文献情報
文献番号
201406032A
報告書区分
総括
研究課題名
外来因子フリー難病由来iPS細胞のライブラリー構築とそれを使った疾患モデルと薬剤開発
研究課題名(英字)
-
課題番号
H25-実用化(再生)-指定-020
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
江良 択実(熊本大学 発生医学研究所)
研究分担者(所属機関)
- 粂 昭苑(熊本大学 発生医学研究所)
- 西中村 隆一(熊本大学 発生医学研究所)
- 中尾 光善(熊本大学 発生医学研究所)
- 入江 徹美(熊本大学大学院 生命科学研究部)
- 篠原 康郎(北海道大学大学院 先端生命科学研究院)
- 房木 ノエミ(慶應義塾大学 医学部)
- 松本 志郎(熊本大学医学部附属病院)
- 有馬 英俊(熊本大学大学院 生命科学研究部)
- 杉山 大介(九州大学 先端医療イノベーションセンター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 【補助金】 再生医療実用化研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
38,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
iPS細胞は、疾病の標的細胞誘導が可能であり、増幅し長期保存にも耐えられる。したがって、生体試料が限られる難治性疾患(難病)の創薬研究に優れた効果を発揮すると考えられる。iPS細胞を用いて、創薬研究を幅広く展開するためには、多くの疾患由来iPS細胞を有するライブラリーと疾患標的細胞への安定した再現性の高い分化誘導方法を備えた基盤構築が求められる。
本研究の目的は、
1)外来因子フリー難病由来iPS細胞の作製とそのバンク化
2)中・内胚葉系子孫細胞への分化誘導方法の確立とそれを用いた疾患解析と薬剤開発
平成25年度には、難病由来iPS細胞作製を進めると伴に、中胚葉・内胚葉系、特に骨・軟骨、血管内皮、肝、膵、腎細胞の分化誘導法の確立、誘導した細胞の機能評価系の確立、これらの細胞が侵される疾患由来iPS細胞を使ったモデル作製と薬剤開発を行う。
本研究の目的は、
1)外来因子フリー難病由来iPS細胞の作製とそのバンク化
2)中・内胚葉系子孫細胞への分化誘導方法の確立とそれを用いた疾患解析と薬剤開発
平成25年度には、難病由来iPS細胞作製を進めると伴に、中胚葉・内胚葉系、特に骨・軟骨、血管内皮、肝、膵、腎細胞の分化誘導法の確立、誘導した細胞の機能評価系の確立、これらの細胞が侵される疾患由来iPS細胞を使ったモデル作製と薬剤開発を行う。
研究方法
1.難病由来血液細胞、皮膚線維芽細胞の収集と樹立
倫理委員会の承認済である全国の大学病院等から、線維芽細胞、血液細胞の収集を行う。
2.外来因子フリー難病由来iPS細胞の樹立と保存
センダイウイルスベクター(SeV)によって患者由来細胞へ初期因子(Oct3/4, Sox2, KLF4, c-Myc)を一過性に発現させ、iPS細胞を作製する。血液細胞からの場合は、ConAにてリンパ球(T細胞)を5日間刺激後、iPS細胞を誘導する。樹立したiPS細胞については、未分化マーカーの発現をPCR法や免疫染色法にて調べiPS細胞の確認を行う。さらに、三胚葉系細胞への分化を誘導し多能性を確認する。
3.ヒトiPS細胞から血管内皮細胞や肝細胞への分化系と細胞機能評価系の確立
iPS細胞由来の中・内胚葉様細胞から血管内皮細胞や肝細胞を誘導し、機能評価系を確立する。
4.疾患由来iPS細胞を用いた疾患モデル開発
ニーマンピック病C型(NPC)由来iPS細胞を用いて確立した疾患モデルを使い、病態の分子機構を解明すると伴に、治療薬開発を行なう。
倫理委員会の承認済である全国の大学病院等から、線維芽細胞、血液細胞の収集を行う。
2.外来因子フリー難病由来iPS細胞の樹立と保存
センダイウイルスベクター(SeV)によって患者由来細胞へ初期因子(Oct3/4, Sox2, KLF4, c-Myc)を一過性に発現させ、iPS細胞を作製する。血液細胞からの場合は、ConAにてリンパ球(T細胞)を5日間刺激後、iPS細胞を誘導する。樹立したiPS細胞については、未分化マーカーの発現をPCR法や免疫染色法にて調べiPS細胞の確認を行う。さらに、三胚葉系細胞への分化を誘導し多能性を確認する。
3.ヒトiPS細胞から血管内皮細胞や肝細胞への分化系と細胞機能評価系の確立
iPS細胞由来の中・内胚葉様細胞から血管内皮細胞や肝細胞を誘導し、機能評価系を確立する。
4.疾患由来iPS細胞を用いた疾患モデル開発
ニーマンピック病C型(NPC)由来iPS細胞を用いて確立した疾患モデルを使い、病態の分子機構を解明すると伴に、治療薬開発を行なう。
結果と考察
疾患由来iPS細胞を作製する線維芽細胞、血液細胞については、平成26年度(平成26年度4月~平成27年度3月)、線維芽細胞(20症例、12疾患)、血液細胞(19症例、16疾患)合計39症例、細胞株を樹立した。またiPS細胞作製については、計55症例、42疾患から550株あまりの細胞株を樹立した。iPS細胞からの分化誘導方法や誘導後の細胞の機能評価系については、血管内皮細胞の誘導分化をFGF, BMPを用いて行い、CD31+, VE-Cadherin+の血管内皮細胞をFACSを用いて純化・精製することに成功した。アルブミン陽性の肝様細胞を誘導、新たにDNAアレイを用いて網羅的な遺伝子解析を可能にする系を確立した。ニーマンピック病C型 (NPC) は、ライソゾーム内に遊離型コレステロール、糖脂質が蓄積する先天代謝異常症である。幼児期に発症し、肝障害、神経症状のために20歳ぐらいまでに死亡する。現在使われている治療薬ミグルスタットは効果が限定的であり、他に有効な治療薬はない。欧米で治験が進んでいる薬剤、2-Hydroxypropyl-g-Cyclodextrin(HPBCD) は、国内2例での使用経験があるが、2例とも重篤な肺障害(急性呼吸不全)が起こり、全身投与は中止され、使用できる見通しがたっていない。したがって、全身投与可能な、有効性と安全性に優れる薬剤の開発がNPC治療の課題である。新たに確立した薬物スクリーニング系を用いて、2-Hydroxypropyl--Cyclodextrin (HPGCD) がコレステロールの蓄積を減少させることを新しく見出した。さらに、HPGCDはNPCモデルマウスへの皮下投与実験でも、肝障害を著明に改善し、生存期間を有意に延長させたことから、将来の新薬候補と考えられる。
結論
線維芽細胞の収集と樹立、血液細胞の収集は計画を上回るペースで順調に進んでおり、今後もこのペースで進める。内胚葉系細胞から肝様細胞への分化誘導では作成した細胞の網羅的な遺伝子発現解析を可能にするシステムを構築できた。また、血管内皮細胞をiPS細胞から細胞表面マーカーを使って容易に純化・精製する方法を確立した。NPCから作成したiPS細胞の疾患モデルを用いて、新たに2-Hydroxypropyl--Cyclodextrin (HPGCD) が、遊離型コレステロール蓄積、ATPレベルの減少、オートファジーの異常を回復させることを明らかにした。さらにNPCモデルマウスへの投与において肝障害の改善と生存期間の延長が見られたことはHPGCDがNPCの治療薬として有用であるの可能性を示唆している。
公開日・更新日
公開日
2015-05-25
更新日
-