文献情報
文献番号
201406008A
報告書区分
総括
研究課題名
関節鏡視下自己骨髄間葉系幹細胞移植による関節軟骨欠損修復-多施設共同、非盲検、ランダム化、並行比較試験
課題番号
H25-再生-一般-003
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
脇谷 滋之(武庫川女子大学 健康・スポーツ科学部)
研究分担者(所属機関)
- 越智 光夫(広島大学大学院医歯薬保健学研究院 整形外科)
- 吉矢 晋一(兵庫医科大学 整形外科)
- 田中 康仁(奈良県立医科大学 整形外科)
- 名井 陽(大阪大学医学部附属病院 未来医療センター)
- 橋本 祐介(大阪市立大学大学院医学研究科 整形外科学)
- 赤木 將男(近畿大学医学部整形外科教室 整形外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 【補助金】 再生医療実用化研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
24,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
関節軟骨が損傷は自然修復が期待できず、放置すると10年から20年の長期の経過で変形性関節症に移行すると考えられる。現在のところ、関節軟骨を完全にかつ確実に修復する方法は確立されていない。本研究の目的は、我が国ではあまり普及していない細胞移植による再生医療を普及させるために、より手術侵襲の少ない方法を開発し、自己骨髄間葉系幹細胞移植による関節軟骨修復法の安全性、有用性を、多施設共同、非盲検、ランダム化、並行比較試験を行うことである。関節鏡視下に、骨髄刺激法と自己骨髄間葉系細胞移植を併用した新たな関節軟骨欠損修復法の長期的安全性と有効性を、標準的治療である骨髄刺激療法単独と比較し、有効性において優れており、安全性において非劣性であると推定可能であるか否かを明らかにする。
研究方法
研究方法の詳細は実施計画書、試験物概要書、製品標準書に記載されている。
初年度であった平成25年度に、上記臨床研究を施行するためにドライランを施行し、細胞の増殖が良好で、簡便な培養方法の開発を計画した。臨床研究を施行するための臨床試験保険加入、臨床報告書(CRF)の作成、コーデイネーターの設定、データ割り付けシステム、データセンターでのデータ管理システムを作成した。
4年計画の2年目であった平成26年度は、実際に臨床研究を開始するため、より簡便で確実に細胞を回収するために培養方法の改良を行い、その変更について倫理審査委員会へ申請し、承認された。この新しい培養方法で、各施設の細胞培養施設(CPC)を活用するためにドライランを施行した。さらに大阪市立大学と兵庫医科大学では、細胞培養を施行する大阪大学までの細胞輸送のドライランを施行した。
多施設共同研究を施行するために、各施設共通の標準手順書、患者割り付け登録、CRF作成、データ登録、モニタリングシステムのドライランを施行した。
平成26年10月16日、第1例目の登録を行い、割り付けシステムで標準治療群に振り分けられ、11月14日に標準治療を施行した。第2例目は11月13日に登録し、細胞治療群に振り分けられたために平成27年2月13日に細胞移植を施行した。これらの2例を含め、平成26年度中に合計7例が登録され、4例が細胞移植群に振り分けられ全例細胞移植手術を施行、3例が標準治療群に振り分けられ2例に標準治療を施行、1例が準備中である。
初年度であった平成25年度に、上記臨床研究を施行するためにドライランを施行し、細胞の増殖が良好で、簡便な培養方法の開発を計画した。臨床研究を施行するための臨床試験保険加入、臨床報告書(CRF)の作成、コーデイネーターの設定、データ割り付けシステム、データセンターでのデータ管理システムを作成した。
4年計画の2年目であった平成26年度は、実際に臨床研究を開始するため、より簡便で確実に細胞を回収するために培養方法の改良を行い、その変更について倫理審査委員会へ申請し、承認された。この新しい培養方法で、各施設の細胞培養施設(CPC)を活用するためにドライランを施行した。さらに大阪市立大学と兵庫医科大学では、細胞培養を施行する大阪大学までの細胞輸送のドライランを施行した。
多施設共同研究を施行するために、各施設共通の標準手順書、患者割り付け登録、CRF作成、データ登録、モニタリングシステムのドライランを施行した。
平成26年10月16日、第1例目の登録を行い、割り付けシステムで標準治療群に振り分けられ、11月14日に標準治療を施行した。第2例目は11月13日に登録し、細胞治療群に振り分けられたために平成27年2月13日に細胞移植を施行した。これらの2例を含め、平成26年度中に合計7例が登録され、4例が細胞移植群に振り分けられ全例細胞移植手術を施行、3例が標準治療群に振り分けられ2例に標準治療を施行、1例が準備中である。
結果と考察
本臨床研究を行うにあたりその準備として以下のことを行った。
1.培養方法の変更.これまでの方法より簡便で確実に細胞を回収するために培養方法の改良を行った。大きな変更点は、①最初の骨髄血の洗浄を省略、②継代培養を省略、③そのために当初から使用するフラスコのサイズを変更、④トリプルセレクトの使用濃度を薄くした。これにより、確実に目標細胞数が得られることを検証し、標準手順書、試験物概要書、製品標準書の変更を行い、についてIRBへ申請し、承認された。
2.臨床研究施行の準備として以下のことを行った。
①CPCは、阪大、奈良医大、近畿大学、広島大学の4施設のものを使うが、そのためのドライラン、コールドランを施行した。大阪市立大学と兵庫医大の症例では大阪大学未来医療センターのCPCを使用するために、輸送が必要となるため、輸送のドライランを施行した。
②奈良医大では患者3例を選定し、平成26年10月16日、第1症例目を登録、割り付けシステムで標準治療群に割り付けられたため、平成26年11月14日に標準治療を施行した。標準治療群は56歳男性で、左大腿骨内顆9平方cmの軟骨損傷に対して、骨髄刺激法のみ施行した。第2例目は平成26年11月13日にエントリーし、細胞移植群に割り付けられたため、平成27年2月13日に細胞移植手術を施行した。細胞治療群は53歳男性で、右大腿骨内顆6平方cmの軟骨損傷に対して、骨髄刺激法および自己骨髄間葉系細胞を含む試験物を関節内に注入した。年度内に合計7例が登録され、4例が細胞移植群に振り分けられ、移植手術を施行した。3例が標準治療群に振り分けられ、2例に移植手術を施行し、1例準備中である。
3.再生医療安全等確保法への申請、法律にしたがって新たに特定再生医療等認定委員会に申請するために以下の準備を行った。
①培養方法のさらなる改良のため、自己血清を中止して牛胎児血清を検討した。
②実際にモニタリングシステムを運用するとCRF等に問題があることが判明したので改訂した。これらの改訂した書類で特定再生医療等認定委員会に申請する予定である。
1.培養方法の変更.これまでの方法より簡便で確実に細胞を回収するために培養方法の改良を行った。大きな変更点は、①最初の骨髄血の洗浄を省略、②継代培養を省略、③そのために当初から使用するフラスコのサイズを変更、④トリプルセレクトの使用濃度を薄くした。これにより、確実に目標細胞数が得られることを検証し、標準手順書、試験物概要書、製品標準書の変更を行い、についてIRBへ申請し、承認された。
2.臨床研究施行の準備として以下のことを行った。
①CPCは、阪大、奈良医大、近畿大学、広島大学の4施設のものを使うが、そのためのドライラン、コールドランを施行した。大阪市立大学と兵庫医大の症例では大阪大学未来医療センターのCPCを使用するために、輸送が必要となるため、輸送のドライランを施行した。
②奈良医大では患者3例を選定し、平成26年10月16日、第1症例目を登録、割り付けシステムで標準治療群に割り付けられたため、平成26年11月14日に標準治療を施行した。標準治療群は56歳男性で、左大腿骨内顆9平方cmの軟骨損傷に対して、骨髄刺激法のみ施行した。第2例目は平成26年11月13日にエントリーし、細胞移植群に割り付けられたため、平成27年2月13日に細胞移植手術を施行した。細胞治療群は53歳男性で、右大腿骨内顆6平方cmの軟骨損傷に対して、骨髄刺激法および自己骨髄間葉系細胞を含む試験物を関節内に注入した。年度内に合計7例が登録され、4例が細胞移植群に振り分けられ、移植手術を施行した。3例が標準治療群に振り分けられ、2例に移植手術を施行し、1例準備中である。
3.再生医療安全等確保法への申請、法律にしたがって新たに特定再生医療等認定委員会に申請するために以下の準備を行った。
①培養方法のさらなる改良のため、自己血清を中止して牛胎児血清を検討した。
②実際にモニタリングシステムを運用するとCRF等に問題があることが判明したので改訂した。これらの改訂した書類で特定再生医療等認定委員会に申請する予定である。
結論
臨床研究開始のために様々な準備を行い、平成26年10月16日に第1例目を登録した。平成26年度内に7例登録し、6例に手術を施行した。
公開日・更新日
公開日
2015-06-03
更新日
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