ヒト幹細胞アーカイブを活用する同種細胞を用いた新規再生医療技術の開発

文献情報

文献番号
201406027A
報告書区分
総括
研究課題名
ヒト幹細胞アーカイブを活用する同種細胞を用いた新規再生医療技術の開発
研究課題名(英字)
-
課題番号
H25-実用化(再生)-指定-015
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
大和 雅之(東京女子医科大学 先端生命医科学研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 岩田 隆紀(東京女子医科大学 先端生命医科学研究所)
  • 金井 信雄(東京女子医科大学 先端生命医科学研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 【補助金】 再生医療実用化研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
14,550,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、平成24年度「iPS細胞等の臨床研究安全基盤整備支援事業」を発展させ、同種細胞を用いた再生医療の実現を目指す。具体的には、すでに自家細胞を用いて作製した細胞シートのヒト臨床研究を本学でおこなってきた食道および歯周組織を対象に、細胞ソースを同種組織に変更するための前臨床研究、および同種細胞の特徴を活かして同種細胞シートの凍結保存に関する研究をおこなう。上記臨床研究では、培養自家細胞シートが極めて有効に食道および歯周組織の再生を促すことが明らかになった。食道はスウェーデンカロリンスカ研究所など国内外でヒト臨床30例が完了している。歯周組織は本学において全10例の臨床研究が完了している。それぞれブタおよびイヌを用いた大動物実験で、細胞ソースを同種に変更しても、移植条件の最適化により、自家に遜色ない組織再生が得られている。同種細胞ソースは大きなバッチが組めるため、凍結可能であれば出荷前に徹底した検査が可能であり、また大きなロットを組むことで、大幅なコスト削減も期待できる。よって、再生医療の普及のためには、同種細胞ソースの検討は極めて重要である。細胞ソースは、食道では健常ドナー由来皮膚由来表皮細胞、後者は健常ドナー抜去歯あるいは脂肪由来間葉系幹細胞を想定している。
研究方法
上皮細胞シートおよび間葉系幹細胞シートの凍結融解や継代培養の条件を確立、さらに動物成分を含まない新規培養法の開発を進める。
結果と考察
【結果】
1. 歯根由来間葉系幹細胞を用いた系
ヒト歯根膜由来間葉系幹細胞を採取し、三回継代時に市販の凍結融解液の血清有り・血清無しの両方にて細胞を凍結した。1ヶ月後と12ヶ月後に融解したところ、両凍結液ならびに短期凍結・長期凍結の四群間の細胞生存率には有意差は見られなかった。また一回~五回継代したサンプルにおいて、その細胞生存率・増殖能・多分化能ならびに出荷時試験を実施したところ、骨芽細胞分化能は1年凍結したものでは高かったが、それ以外の項目では差が見られなかった。また、次世代シークエンサーを用いて両群の網羅的遺伝子解析の結果から細胞の老朽化を反映する候補遺伝子を見出した。大型動物(イヌ)を用いた他家間葉系幹細胞シートの移植に関しては、術後八週間において、著名な副作用は観察されず、有効性・安全性を確認できた。
2. 上皮細胞を用いた系
大型動物(NIBS系ミニブタ)を用いた他家表皮細胞シートの移植において、自家細胞と同様に多数の他家細胞シートを移植することによって食道粘膜の早期再生、炎症の軽減と狭窄防止効果が認められた。また移植後2週間で移植された他家表皮細胞はFISH解析等でほぼ消失しており、安全性が示唆された。ヒト口腔粘膜上皮細胞シートの凍結融解条件の研究では、フィーダーレイヤーと共培養した上皮細胞シートでは、凍結処理後も凍結保存していない細胞シート同様に基底細胞間の結合が維持されている事が確認された。
 無血清培地で上皮細胞シートを作製する研究では、ラット上皮細胞シートの作製においては、無血清培地の条件でも、IL-1RAの添加およびレチノイン酸を添加することにより、血清有の条件と同等に細胞シートの作製に成功した。学内倫理委員会の承認を経て、ボランティアドナー組織由来のヒト細胞における培養条件開発を進めている。
【考察】同種細胞利用の新規再生治療を早期に開始するため、上記の非臨床研究を推進した。今後はこれまでの非臨床研究を進めながら学内倫理委員会、ヒト幹細胞臨床研究を実施するに当たっての審査に必要な各種前臨床データを取得するために以下の研究をおこなう。インフォームド・コンセントを得たドナー由来の組織から単離した細胞をバンク化し、臨床応用に供するための種々の検査をおこなうと共に、取得したデータの解析から、今後どの検査項目が必須であるかを確定する。次にドナー由来細胞から移植に供する細胞シートを作製する条件を確立する。最適化した培養条件で作製した細胞シートのキャラクタライゼーションをおこない、出荷規格を確立する。最後に、臨床用細胞培養用クリーンルーム内でコールドランを数例おこない、申請書類の作成を研究開始から5年以内に完了する。更に得られた知見から上皮細胞並びに間葉系幹細胞の凍結融解法、有効利用法を開示していくとともに、全国の研究者に対して開かれたシステム構築を目指す方策を厚生労働省と相談を進めていく。
結論
これまで本学での開発した「自己培養間葉系幹細胞シートによる歯周再生」ならびに「自己培養上皮細胞シートによる食道再生」のヒト臨床研究の経験から、同種細胞利用による新規再生治療を開発するため、ヒト臨床研究で使用した細胞を凍結保存するだけでなく、動物実験ならびにヒト細胞を利用した非臨床研究を更に推進していく。

公開日・更新日

公開日
2016-01-28
更新日
-

収支報告書

文献番号
201406027Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
18,915,000円
(2)補助金確定額
18,915,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 10,289,206円
人件費・謝金 3,686,626円
旅費 0円
その他 574,168円
間接経費 4,365,000円
合計 18,915,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2016-01-28
更新日
-