文献情報
文献番号
201406011A
報告書区分
総括
研究課題名
培養ヒト角膜内皮細胞移植による角膜内皮再生医療の実現化
課題番号
H25-再生-一般-007
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
木下 茂(京都府立医科大学大学院医学研究科 視覚機能再生外科学)
研究分担者(所属機関)
- 上野 盛夫(京都府立医科大学大学院医学研究科 視覚機能再生外科学)
- 羽室 淳爾(京都府立医科大学大学院医学研究科)
- 外園 千恵(京都府立医科大学大学院医学研究科 視覚機能再生外科学)
- 小泉 範子(同志社大学 生命医科学部)
- 奥村 直毅(同志社大学 生命医科学部)
- 川上 浩司(京都大学大学院医学研究科 薬剤疫学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 【補助金】 再生医療実用化研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
63,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究の目的は、水疱性角膜症患者に対する培養ヒト角膜内皮細胞移植の臨床試験を実施し、有効性・安全性・安定性を確認し、最終的に我が国発の新医療技術として定着化させることである。
研究方法
水疱性角膜症患者に対して、ROCK 阻害剤を併用した培養ヒト角膜内皮細胞移植を実施する。局所麻酔下で、角膜内皮剥離用シリコンニードルにてレシピエントの角膜内皮細胞を剥離する。次いで培養ヒト角膜内皮細胞1.0×10^6個をROCK 阻害剤(Y27632)を最終濃度100μMで添加して懸濁液300μLを前房内に注入する。手術終了直後より3時間以上のうつむき姿勢をとる。角膜移植における薬剤投与レジメンに準じて、術後炎症の制御と拒絶反応予防の目的でステロイド剤等を投与する。
平成26-27年度にはヒト幹臨床研究を30例実施する。培養ヒト角膜内皮細胞移植の有効性と安全性の確認に加えて、対象疾患病態の拡大の可能性の評価基準設定と可否の決定、代替治療法との比較実証と課題抽出を行う。ヒト幹追加申請およびPMDA薬事戦略相談を行い、国内の臨床治験開始の可否を決定し、早期製造承認獲得の可能性を評価する。
平成26-27年度にはヒト幹臨床研究を30例実施する。培養ヒト角膜内皮細胞移植の有効性と安全性の確認に加えて、対象疾患病態の拡大の可能性の評価基準設定と可否の決定、代替治療法との比較実証と課題抽出を行う。ヒト幹追加申請およびPMDA薬事戦略相談を行い、国内の臨床治験開始の可否を決定し、早期製造承認獲得の可能性を評価する。
結果と考察
25年度に実施した3例の偵察的臨床研究(1ロットの細胞から1例の対象患者に細胞移植)をヒト幹申請した試験実施計画書に基づいて予定観察期間(6ヶ月間)にわたり詳細に観察し、26年8月に安全性と主要・副次的有用性を確認した。さらに細胞移植技術や移植後臨床評価法の実践的探索など臨床課題を早期に抽出し、科学的妥当性を超える品質上の問題の有無などを確認した。
26年9月に臨床研究を再開し、1ロットの細胞から2例の対象患者に細胞移植を行う臨床研究を8例実施した。27年3月31日現在、ヒト幹申請した試験実施計画書に基づいて観察中である。
平成26年度に実施した8例には最終評価時期(細胞移植後6ヶ月)を満たした症例はまだ無いが、3~5ヶ月間の経過観察期間において有害事象の発生はなく安全性を確認している。有効性に関しても短期成績ではあるが角膜厚の改善及び視力回復を確認している。これらは我々は開発した角膜内皮再生医療をヒトに対して安全に実施出来ること、さらには同再生医療が従来の角膜移植と同等以上の有効性を有していることを示唆している。
26年9月に臨床研究を再開し、1ロットの細胞から2例の対象患者に細胞移植を行う臨床研究を8例実施した。27年3月31日現在、ヒト幹申請した試験実施計画書に基づいて観察中である。
平成26年度に実施した8例には最終評価時期(細胞移植後6ヶ月)を満たした症例はまだ無いが、3~5ヶ月間の経過観察期間において有害事象の発生はなく安全性を確認している。有効性に関しても短期成績ではあるが角膜厚の改善及び視力回復を確認している。これらは我々は開発した角膜内皮再生医療をヒトに対して安全に実施出来ること、さらには同再生医療が従来の角膜移植と同等以上の有効性を有していることを示唆している。
結論
水疱性角膜症患者に対する培養ヒト角膜内皮細胞移植の臨床試験を実施し、有効性・安全性・安定性を確認した。
公開日・更新日
公開日
2016-01-28
更新日
-