変更
研究代表者交替情報 東京大学大学院医学系研究科 特任准教授 鈴木 亨(4月1日~7月30日) ↓ 東京大学大学院医学系研究科 特任助教 相澤 健一(7月30日~) 所属機関変更情報 東京大学大学院医学系研究科 特任助教 相澤 健一(7月30日~10月1日) ↓ 自治医科大学医学部 准教授 相澤 健一(10月1日~)

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究では虚血性心疾患イベントのサロゲートマーカーの開発を目指す。循環器疾患の臨床試験は近年の大規模臨床試験の時代を先導してきたが、代表的なイベントである虚血性心疾患は発症率が低いため、有意な結果を得るために必要な症例数並びに追跡期間が大規模化していることが問題となっている。このため、長期間に及ぶイベント発症の追跡調査に代わり短期間に容易に病態変化を反映するバイオマーカー、すなわちサロゲートマーカーの開発が喫緊の課題である。
 我々は、虚血性心疾患の発症および悪化を反映する世界で初めてとなるバイオマーカーを最近開発し、特許も出願済である。血液試料から虚血性心疾患患者に特異的な心血管系特異的ペプチドの変化を質量分析計で分析する革新的なものである。既に初期検討にて、心臓カテーテル治療後に生じる再狭窄を感度100%で除外診断可能な性能を有すことを検証済みであり、心臓カテーテル検査に代替する検査法として期待されている。重要なことは、現在の狭窄のみならず将来の狭窄を生じる可能性(予測)についても感度100%で除外診断可能な点である。現在、先進医療申請に向けて測定法の最適化(前処理、検出法等)も実施中である。
研究方法
 本研究では、我々が開発したバイオマーカーを虚血性心疾患イベントのサロゲートマーカーとして応用すべく、その実現可能性を検討する。研究期間3年間に東京大学医学部附属病院で実施中の次の3つの冠動脈疾患に対する大規模臨床試験([1]動脈硬化生理検査としての血流依存性血管拡張反応検査(FMD法)の有用性検討、[2]薬物介入としての脂質異常治療薬の有効性検討、[3]糖尿病治療薬の有効性検討)、さらに、東京大学医学部附属病院循環器内科入院患者の検体分析と診療情報を利用する。
結果と考察
 動脈硬化生理検査の有用性検討のための臨床試験に加えて、脂質異常治療薬の有効性検討のための臨床試験、糖尿病治療薬の有効性検討のための臨床試験の検体の全国各施設からの収集と分析、さらに、東京大学医学部附属病院循環器内科入院患者の検体分析と診療情報によるイベント解析を実施した。本バイオマーカーとイベントの有無との相関を検討した。その結果、動脈硬化生理検査の有用性検討の臨床試験結果と同様に、カットオフ値を決めることにより、このマーカーが「除外診断マーカー」として有用である可能性を示すデータを得た。また、本バイオマーカー検出の感度向上のため、改良型機種(LCMS-8050)を導入した。分析条件を改善した結果、健常者の感度(3pg/mL程度を検出)まで検出可能となった。
結論
 本研究により得られた成果は医薬品開発時の治験、臨床研究における有効性評価のためのサロゲートマーカー、薬剤内服時の効果判定として活用可能なコンパニオンバイオマーカー開発につながるものと期待される。

公開日・更新日

公開日
2015-06-12
更新日
-

研究報告書(PDF)

行政効果報告

文献番号
201407022C

成果

専門的・学術的観点からの成果
本研究では虚血性心疾患イベントのサロゲートマーカーの開発を行った。分析手法および診断性能ないし初期検討結果の研究成果については論文化し、平成25年5月13日にクリニカル・ケミストリー電子版に発表した。大規模臨床試験で収集された検体の分析およびイベントとの相関解析により、本バイオマーカーが心血管イベント発症の除外診断マーカーとして有用であることを明らかにした。また、最新の液体クロマトグラフ質量分析計(島津、LCMS-8050)を導入し、健常者のレベル(3pg/mL程度)まで検出感度を向上した。
臨床的観点からの成果
大規模臨床試験で収集された検体の分析並びに、液体クロマトグラフ質量分析計を用いて測定法の最適化(感度向上)を行い、期待通りの成果を得た。虚血性心疾患イベント発症のサロゲートマーカーとして用いれば、長期間のイベント発症の追跡に代用可能であり、大規模臨床試験期間の短縮および費用の削減のみならず、医薬品開発時のスクリーニングにも応用可能となる。実用化に向けて先進医療に向けた厚生労働省保険局並びにPMDAの事前面談も平行して実施し、東京大学医学部附属病院において自主臨床試験を計画・実施した。
ガイドライン等の開発
該当なし。
その他行政的観点からの成果
該当なし。
その他のインパクト
我々が開発し、本研究に用いた分析手法および診断性能ないし初期臨床検討結果の研究成果については論文化し、2013年5月13日にクリニカル・ケミストリー電子版に発表し、同年5月16日に東京大学医学部附属病院・株式会社島津製作所から共同プレス発表した。2013年5月22日付日経産業新聞、2013年5月17日付日刊工業新聞等、マスコミにも取り上げられ、質量分析業界、医薬業界および患者から注目を集めた。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
29件
平成28年度1件
その他論文(和文)
7件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
15件
学会発表(国際学会等)
8件
その他成果(特許の出願)
2件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

特許の名称
血液試料を用いて心筋虚血状態を評価する方法
詳細情報
分類:
特許番号: PCT/JP2008/65444
発明者名: 鈴木亨、藤本宏隆
権利者名: 鈴木亨、藤本宏隆
出願年月日: 20080828
国内外の別: 国際出願
特許の名称
心疾患診断マーカー
詳細情報
分類:
特許番号: 2011-175982
発明者名: 鈴木亨、日本電気株式会社 宮崎賢司 他
権利者名: 鈴木亨、日本電気株式会社 宮崎賢司 他、
出願年月日: 20110811

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Fujimoto H, Suzuki T, Aizawa K, et al.
Processed B-Type Natriuretic Peptide Is a Biomarker of Postinterventional Restenosis in Ischemic Heart Disease.
Clin Chem. , 59 , 1330-1337  (2013)
原著論文2
Suzuki T, Israr MZ, Heaney LM, et al.
Prognostic Role of Molecular Forms of B-Type Natriuretic Peptide in Acute Heart Failure
Clin Chem. , 63 , 880-886  (2017)

公開日・更新日

公開日
2015-06-16
更新日
2019-06-10

収支報告書

文献番号
201407022Z