文献情報
文献番号
201406024A
報告書区分
総括
研究課題名
臨床研究に活用するiPS細胞の安定性・安全性を保持した保存体制の確立
研究課題名(英字)
-
課題番号
H25-実用化(再生)-指定-012
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
江良 択実(熊本大学 発生医学研究所)
研究分担者(所属機関)
- 粂 昭苑(熊本大学 発生医学研究所)
- 斉藤 典子(熊本大学 発生医学研究所)
- 白木 伸明(熊本大学 発生医学研究所)
- 松本 志郎(熊本大学医学部付属病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 【補助金】 再生医療実用化研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
14,550,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
iPS細胞は、すべての体細胞になれる優れた分化能力を持っているが、誘導した細胞の持つ機能や治療効果については未だ不明な部分も多く、加えて、未分化細胞の混入による腫瘍形成の問題も存在する。臨床現場でこれらの問題が起こった時や予期せぬトラブルが生じた場合、用いた細胞と同じロットの細胞を使って、様々な方向からトラブルの原因を検証できる体制の構築は必須である。本研究では、1)臨床に実際用いるiPS細胞を収集・保存し、緊急時にすみやかに細胞を解析できるシステムの構築2)iPS細胞を安定にかつ安全に維持・保存する方法の開発、が研究の目的である。
平成26年度は、臨床研究を開始した理化学研究所より、臨床研究に用いたiPS細胞の提供体制を整えると共にiPS細胞の安全性、特に腫瘍能力についての解析を進める。また、安全性の高い新しいiPS細胞作製用のベクター開発を行う。
平成26年度は、臨床研究を開始した理化学研究所より、臨床研究に用いたiPS細胞の提供体制を整えると共にiPS細胞の安全性、特に腫瘍能力についての解析を進める。また、安全性の高い新しいiPS細胞作製用のベクター開発を行う。
研究方法
1.臨床研究に用いるiPS細胞の収集と保存
臨床研究に使用したiPS細胞の提供体制を整える。
2.iPS細胞の腫瘍化能力に関わる分子の解明
腫瘍形成能力が高いiPS細胞と低いiPS細胞からRNAを抽出し、DNAマイクロアレイを用いて網羅的発現遺伝子解析を行う。
3.安全性が高く効率よくiPS細胞作製用センダイウイルス・ベクターの開発
染色体に取り込まれずに遺伝子発現を行うセンダイウイルス・ベクターを使って、体細胞からiPS細胞の誘導効率を向上させ、樹立早期にウイルス除去を可能とするベクターを開発する。
臨床研究に使用したiPS細胞の提供体制を整える。
2.iPS細胞の腫瘍化能力に関わる分子の解明
腫瘍形成能力が高いiPS細胞と低いiPS細胞からRNAを抽出し、DNAマイクロアレイを用いて網羅的発現遺伝子解析を行う。
3.安全性が高く効率よくiPS細胞作製用センダイウイルス・ベクターの開発
染色体に取り込まれずに遺伝子発現を行うセンダイウイルス・ベクターを使って、体細胞からiPS細胞の誘導効率を向上させ、樹立早期にウイルス除去を可能とするベクターを開発する。
結果と考察
臨床研究に使われたiPS細胞を収集・保存について関係者らと協議を重ねた後、契約書類を作成し双方の合意が成立した。今後すみやかに保存を進める。
2つiPS細胞株で腫瘍化形成能力について解析した。免疫不全マウスにiPS細胞を移植後、約3か月で形成させる腫瘍(奇形腫)の大きさを測定し、大きいほど腫瘍化能力が高いと判断した。その結果、腫瘍能が大きく異なることが判明した。この差に関わる遺伝子を同定するために、DNAマイクロアレイを用いて網羅的な遺伝子発現解析を行った。一方、保存・維持については、保存時の細胞数を検討し、融解時の生存率が最も高くなる条件を確立した。
Sox2、KLF4、Oct3/4の3つの初期化因子をタンデムにつないだセンダイウイルス・ベクターを新たに作成した。
このベクターを使って正常ヒト線維芽細胞からiPS細胞を作製すると4%という高効率で作成することができた。このベクターは温度感受性があるミュータントで38度では増殖できない。そこでコロニーを分離後すぐに培養温度を37度から38度に変更し、5日間培養し、ウイルス除去率を調べた。これまでのベクターではほとんど除去できない場合でも、80%以上の高い割合でウイルスを除去することができた。
2つiPS細胞株で腫瘍化形成能力について解析した。免疫不全マウスにiPS細胞を移植後、約3か月で形成させる腫瘍(奇形腫)の大きさを測定し、大きいほど腫瘍化能力が高いと判断した。その結果、腫瘍能が大きく異なることが判明した。この差に関わる遺伝子を同定するために、DNAマイクロアレイを用いて網羅的な遺伝子発現解析を行った。一方、保存・維持については、保存時の細胞数を検討し、融解時の生存率が最も高くなる条件を確立した。
Sox2、KLF4、Oct3/4の3つの初期化因子をタンデムにつないだセンダイウイルス・ベクターを新たに作成した。
このベクターを使って正常ヒト線維芽細胞からiPS細胞を作製すると4%という高効率で作成することができた。このベクターは温度感受性があるミュータントで38度では増殖できない。そこでコロニーを分離後すぐに培養温度を37度から38度に変更し、5日間培養し、ウイルス除去率を調べた。これまでのベクターではほとんど除去できない場合でも、80%以上の高い割合でウイルスを除去することができた。
結論
臨床研究に用いたiPS細胞を私たちのところへ提供していただくことで合意、今後、すみやかに細胞を提供していただき、保存を行う。腫瘍化能力が違うiPS細胞株の遺伝子発現を網羅的に調べ比較することで腫瘍化に関わる分子の同定を試みた。今後は、候補分子としてピックアップした分子について腫瘍化能との関連について解析を進めて行く予定である。
公開日・更新日
公開日
2015-05-25
更新日
-