iPS細胞を用いた再生医療における組織不適合の解決

文献情報

文献番号
201406015A
報告書区分
総括
研究課題名
iPS細胞を用いた再生医療における組織不適合の解決
課題番号
H25-実用化(再生)-一般-004
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
千住 覚(熊本大学 大学院生命科学研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 福田 恵一(慶應義塾大学 循環器内科)
  • 中面 哲也(国立がん研究センター 腫瘍免疫学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 【補助金】 再生医療実用化研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
43,650,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
iPS細胞を用いた再生医療は、人工的にヒトの細胞あるいは組織を創出できる可能性を有する技術であり、ヒトのiPS細胞から様々な細胞を作製する分化誘導技術があいついで報告されている。iPS細胞を基盤とする再生医療に伴う組織不適合と腫瘍化リスクの問題を解決することが、これらの技術を実用化し医療への応用を進めていくために必要である。患者個別にiPS細胞を樹立し再生医療に用いることを想定すると、iPS細胞樹立と治療用細胞作成に長い期間を必要とし、また、非常に高額の費用が必要となる。また、移植細胞からの癌発生のリスクも懸念される。このような問題を解決し、iPS細胞を用いた再生医療の実用化に資する目的で、HLAハプロタイプホモ接合iPS細胞の治療用細胞バンク(iPS細胞ストック)の構築が進められている。迅速な治療用細胞の提供が可能であることや経済性から、iPS細胞ストック由来のHLA適合アロiPS細胞を使用する方がより現実的であると見られている。本研究は、以上のような、iPS細胞を用いた再生医療の実現化に向けて解決しなければならない問題を解決することを目的としている。
研究方法
ヒトiPS細胞由来のミエロイド細胞において、レンチウイルスベクターによる遺伝子導入により効率的に遺伝子改変を行ないその機能を修飾する手法を検討した。また、iPS細胞に高発現し、かつ、正常な体細胞にはほとんど発現が認められない分子(未分化抗原)に由来し、細胞傷害性T細胞の標的抗原となる抗原の探索を行なった。BIMAS(Bio Informatics and Molecular Analysis)を用いて、CTL(細胞傷害性T細胞)による認識の標的となる未分化抗原由来エピトープペプチドの探索を行った。HLA-A*24:02あるいは02:01に対する結合アフィニティーが高いと予測されるペプチド89種を合成し、これを用いてヒト末梢血単核球を刺激し、あるいは、ヒトHLA遺伝子導入マウスに免疫し、3つのペプチドに対して特異的なCTLの誘導を解析した。TAP欠損マウスES細胞とコントロールであるES細胞(E14)ともにin vitroにおいて従来の心筋分化誘導系であるhanging drop法が応用可能であることを確認した。また、TAPを欠損させた細胞株においても、in vitroの分化系により機能的な心筋細胞の作製を検討した。
結果と考察
ヒトのiPS細胞あるいはヒトiPS細胞由来のミエロイド細胞において、特定の遺伝子を欠失させる手法も確立した。この成果は、今後の、HLA関連遺伝子の遺伝子改変技術を開発していく上で、重要な意味を有する結果であると考えている。TAP欠損マウスES細胞とコントロールであるES細胞の分化誘導を行い、胚葉体を形成することを確認した。これらを浮遊培養の後に接着培養へ切り替え、観察を続けたところ両者ともに拍動する心筋細胞塊の出現を認めた。今後の免疫回避研究に有用な実験系を確立できた。
結論
iPS-MLの医療応用を目指して、GMP(Good Manufacturing Practice)基準に準拠して細胞の分化、増殖、プロセシングを行なうための基本的な条件の検討、情報の収集などを行なう事ができた。GMP基準で製造されている材料のみで細胞を製造するための、細胞分化及び増殖の工程を改良した。また、人体投与可能なiPS-MLを作成するための培養条件について情報を蓄積する事ができた。また、iPS細胞由来の分化細胞を用いた再生医療において懸念される腫瘍形成の問題に対処する目的で、未分化細胞に特異的に高発現するタンパク質を標的抗原とする免疫療法を開発する目的でHLA分子拘束性にT細胞により認識される未分化抗原のエピトープの同定を行なった。

公開日・更新日

公開日
2015-05-27
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201406015Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
56,745,000円
(2)補助金確定額
56,745,120円
差引額 [(1)-(2)]
-120円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 37,091,261円
人件費・謝金 4,778,734円
旅費 325,550円
その他 1,454,575円
間接経費 13,095,000円
合計 56,745,120円

備考

備考
研究に必要な消耗品の購入に際し、補助金では不足が生じたため、自己資金を追加して購入した。このため、補助金確定額が補助金交付額を120円上回ることとなった。

公開日・更新日

公開日
2016-01-28
更新日
-