次世代インテリジェント型ナノカプセルによる診断・治療システム

文献情報

文献番号
201407009A
報告書区分
総括
研究課題名
次世代インテリジェント型ナノカプセルによる診断・治療システム
課題番号
H23-政策探索-一般-010
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
橋爪 誠(九州大学 先端医療イノベーションセンター)
研究分担者(所属機関)
  • 村田 正治(九州大学先端融合医療レドックスナビ研究拠点)
  • 片山 佳樹(九州大学 大学院工学研究院)
  • 富川 盛雅(九州大学病院 先端医工学診療部)
  • 井原 敏博(熊本大学 大学院自然科学研究科複合新領域科学専攻)
  • 大内田 研宙(九州大学病院 第一外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 【補助金】 創薬基盤推進研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
24,225,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 我々はウイルスカプシドを模したタンパク質ナノカプセルを構築し、薬物送達システム(DDS)や分子イメージング材料としての応用を目指している。本年度は実施計画書にしたがって、①ナノカプセルの標的化(肝実質細胞、肝癌細胞、膵細胞)、②ナノカプセルへの抗癌剤の内包条件の検討、さらに③ナノカプセル型MRI造影剤の開発、の三つのテーマに重点をおいて研究を実施した。
研究方法
昨年度に引き続いて膵がん等多くの癌細胞で高発現していることが知られているNeuropilin-1を分子標的化したナノカプセルの機能化を実施した。本年度はもっとも効率の高かったL30-iRGDナノカプセルを用いて、その取り込みの機序と特異性を評価した。さらにタンパク質ナノカプセルの内孔に配向しているヘリックスを改変したナノカプセル型MRI造影剤の物性評価と指向性の制御を実施した。
結果と考察
フローサイトメーターを使ってナノカプセルの細胞特異性を評価した結果、L30-iRGDナノカプセルは二つのヒト膵がん由来細胞株(AsPC-1、Suit-2)に効率的に取り込まれていることが示された。anti-human neuropilin-1抗体を使った免疫染色でAsPC-1とSuit-2はポジティブであること、また合成iRGDペプチドの添加によって取り込みが抑制されたことを勘案すると、これらの膵がん細胞によるL30-iRGDナノカプセルの取り込みは、neuropilin-1を分子標的とする特異的な取り込みであることが示唆された。
 またN末端ヘリックスのリピート体をクローニングしたところ、リピート数と共に増大し、1~4リピート体の平均粒径はそれぞれ、16.8、19.5、30.1そして37.1nmであった。内孔にMRI造影剤Gd-DTPAを固定化したところ、粒径の増大とともにMRI造影能も向上することが分かった。
結論
ナノカプセルの外表面にアンテナ分子を組み込むことで、特定の細胞膜表面レセプターに対する分子標的能を付与することが可能となった。またカプセルの内孔を制御することでその粒径を制御し、MRIの造影感度を向上させることもできた。これらを組み合わせることにより、分子標的能をもった高感度MRI造影剤の開発が可能となる。

公開日・更新日

公開日
2015-06-23
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201407009Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
31,492,000円
(2)補助金確定額
31,492,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 15,889,900円
人件費・謝金 7,675,484円
旅費 245,580円
その他 414,036円
間接経費 7,267,000円
合計 31,492,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2016-01-28
更新日
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