文献情報
文献番号
201405048A
報告書区分
総括
研究課題名
健康医療分野における大規模データ研究のあり方に関する研究
課題番号
H26-特別-指定-048
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
黒川 清(政策研究大学院大学 政策研究科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 【補助金】 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
3,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
戦略研究の課題は、これまで、原則として介入研究を実施してきたが、今年度は大規模データベースを用いた解析という研究手法の実施を試みている。そこで、我が国におけるデータベース研究のあり方を提言した上で、平成27年度以降実施予定の「健康医療分野のデータベースを用いた戦略研究(仮称)」の本格実施に向け、必要な研究基盤および評価方法等の検討を行い、戦略研究の実施要項の骨子を作成することを目的とした。
研究方法
1.我が国における大規模データベース等のうち、国や地方自治体、関連団体等が所有する健康・医療・介護分野の主要データベースの活用状況につき文献やウェブで把握・整理した。また、健康医療分野以外のビッグデータ利活用事例についても、同じように収集した。
2.海外におけるビッグデータ研究の仕組みを文献やウェブによって情報収集し、我が国の健康医療分野のデータベースを用いた研究を取り巻く課題の観点から整理した。
3.1および2を踏まえ、平成27年度から実施予定の「健康医療分野のデータベースを用いた戦略研究(仮称)」の実施体制の検討を行った。
なお、本研究では倫理指針を考慮すべき個人情報の取り扱いや介入等は実施しない。
2.海外におけるビッグデータ研究の仕組みを文献やウェブによって情報収集し、我が国の健康医療分野のデータベースを用いた研究を取り巻く課題の観点から整理した。
3.1および2を踏まえ、平成27年度から実施予定の「健康医療分野のデータベースを用いた戦略研究(仮称)」の実施体制の検討を行った。
なお、本研究では倫理指針を考慮すべき個人情報の取り扱いや介入等は実施しない。
結果と考察
我が国において国や地方自治体、関連団体等が所有する健康・医療・介護分野の主要データベースは性質から大別すると、①リアルワールドデータ、②レジストリ入力データ、③ゲノム系データ、④二次利用データとなるが、研究目的として本格的に利用されているのは④で、①についてはそれぞれが個々独立して整備されてきた等の理由で十分な利活用に至っていないことがわかった。
一方、健康医療分野以外のビッグデータはウェブサービス分野で成長した企業を中心とした利活用が進んでおり、これらの分析を担う人材は、今後、参考になる可能性があると考えられた。
また、諸外国におけるビッグデータ研究の仕組みを文献やウェブ調査によって情報収集した結果、活用が進んでいる国では、個人情報保護等の課題を解消し、厳重なセキュリティのもと、オープン化され、健康医療分野以外でも政府主導で利活用や研究開発が進められていることがわかった。米国のResDACやHCUPは我が国の大規模データベースの利活用においても特に参考になると考えられた。
<考察>
健康医療分野の大規模データは、以下の観点などから利活用に対する期待が高まっており、堅実な成果を追究する必要があろう。
・医療や診療の質向上
・個別化医療の実現(ゲノムデータ利用など)
・効率的な医療提供と医療費削減(創薬や新治療法開発促進、DNAシーケンサの低コスト・高速化など)
・リアルデータを用いた将来予測
当該分野の研究の成長や発展は、我が国の実情や、世界の先進的な動向も見ながら段階的に発展させていくことが望ましい。この際、以下の課題を踏まえた検討が必要である。
①個人情報の取扱いなどデータ利活用のルール、法規制の問題
②医療情報や医学研究のインフラ整備が不十分
③大規模データの解析担当者の不足
段階的な発展イメージとして、まず政策形成に資する健康医療分野の大規模研究の日本社会の先導役となる研究を実践し、次ステップで共同利用に基づく大規模データ研究の企画・実施を行うことを提言した。並行して大規模データ研究の標準化や教育の充実、人材育成をはかり、着実な成果とともに普及拡大につなげることが望ましい。
これらを踏まえて、これまでの戦略研究の必須要素との違いを整理し、介入研究を伴わない平成27年度の戦略研究における要件を明確化し「実施要綱の骨子案」を作成した。
一方、健康医療分野以外のビッグデータはウェブサービス分野で成長した企業を中心とした利活用が進んでおり、これらの分析を担う人材は、今後、参考になる可能性があると考えられた。
また、諸外国におけるビッグデータ研究の仕組みを文献やウェブ調査によって情報収集した結果、活用が進んでいる国では、個人情報保護等の課題を解消し、厳重なセキュリティのもと、オープン化され、健康医療分野以外でも政府主導で利活用や研究開発が進められていることがわかった。米国のResDACやHCUPは我が国の大規模データベースの利活用においても特に参考になると考えられた。
<考察>
健康医療分野の大規模データは、以下の観点などから利活用に対する期待が高まっており、堅実な成果を追究する必要があろう。
・医療や診療の質向上
・個別化医療の実現(ゲノムデータ利用など)
・効率的な医療提供と医療費削減(創薬や新治療法開発促進、DNAシーケンサの低コスト・高速化など)
・リアルデータを用いた将来予測
当該分野の研究の成長や発展は、我が国の実情や、世界の先進的な動向も見ながら段階的に発展させていくことが望ましい。この際、以下の課題を踏まえた検討が必要である。
①個人情報の取扱いなどデータ利活用のルール、法規制の問題
②医療情報や医学研究のインフラ整備が不十分
③大規模データの解析担当者の不足
段階的な発展イメージとして、まず政策形成に資する健康医療分野の大規模研究の日本社会の先導役となる研究を実践し、次ステップで共同利用に基づく大規模データ研究の企画・実施を行うことを提言した。並行して大規模データ研究の標準化や教育の充実、人材育成をはかり、着実な成果とともに普及拡大につなげることが望ましい。
これらを踏まえて、これまでの戦略研究の必須要素との違いを整理し、介入研究を伴わない平成27年度の戦略研究における要件を明確化し「実施要綱の骨子案」を作成した。
結論
(1) 我が国の健康・医療・介護分野の主要なデータベース活用状況について把握した結果、それぞれが個々に独立・整備されてきた等の理由で十分な利活用に至っていないことがわかった。
(2) 諸外国におけるビッグデータ研究について、活用が進んでいる国では、個人情報保護等の課題を解消し、厳重なセキュリティのもと、オープン化が進んでいること等がわかった。
(3) 我が国の健康医療分野における大規模データベース研究は緒に就いたばかりであり、他分野のビッグデータ活用成果や、海外での研究の仕組みにあたるものは確立されていない。ただし、大規模データは各所で集積されつつあり、これらをいかにネットワーク化、共同研究利用するかが今後の課題であることが改めて明らかとなった。
(4) 以上を踏まえ検討を行い、まず政策形成に資する健康医療分野の大規模研究の日本社会における先導役となる研究を実践した上で、次に共同利用に基づく大規模データ研究の企画・実施を行うこと等を提言した。
(5) これにより「健康医療分野のデータベースを用いた戦略研究(仮称)」の研究マネジメント機能に関する要件整理を行い、実施要綱の骨子案として取りまとめた。
(2) 諸外国におけるビッグデータ研究について、活用が進んでいる国では、個人情報保護等の課題を解消し、厳重なセキュリティのもと、オープン化が進んでいること等がわかった。
(3) 我が国の健康医療分野における大規模データベース研究は緒に就いたばかりであり、他分野のビッグデータ活用成果や、海外での研究の仕組みにあたるものは確立されていない。ただし、大規模データは各所で集積されつつあり、これらをいかにネットワーク化、共同研究利用するかが今後の課題であることが改めて明らかとなった。
(4) 以上を踏まえ検討を行い、まず政策形成に資する健康医療分野の大規模研究の日本社会における先導役となる研究を実践した上で、次に共同利用に基づく大規模データ研究の企画・実施を行うこと等を提言した。
(5) これにより「健康医療分野のデータベースを用いた戦略研究(仮称)」の研究マネジメント機能に関する要件整理を行い、実施要綱の骨子案として取りまとめた。
公開日・更新日
公開日
2015-06-30
更新日
-