iPS細胞を活用した血液・免疫系難病に対する革新的治療薬の開発

文献情報

文献番号
201406030A
報告書区分
総括
研究課題名
iPS細胞を活用した血液・免疫系難病に対する革新的治療薬の開発
研究課題名(英字)
-
課題番号
H25-実用化(再生)-指定-018
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
谷 憲三朗(国立大学法人九州大学 生体防御医学研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 原 寿郎(国立大学法人九州大学大学院医学研究院)
  • 杉山 大介(国立大学法人九州大学先端医療イノベーションセンター)
  • 菅野 仁(学校法人東京女子医科大学医学部)
  • 花岡 伸佳(公立大学法人和歌山県立医科大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 【補助金】 再生医療実用化研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
35,264,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 我々は研究期間内(平成26年度から平成29年度)に、倫理委員会承認取得後各種難病患者iPS細胞樹立を開始し、それらを対象に、文部科学省・最先端研究基盤事業「化合物ライブラリーを活用した創薬等最先端研究・教育基盤の整備」等を活用し、各疾患治療薬候補物質を選定する。具体的には1. 細胞分化障害又は細胞死が誘導されやすいことが病態である遺伝性および後天性血液・免疫疾患を対象とした創薬研究を実施する。2. X染色体不活化異常によるX連鎖性無ガンマグロブリン血症(XLA)、Wiskott-Aldrich症候群(WAS)女性患者を同定し、iPS細胞を用いてX染色体不活化を定量し、不活化を解除されたiPS細胞の治療への応用、X染色体不活化異常のメカニズムの解明に向け網羅的解析を行い、X染色体不活化解除薬剤を選定する。これらは現在の最先端医学を駆使した研究内容であり、極めて独創性と社会への貢献度の高い研究である。
 平成26年度は、患者由来組織の採取、疾患特異的iPS細胞の樹立、iPS細胞よりの血液細胞分化誘導法の確立、および種々の血液・免疫系難病について創薬スクリーニングへ応用可能な生化学・生物学的な新規病態解析手法の確立等に取り組んだ。
研究方法
 谷らは、平成25年度に作成した手順書に従い、研究分担者と連携して種々の血液・免疫系疾患特異的iPS細胞を樹立した。得られたiPS細胞の形態、未分化マーカーの発現、3胚葉分化能を評価した。さらに、正常対照iPS細胞を用いて各血球系列への分化誘導を行った。原らは、自己炎症性疾患特異的iPS細胞の血管内皮細胞への分化能を検討した。さらに、谷・原らは樹立したiPS細胞のX染色体活性化状態を評価する技術を開発した。杉山らは、サラセミア患者検体使用に向けて検体受け入れ体制を整備した。また、質量分析装置を応用してグロビン蛋白質を解析する技術の開発を試みた。さらに、ヒト細胞を用いてグロビン蛋白質の解析に有効なペプチドをスクリーニングした。菅野らは、遺伝性有口赤血球症(Dehydrated Stomatocytosis)の一例、先天性赤血球異形成貧血(CDA)の一例についてゲノムシークエンス解析により遺伝子変異を探索した。花岡らは、発作性夜間ヘモグロビン尿症 (PNH)患者血漿中の遊離型UL16-binding proteins(ULBPs)の検出を試みた。
結果と考察
 谷らは、種々の血液・免疫系疾患について患者由来組織を採取し、うち10疾患についてiPS細胞を樹立した。また、正常対照群として健常人由来iPS細胞(7例)も樹立した。得られたiPS細胞は形態、未分化マーカーの発現、3胚葉分化能の点でその特性を維持しており、各血球系列への安定した分化が可能であった。さらに、正常対照iPS細胞を用いて各血球系列への分化誘導系を確立した。この分化誘導系は、血液・免疫系疾患特異的iPS細胞を活用した新規創薬スクリーニング法として期待が持てる。原らは、谷らとともにiPS細胞のX染色体活性化状態を評価する技術の確立を進めている。さらに、自己炎症性疾患特異的iPS細胞が血管内皮細胞に分化誘導可能であることを確認し、本疾患の病態解明および新規治療法開発に有用である可能性を示した。杉山らは、グロビン蛋白質を解析する技術の開発を試みた。さらに、グロビン蛋白質の解析に有効なペプチドを得た。今後本法の応用により、iPS細胞から分化誘導した赤血球の品質解析技術開発への寄与が見込まれる。菅野らは、Dehydrated Stomatocytosisの一例にPIEZO1遺伝子変異を、CDAの一例にKLF1遺伝子変異を同定した。これらの先天性貧血症に関しては現在赤血球輸血以外安全な治療法は無いため、iPS細胞を用いた病態解明および新規治療薬の開発が期待される。花岡らは、PNH患者血漿中の遊離型ULBPsを高率に検出することができた。この結果はNKG2D免疫によるPNH造血障害の発生を示唆する所見であり、NKG2D免疫が治療標的の候補として有力と考えられた。
結論
 平成26年度には、平成25年度に作成した手順書を元に種々の疾患特異的iPS細胞を樹立した。さらに、並行して樹立した正常対照iPS細胞を用いて血液細胞への分化誘導系を確立した。種々の血液・免疫系難病について生化学・生物学的な新規病態解析手法を確立し、それらが病態解析や診断に活用可能であることを明らかにしてきた。これらの研究を通じて得られた成果は、血液・免疫系難病に対する新規治療薬開発のための創薬スクリーニングへ応用できるものと考えられる。

公開日・更新日

公開日
2017-07-04
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2017-07-04
更新日
-

収支報告書

文献番号
201406030Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
45,843,000円
(2)補助金確定額
45,843,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 17,792,344円
人件費・謝金 16,322,876円
旅費 897,550円
その他 251,230円
間接経費 10,579,000円
合計 45,843,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2016-01-28
更新日
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